演劇、文学・音楽・美術が最も本質的なところでコミュニケートしようとすることは、なにかしら激しい力とパッションが私を超えて貫くような経験、私の定立性が破られて変容する経験、至高な瞬間の経験である。この経験はしかし、どうしても私が真に生きる経験として完了することのありえない過剰に貫かれている。私が(その能力を通じて) 関係することの可能な関係、つまり真の現前性という関係においては生きられないまま経験される余白の領域を含んでいる。いかにもがこうとその〈シミュラークルとしてしか生きられない〉次元を内包している。それゆえそうしたなにかしら至高なものをコミュニケートしようとする芸術は、原理的な必然として擬態性や虚構性を不可欠なものとし、独特な比喩性を当然なこととする。
そのように芸術的フィクションを通じて比喩的に表わされた死の不安な輝きのなかで、たしかにひとはあの〈ものすごい誘惑〉に強く惹き寄せられる喜びを見出し、深く味わうすべを知ってきた。こうした死へのフィクティブな接近の経験、擬態=虚構=比喩として生きられた死ぬことの経験がなかったとしたら、私たちは文学・芸術の豊饒さに浴することができなかっただろう。
（等しく、その前では無能なもの、同質性を有しながらチガウということがハッキリしてくるもの、（⇔孤絶されながらも同質であるということの死のような、）魂のカタチが表面に浮かび上がってキテ当人に示される　というようなこと　おそらく同じような経験でありながら、チガウという輪郭があからさまになるようなこと）