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キラル

君の瞳にシニカルな夢が降った。白い息を吐いて、思い出すのはきっと僕じゃない。海を渡って、空を越えて、遠いあの国にいるあの子。君の手にあの子が書いた、「幸せになろうね」が憎たらしくて堪らない。どうか君への想いが死んでくれますように。

待って。そうじゃないよ。可愛いあの子はまだ君に言っていないかもしれないだけで、本当は君のことなんかさ。
時々あの子を手にかけて仕舞えば、だなんて。


欺いて唆して、それでも縦たれない仄かで卑劣な嫌悪。
だから、君と僕は小さなキラル。

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