伊織

生きている証

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SaShIrAjInA

貴方がいるところがよくって、昨日の事は忘れるから一緒にいてよ。 あの日、刹那の稲妻が咽喉を鳴らして、貴方を誘って、私の永遠を呆気なく奪った。銘々に申し訳なさを垂らして、流されていく。人の姿に模した地獄が貴方と手を繋いで連れて帰ろうとするから、私が懸命の救助。私もあの子が欲しいの、貴女も欲しいのね、きっと私達分かり合えないね。それ以上の良い訳なんて思い浮かばなくて、ごめんね。あの人が泣いてると後ろ指を刺されても、手に込めた力の重さを忘れないでね。

    • まるで、私だけが自我を持った名も無いエキストラみたいな、そんな優しい世界。

      • 紫君子蘭

        すこしだけ、ほんのすこしだけ遅かった。 君の耳に囁けば届くくらい近かったのに。失うときは近くて、呆気ない。その日が来るまで二人三脚で、ガラスの破片を集めていたのに。君を守りたい、君と一緒にいたい、その一心で流した涙が君の庭を肥やす。春が来て、まいた種が花を咲かせた。皆んなが君の存在を知らないと言うから、感情の種が舞い散って君を消そうとしてしまう。けれど君は笑って、「モウイイヨ( )」と言うから僕に何も出来ることなんかって自嘲した。君がいなくなって、というより僕が君

        • 絶対値

          私は貴方のことが迚も嫌い、だったの。 数値で表せばマイナス100くらい。そのくらい嫌いだったんだよ。でも、好きになるのはホント一瞬でそのままプラス100に大逆転。恋ってすごいよね。 頭の中で貴方が嫌い嫌い嫌いって反芻していたはずなのに、いつの間にか頭に巡るのは好きなのだから。在り来たりかも知れないけれど、貴方が魔法をかけたようにあっという間だった。それで、本当のところどうなの? まぁ、どうせ君は教えてくれないのだろうけれどね。 君は私に色んな世界を見せてくれたね。"えいえんの

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        SaShIrAjInA

          危険極まりない

          やっと自由になれる気がしました。内側から外側へと視線を滑らせて、やっとの思いで淵から覗き込んだのです。敵対的だった足音もいつの間にか、軽やかなステップへと姿を変えた様に感じられました。内には自分だったり、貴方だったり、世間だったりの黒鉄が溶けて混ざって、豊かな闇鍋の様でした。声を発すれば宛も生きた言霊の完成品が、市井に飛び込む様。 此処で一つ問うてみたいのが、このポットの中に入り込んだだとして、やがて留まり続けてしまうのではないか。自由になる術というものは一見存在する様に見え

          危険極まりない

          貴方の帰りを待っています

          ときどき貴方が嫌になります。 我儘で、秘密屋で、強情で。貴方のダメなところを挙げたらキリがありません。真理をぼやかす、曖昧な笑みが染み込んだ貴方の顔を見ると、迚も哀しいです。夢の語り方を知っていた貴方が好きなのに、いつの間にかそれさえも忘れて、遊び呆けている。貴方を嫌と思ってしまうのは、私のエゴだと分かっている。間違いの環状線から降りられずに、貴方は非常停止ボタンも押せないで、蹲りながらメシアでも待ってるのだろうけど。 貴方が思っているような未来なんて来ないと幾度となく証明し

          貴方の帰りを待っています

          小夜曲

          誰かの命があの歌に魅せられて、紡がれて行く。自分勝手な理想に揺蕩いながら、そっと静かに現実に幕を下ろす。「貴方が生きてゆけますように」と不幸な呪いで、絶望の正解を探し出す。「私は大丈夫だから、あの子を見てあげて」を食べた、嘘吐き果実のコンポート。

          キラル

          君の瞳にシニカルな夢が降った。白い息を吐いて、思い出すのはきっと僕じゃない。海を渡って、空を越えて、遠いあの国にいるあの子。君の手にあの子が書いた、「幸せになろうね」が憎たらしくて堪らない。どうか君への想いが死んでくれますように。 待って。そうじゃないよ。可愛いあの子はまだ君に言っていないかもしれないだけで、本当は君のことなんかさ。 時々あの子を手にかけて仕舞えば、だなんて。 欺いて唆して、それでも縦たれない仄かで卑劣な嫌悪。 だから、君と僕は小さなキラル。

          ───

          空が青く染まる前に僕を超えて欲しい。 とりあえず跨いでみたとか、そんな感じでいいよ。これで終わりにしてみて。 鉛を飲み干したブリキの身体。 容易く動かすことは出来ないけれど、君の手ならきっと掴めるんだ。 答えがここにあるのなら、天地がひっくり返って、僕らが夜を呑み込めなくてもいい。 錆び付いた心臓が、呼吸を嫌う。 もしも僕があなたを求めても、救いの手は差し伸べなくていいよ。 木漏れ日に照らされた海月。 すぐに消えてしまうような優しさ。 そんなものは必要ない。 だって上部だけ

          宵のうち

          11月20日月曜日 最寄駅に着く前に、電車の中でマスクを少し引き上げる。寒いというのもあるけれど、本当の理由は車両の連結部辺りに立つと、隣の車両の空気が吹き込んでくるからだ。窓に流れる景色は蛍の様に光を引いて過ぎて行く。「まもなく**、**お出口は──」電車のアナウンスが開始の合図を匂わせる。イヤホンから流れるテンポの速い曲は、感情の昂りを知らせる。自然とカバンを握る手にも力が入る。ドアが開くと一目散に改札へ向かう。改札を抜けると車のライトが目に入り、眩しさを感じながら体をく

          宵のうち

          甘味料

          僕に響く言葉を提供してくれる優しい誰かの言葉を食べながら生きている。いや、生かされているのかもしれない。僕が好んで聞く曲も、本も、友達も誰も僕を傷つけないから。 自分で緩い世界を選んでしまっているのは分かっている。「君の代わりは幾らでもいるんだよ。どうするの?」そんなことを言われても、僕には何もないから貴方の期待には添えないし、かと言ってどうする気もない。只管に僕の世界で好きな様に生きたい。 音を反射したリノリウムが僕の意思を揺るがして逃げ道を探す。僕を追い越す貴方の声と漂う

          耳を塞ぐ

          あなたの話を聴かないよ。例えば、淡い夕暮れに手を翳してみても僕の手が染まらない様に、僕自身が何にも染まらないため。午前0時の暗闇に足を浸しても、きっと僕の色のまま。でも時には周囲からの世俗的な権威やらに縛られて上手く発色出来ないし、僕の動乱した心の底にあるのは鼓動のアンダンテでなくてはいけない。魅惑に引き寄せられて、皮膚を剥がされ白痴に戻ってしまうかもしれない。だからあなたの話は聴かないし、効かないし、訊かない。

          耳を塞ぐ

          喜ばせたいと思わせてくれる素敵な友達がいてくれて、私はとても幸せです。こんなつまらない私と一緒にいてくれてありがとう。どうか彼女たちが、これから先もずっと幸せでありますように。

          喜ばせたいと思わせてくれる素敵な友達がいてくれて、私はとても幸せです。こんなつまらない私と一緒にいてくれてありがとう。どうか彼女たちが、これから先もずっと幸せでありますように。

          『貴方に会えて嬉しい』と当たり前のように言ってくれる君に出逢えたこと。私は痛いくらい幸せです。

          『貴方に会えて嬉しい』と当たり前のように言ってくれる君に出逢えたこと。私は痛いくらい幸せです。

          きっと貴方は優しいからこんな僕にも優しく笑いかけてくれるのだろうけど、その優しさが僕を殺していると気が付いてね

          きっと貴方は優しいからこんな僕にも優しく笑いかけてくれるのだろうけど、その優しさが僕を殺していると気が付いてね

          reunion

          あなたは私を許してくれますか。 私はあの頃、まだ命の重さも知らない幼い子供でした。 あなたは大丈夫だと勝手に決めつけて、知らず知らずのうちにあなたを苦しめてしまっていたのだと思います。 今思い返してみたらあの時の私の発言とか、あの時の私の行動とかすべてが後悔で溢れてならないのです。でもこうしていればなんて、今の私が言えることでもないのです。もう過去の話ですからね。 あなたが初めて思いを打ち明けてくれた時、何も言えなくてごめんなさい。きっと、迚も勇気を出して話してくれた筈なの