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セブン 鬼才デヴィッド・フィンチャーが、観客を挑発する7つの大罪見立て殺人事件

あらすじ

殺人事件が発生し、退職間近のベテラン刑事サマセット(モーガン・フリーマン)と新人刑事ミルズ(ブラッド・ピット)は現場に急行する。
被害者は、極端に肥満した男、大量の食べ物に突っ伏して死んでいた。
現場には、犯人が書いた「大食」という文字が。
サマセットは、キリスト教の7つの大罪になぞらえた連続殺人事件であることを見抜く。

感想など

鬼才デヴィッド・フィンチャーが、キリスト教の7つの大罪になぞらえた連続殺人を起こす犯人ジョン・ドゥと直情径行のミルズ、思慮深いインテリのサマセットの対照的な性格の刑事の対決を通して、人間は守るに値するのかを問う、優れたサイコ・サスペンスです。
脚本のアンドリュー・ケビン・ウォーカーは、ニューヨークのタワーレコードの店員で、ニューヨークの最下層の荒んだ現状を目の当たりにしたことで無関心で己の欲を満たすことしかしない大衆に感じた怒りを、キリスト教の7つの大罪になぞらえて連続殺人を起こすジョン・ドウに込めて表現したそうです。
直情径行なミルズに刺激されて腐った社会と戦っていこうとするサマセットの変化が、心熱くなりました。
この映画の後、フォロワーが大量に発生したカイル・クーパーがデザインしたオープニング映像や燻んだように見える銀残しの映像加工など、サイコサスペンス映画の典型を「羊たちの沈黙」に続いて作った伝説的傑作サイコサスペンス映画。
なんといっても群を抜いているのは、ケビン・スペイシー演じるジョン・ドゥの異常性です。
真っ暗な自室に十字架のネオンが輝き、自筆のノートには被害者の写真と共に世間に対する恨みつらみを書き連ねた物が数千冊、傍目から見れば単なる電波系のサイコ野郎だが、一連の見立て殺人事件を起こしたのが、この腐った世の中を正したいという狂った悪意が最悪の結末を引き起こす。
この賛否両論を呼んだ結末を通じて、人間への絶望と希望を感じとることが出来る。この特異性故に単なるサイコ・サスペンス映画を超えたカルト作品となっています。

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