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マンガ『ひゃくえむ。』の名言から学ぶ一歩を踏み出す勇気

落ち込んだとき、テンションが下がったとき、気分が乗らないときに、少しでも気分を変えて、一歩を踏み出す勇気がほしいときはありませんか?

マンガを読んでいると、この言葉深いなぁ〜ってしんみりさせてくれたり、大切なことを思い出させてくれる気がします。

今回は、単行本は5巻で完結した作品である『ひゃくえむ。』(©魚豊/講談社)より、僕の人生をより魅力的になるよう考えさせてくれた言葉を紹介させていただきます。

『ひゃくえむ。』はスポーツの中でも陸上競技に焦点を当て、熱量がなくただ単純に足の速さが全国レベルであった小学6年生の主人公が、走ることに魅了されたライバルや中学・高校での部活、社会人と環境が変わりながら出会う人間関係の中で、100m走に賭けた生き様とやスポーツの理想と現実、理性と本能がぶつかり合い、100mをいかにして速く走るかに人生を捧げる人間ドラマが描かれた作品です!

少しでもあなたが夢に向かって突き進むとき、壁が現れたとき、壁を乗り越えるときに、モチベーションを上げてくれたり、グサッと心に刺さったり、物事の見え方が変わるヒントを見つけてもらえたら嬉しいです。

ひゃくえむ。 名言一覧

100m走では文字通り無敵。授業だろうと大会だろうと1位だった。他には何もない。でもいつか気づいた。それだけでいいのだと。

トガシ

不満はなかった。不遇もなかった。争いもなかった。熱もなかった。

トガシ

勿論ただ走るだけじゃ何も解決しない。けど速けりゃ違う。気づいてないみたいだけど、この世には単純なルールがある。それによるとたいていの問題は、100mだけ誰よりも速ければ全部解決する。

トガシ

たかが授業の“100m”。どう走ろうが人の自由でしょ。それに1位を取るために“全力”で走るのを肯定してたじゃないですか。焚きつけておいて否定するのはないでしょ。失礼だ。

トガシ

負けたらどうなる?負けたらどう変わる?負けたらどう進む?俺の人生。わからない…、想像もできない…。何コレ、なんだコレ、なんだこの不安は…!!

トガシ

俺の才能は劣化している。成長はパタリと止まり、才能の遺産で食い繋いでいる状態からだった。いつか誰かに追いつかれる。いつか誰かに追い抜かれる。0.1秒の戦いは0.01秒へと変わった。あの頃ほどの差も、あの頃ほどの余裕も今はなかった。

トガシ

“スゴイ”…って何?
ホメられても喜べない…。
いや…、そもそも陸上で喜んだことなんてない。
それ…、やる意味あるのか?

トガシ

負けた後のことなんか考えんな、負けねぇから。…なぁ、もしそんな俺がこの現状に何かを感じていて、この脚は逃げるためじゃなく戦うためについていて、孤立なんてクソどうでもいいと思ってたら、俺はどうすると思う?

トガシ

意味はある!
走ってた歴史が無駄な訳ない。
走りで世界は変えられる。
だからそのバトン俺にもください。

トガシ

俺にはなんのメリットもない、俺は無関係だ。無関係なのに気に障るんだ。選手とか評価とか道徳とか規範とか世論とか常識とかそういうことじゃない。俺という人間が1人外野から見ていて純粋に不快だった。だからあんた達に勝ちたいんだ。

トガシ

何があったのか知りませんけど、…確かに、コレで戦っても他人が変わる確証なんてない。でも、自分は変わる。

トガシ

その気持ちわかりますよ。『衰えた』とか『才能ない』とか悟った時、普通誰だって挫折します。でも1つ忠告しておきます。1位を獲ったらもうそんな理由じゃ挫折できない。

トガシ

考えてとも!選んでとも!言ってない!あんたらの人生変えてやるから黙って付いて来いと言ってるんだ!

トガシ

この痛みは走っちゃダメなヤツだ。このまま続けたら今日が人生の分かれ道になるかもしれない…。このまま続けたら今日こんな競走で将来を棒に振るかもしれない…。でも、このまま続けたら、もしかして今日、こんな競走で初めて、走っててよかったと思えるかもしれねェんだよ!!

トガシ

今から10秒間、ここに癒しはいらない。慰めもいらない。悟りもいらない。仲間も恩師も血も涙もいらない。ここに必要なのは脚2本。それだけで俺は人生を乗りこなす。この世界に挑む。

トガシ

人間は最後まで自分の心しか理解できないし、誰にもどこにも居場所なんてない。連隊も共感も愛情も、全てこっちの思い込みだ。そして極めつけに、皆絶対、死ぬ。冷静に考えたらこんなヤバイ話ってないよ。

トガシ

そんな真理が人間を絶えず不安にさせる。…不安にさせる。が、そんな心理には人間が本気でいる時の“幸福感”を1ミリも奪えない。

トガシ

ーー100m。この距離が人生に意味を与える。この距離が俺の価値を決める。でももういらない。意味とか価値とかそんなもん!ただ走りたいんだッ!!このトラックを!俺が今!それだけ!!

トガシ

どうせ俺はまた悩むだろう。死なない限り焦るだろう。いつか後悔するだろう。…でも、きっとまた再生できる。また期待できる。生きてる限りまだ楽しめる。だから今!自信を持ってっ!!踏み込めッ!!

トガシ

気が…、紛れるから。
現実より辛いことをすると現実がぼやける。

小宮

ぼ、僕には…、何もないから…。問題を解決する方法も…、能力も…、勇気も…。…だから、逃げられればいいんだ…。こういうその場しのぎの方法でも…。そりゃ当然…、走るだけじゃなにも解決しないけど…。

小宮

決めるのは…、僕…。

小宮

…まぁ、うん、そうなんだけどさ。
それでも意味がなくても勝ってみたいな。

小宮

何のために走るかは自由だ。そう、1位をとらなくても風を感じて気持ちよく走れれば充分だよ、僕は。何かに執着して追い詰めて辛くなるような走り方はもったいなさ過ぎる。

小宮

…よくわかりました。
僕でも一瞬なら栄光を掴める。
ありがとうございました。

小宮

もっと速くなればいい。
圧倒的に結果を出せば全部元戻る、皆見直す。
それにはまだ努力が足りてないだけだよ。

小宮

イジメられてたら辞めるのか?褒められる為に走るのか?他人に自分を補完させてどうする?誰かに頼らないと、認めてもらわないと、支えてもらわないと歩けないのか?そんな生き方が望みか?

小宮

偉大な記録を!
僕にしか味わえないその感覚を!
僕にしか行けないその世界を!
目指してただはずだろ!?

小宮

スパイク破いたり、悪評回したり、優しい言葉でぬるま湯につけたり、ずいぶん時間かけましたね。でもそんなことしなくたって、10秒で潰せますよ。本物なら。

小宮

…この10年、記録のことだけを考えて生きてきた。なのに、記録を気にしない人に記録で劣った…。…一体、一体何を間違った…。

小宮

記録を出して何がしたかったんだ?
何が目的で、何が手段だったんだ?
何の為に記録を求めてたんだ?

小宮

記録を出したらその先に何がある?速さで得られるものなんて、欺瞞や虚栄ばかりなんじゃないか?遅さで失うものなんて実は何も無いんじゃないか?

小宮

一体…、この一瞬は何の為にある?
この競走は何の為にある?
僕らは一体、何の為に走ってるんだ?

小宮

ここには何もない。悩みも迷いも何もかも無だ。無のはずなのに何かがまだ在る。あの頃はなかったものが、確かに今在る。心の底に残ってる。「勝ちたい」がまだ残ってる!

小宮

1つ忠告しておくけど、1位を取ったらもう楽しいだけに戻れない。その金メダルが君に囁いく。「本当に充分なのか?」と。「メダルの重さを決めるのは大会規模じゃない」「今後のお前だ」ーーと。

仁神 武

“走る”。単純であるからこそ、そこに居場所を見つけたいなら絶対的でなければならない。ーーまぁ、もちろん皆が皆、そんなに追い詰める必要はないけどね。

仁神 武

一瞬だけ1位になったっで意味はないよ。
継続できなきゃ実力じゃない。
実力のない栄光は悲劇を生むんだ。
この世には“たかが100m”に狂わされる人間もいる。

仁神 武

“気持ち”、それは危険信号だ。感情だけで走れる奴に“ブレーキ”はない。破滅するまで走り続ける。その手の人間は仮に一瞬栄光を掴んだとしても止まれない。いつか陸上に殺される。

仁神 武

継続できなければ実力じゃない。
実力なき栄光は悲劇を生む。
俺は、“本物”じゃなかった。

仁神 武

努力は平気で裏切る。流した汗はウソを吐く。失敗は成功の幅ではないし、ピンチがチャンスな訳がない。そんなこと自明だ。敗北は当然だ。疑問はない、意義もない、嫉妬もない。もう諦めた。なのに、なのに、なんなんだよ。なんなんだこの悔しさは!!

仁神 武

たった100m遅いのが他の人生のどんなことよりも悔しいッ!!この痛みの治療法は1つしかない。ダメだとわかりきってても、もう直視するしかない。俺は、走るしかない。

仁神 武

距離で示される能力の差、埋められない実力の乖離。このレースがきっと俺の上限だな。“投げ”でも、“スレ”でも、“悲観”でもない。俺の陸上はここが終点だ。でも最後の最後、こんな強敵と走れるなんて、走ってて…、良かった…。

仁神 武

遠吠えようよ、死んでない証拠じゃん。
黙るにはまだ早いって。
どうせ走りたいって想いから逃げられないんだから。

浅草 葵

勝ちたいから、過去の陸上部に。…うん、あのトロフィーは過去の陸上部の栄光であって、今の陸上部への挑戦状な気がして…。勝てないとしても…、自分からバトンを放るほどじゃない。

浅草 葵

あのトロフィー、今は部室がないから用具室にしまわれちゃってるけど…、いつも磨いてるんだ。輝いて見えるように、追い抜きたくなるように。

浅草 葵

“嫌”っていうのは頑張る動機になるじゃん。
馬鹿にされてるからこそ得られる活力があるじゃん。

浅草 葵

別に負けたってよくない?
いや?怖くないよ、仲間がいれば。
あぁ、痛みを分け合い、喜びを分かち合う仲間。

寺川

心の問題なんて自分で解決できるわけねぇ。1人で完璧な人間なんていねーんだ。でもここにいる部員は、君と同じ志を持った仲間だ。支え合えばいい。

経田

浅く考えろ、世の中舐めろ、保身に走るな、勝っても攻めろ。

財津

……試合前、私は敗北を恐れず内容を重視する。
同時に敗北に震え、何よりも結果を欲する。

財津

不安は対処すべきではない。人生は常に失う可能性に満ちている。そこに命の醍醐味がある。恐怖は不快ではない。安全は愉快ではない。不安とは君自身が君を試す時の感情だ。栄光を前に対価を差し出さなきゃならない時、ちっぽけな細胞の寄せ集め1人。人生なんてくれてやれ。

財津

自らを追い込む硬派な姿勢は評価するーー。
が、記録を出す為でしかないその脚は大変惨めだ。
それは飽きる。

財津

記録もメダルも大切だ。
が、それらは1位を生み出せない。
この世で1位を生み出せるのはただ1つ。
対戦相手だけだ。

財津

100mは一瞬に人生を凝縮させる。
センチのズレで破綻する。
グラムの違いで破滅する。
緊張で吐くし酸欠に溺れる。
だが、だからこそ得られる高揚がある。
あの距離にだけ許された豊かがある。

財津

希望、失望、栄光、挫折、疲労、満足、焦燥、達成、喜怒哀楽。あの距離に全部つめ込んで、極上の10秒を味わえ。

財津

現実は勝手に消えてくれない。

海棠

現実の対処法?
ふん…、そんなの1つだ。
記録で超越するしかない。

海棠

生まれる時代が違えばなんて腐るほど言われた。不思議なことにこの世は俺が勝てない“現実”で溢れている。が、これも不思議なことに、とうの俺は「次こそ俺が勝つ」と信じ切れてる。

海棠

“現実”ごときが俺の意志には追いつけない。俺の勝利が非現実的なら、俺は全力で現実から逃避する。現実逃避は俺自身へ期待だ。俺が俺を認めてない姿勢だ。たとえどんな正論、洞察、真理、啓蒙をふりかざそうと、俺は俺を認める。

海棠

何の為に走るのかわかってりゃ、現実なんていくらでも逃避できる。

海棠

現実が何かわかってなきゃ、現実からは逃げられねぇ。現実に対して目を塞いで立ち止まるのと、目を開いて逃げるのは大きな違いだ。

海棠

…きっと、現実を直視するのはとてつもなく恐ろしいことだ。認めたくねぇことも認めなきゃいけねぇ。でも本当に現実を変えたいなら…、否定するには向き合った上でやらねぇとダメだ。じゃなきゃ目を閉じて立ち尽くすことになる。

海棠

全くひでぇな、俺はもう二度とこんな走りはできねーかもしれねぇーのに、今日に限ってそんな走り見せるなよ。お前衰えたんじゃなかったのかよ、認めるしかねぇだろ。今人生で一番見えてる。これが“現実”って奴か。

海棠

生まれる時代が違えば万年2着じゃなかったかもしれねぇ。でも俺は!この時代に生まれて後悔なんて!一度だってしたことねぇよ!!無上の目標が毎々鎮座してんだ!全く!人生に!飽きないッ!!

海棠

いかがだったでしょうか?

お気に入りの名言は見つかりましたか?

僕自身、中学から大学まで陸上部で「100m」の競技をやってきたこともあり、「どうやって上手くなるのか?」、「どうしたら速くなるのか?」という考え方がそもそもの王道の考え方であり、スポーツ漫画で描かれるのはその王道であると思っていましたが、この作品で描かれているのは「なぜ自分は走り続けるのか?」という視点でとても僕には斬新でした。

「天才」という言葉はできる限り使いたくはありませんが、天才たちは圧倒的な存在であるようでいてその側面には、ある種、脆さを感じさせる部分があり、努力をしなくても結果が出てしまうことがあるため、本気で血を滲ませてきた人間よりも簡単に折れてまうのは当然なのかもしれません。

個人的な想いとして、この作品の主人公であるトガシもまさしくそんな「脆い天才」のように描かれていると思いますが、ライバルである小宮にインターハイで負けてから、10年後の社会人選手となったとき、ベテラン選出の海棠や財津の言葉、そしてただ走っている中で「走ることが楽しい」ということに気づいていくという、まったく熱量を持つことなく結果を出せたことと、結果を出せず熱も持てない状況になったときの行動は非常に参考になる部分があり、「どんな感情・思考から無我夢中になって前を向けるのか」ということを圧倒的な熱量・情熱で教えてくれる作品ではないかと思います。

学校や会社、その他の組織に所属していて落ち込んでいるとき、疲れているとき、悩んでいるときなどに、この『ひゃくえむ。』の名言で元気づけられる方も多いのではないでしょうか?

名言としては書きませんでしたが、作中最後の日本選手権のアナウンスの言葉は、まさに一瞬のための努力を表す言葉だと思ったので紹介させていただきます。

ーー出場選手達は各々の過ごし方でこの時を迎えようとしています…。

ーー100m。

それは…、日常では意識することもなく過ぎるあまりにも短い距離です。駆け出せば一瞬。極めてとっさに決着を迎えます。

その背景には彼らはどれ程の時間をかけたのか、どんな日々を過ごしたのか、どれ程の敗者達が積み重なっているのか、我々にそれを知る術はありません。

てすが!その日々の結実を!我々は目撃することができます!
今夜!今年最速の男が決まります!!
日本陸上!男子100m!いよいよ決勝です!!

実況アナウンス

小学生・中学生と圧倒的な「足の速さ」という力を持つも、情熱を持つことができず、高校から右肩下がりとなったトガシや小学生の頃からイジメられているも「足が速くなる」ことで、周囲の環境を変えてきた小宮、絶対的王者の財津、万年2位の海棠たち、100mに全てを懸ける選手たちそれぞれの想いやギャップ、ギャップを乗り越え熱い想いとなっていく登場人物のもたらす言葉にふれあいながら、また明日からの原動力になると幸いです。

それでは今回はここまでです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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