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秋は夕暮れ


みっかめ続き、の前にちょっとだけ前日の話。


実は、松江拠点に観光していた前日にも訪れていた、島根県立博物館。目的は二つありまして、その一つは夕日を見るための美術館とも言われるここで、宍道湖に沈むそれを堪能する!!!ということ。
当朝のドタバタ予定変更で火曜日休館を見落としていた(安定ポンコツ)……のと、晴天強風の為、宍道湖爆荒れ(脱せない不運のターン)……という0勝2敗の経緯がありました。

風速7m   ざぶんざぶんする🦆たち

湖面は波打ち、湖水は茶色く濁り……美術館探索を見越してやってきたので、日が沈むまでの一時間ちょいを強風の戸外で待ち続けるというのはなかなかの修行……という半ば諦めムード。


険しい顔で歩いていると、湖の辺りにサンセットタイムだけ営業している粋なコーヒースタンドというのがありまして。この日も一応開店準備中だった従業員の方と世間話。どこから来たの〜どこ観光したの〜という話から始まり、今日明日の夕日事情について本当に親身になって色々教えてくれたのが嬉しかったのよ。。。
「こんなに風が強い日は本当に珍しい…晴れた日は湖面が鏡のようになるんだよ…」「明日の夕日指数(素敵すぎ)だと綺麗に見えそうだし、風も心地良いくらいだと思う!」「たまにシャボン玉おじさんも来るんだけど……」(なにそれ興味深)そんな楽しい話がリベンジの活力を育み、明日の時間と体力と相談します!!!でもきっとまた来ます!!!と強く言い残して、宿泊先の出雲に向かったのでありました。


そしてみっかめ、出雲旅程を予定通りにこなせたので、午後再び松江へやってきた、というわけです。ここからオンタイムに戻る。本日の日没は17:07です。

出雲⇔松江の山陰本線
車窓ほぼこれなので本読むのも惜しい
もはや感慨だよ……ロゴかわゆ……
館内一歩入ってこれですから、もう…
16:12

(信じられないけどここまでのエリアは入場無料)


さて、ずっと見てられる………と佇みたい足を動かして早速目指すは、ここに来た二つ目の目的。


「エトルタ アヴァルの門」

そう!!!!!モネです!!!!!島根県立美術館には、モネがあるのです。しかも上野のモネ展でも展示されていた、エトルタを描いた連作の一つが。

水との調和をイメージした湖畔の美術館の、"水辺の展示室"というギャラリーで展示されている……そんな背景に浸かるだけで酔っ払ってしまいそうなんだけど。
ポツ……ポツ……という来館者の中、入館料300円で、これでもかというほどモネの作品を独り占めした気になれる贅沢。近付いたり、離れてみたり。水辺の風が身近な記憶の中で見るそれは、心の真ん中にどっぷり据えられるまで釘付けになれる、東京の美術展とはまた違った美術館の醍醐味だった………と思う。

現地で貰いそびれたフライヤーも、ちゃっかりゲットしたりして


他にもシスレーやゴーギャンのこれまた水にまつわる作品も展示されているし、葛飾北斎の展示室もあるしで、これ本当に300円で見ていいんですか?という内容充実ぶり。既にリベンジして良かったよ……の満たされ具合で、日没まであと35分。外に出ます。

16:38
16:42

満を持して宍道湖SUNSET Cafeへ。

営業時間は黄昏アワー

前日とは違う方だったのに、昂りを抑えきれず経緯を溢したら「お話聞いてました!!!!!!来られて良かった〜!!!!!」て。あったけぇ引き継ぎに心感涙。山陰のイントネーション大好きすぎる。寒過ぎない夕暮れに、ホットコーヒーをいただく。

黄昏に押し潰されて、なんか泣きそうな大人

皆思い思いの場所で日没を待つ。

16:48

自転車のおじちゃんが教えてくれたフォトスポット。釣り人のおじちゃんもカメラ預かって写真撮ってあげてて、この場所が誇らしい地元の人たちの姿も眩しかった。この日シャボン玉おじさんは居なかったけど、きっとその一人なんだろうな〜と思った。夕暮れのシャボン玉写真とても素敵なので、ぜひ調べてみて欲しいです……

17:05

夕日のさして山の端いと近うなりたるに、烏の寝所へ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど飛び急ぐさへあはれなり……だった。実写版徒然草。

17:07

感嘆の声が湖畔に滲んだ。いとをかし。

17:11
17:31

悠々自適をしていた期間、夕焼けを久々に見たな……と思いながら生活していたけど、そのフィナーレにぴったりの贅沢な時間の使い方だった。
日が落ちるまでの数分を、じっと見守る人がこんなにいるってことが、とても温かで良かったです。絶対にまた来たい。



さて、夜ご飯を食べに行きます。

17:46
湖畔、歩けど歩けど黄昏スペースが続く

この階段で空をバックにエモ写真撮るカップルたちがいたり、ヘルメッド被ってチャリ爆走しながら「腹減ったーーーー」て通り過ぎていく部活帰りDKたちがいたりと、見知らぬ土地の学生たちの青春背景が羨ましいくらいに最高だった。

道中気になってお邪魔したこちらのお店。明治時代からある建物で、これまで薬屋さん、酒屋さん、写真の現像……などなど色々な商売をしてきた歴史があるらしい。
現在は蔵に眠っていたそれらの名残の品やレトロ硝子を販売しているとのこと。

古いものに囲まれた香り……

奥の部屋には骨董品も展示されていて、中でも大事にされていたのが薬の神様の置物。昔からずっと、神様が生活の近くにいるんだな〜と思った。

購入品

小瓶と、現像した写真を入れて渡すときに用いていたという額をいただいた。イラストのスタンプも、薬屋さん時代に広告を打つ際に使っていたものらしい。小瓶には持ち帰った出雲大社の土を入れようかと検討中。

梱包を待つ間、優しい店主さんがお茶を出してくれて。昨日から随所で出会っていた独特の風味のあるお茶が、くろもじ茶という出雲のお茶だということを知る。和風ハーブティー的な雰囲気でめーーーちゃお好みだったので、帰りに自分へお土産買いました。

目的地、BISTRO&BAR 10Le(トオル)さん。

前菜盛り合わせ

口に入れる度、丁寧に作られた………が溢れ出して止まらない舌触り。本当に、全部、美味しかった………、既に瀕死。

冬季限定 タラの白子グラタン

こちらが今年食べたものの中で一、ニを争うほどの感動を叩き出した。カリトロのチーズの下に眠る、あちあちホワッホワのホワイトたち……満腹に押し込んでも優勝していたので、空腹のコンディションでまた食べたい………!!!!!!
旅先の贅沢は惜しまない!という家訓に従い、後悔はありません。家の近くにあったら120%で通っていたし、友だちを連れて行きたい店No.1だった。


のんびり電車に揺られて出雲に戻り、翌朝の楽しみに白バラコーヒーを連れ帰る。(クリーミーでウマ!)前日感動した出雲富士はなんとワンカップで発見したのでこれまたニヤニヤのお土産となりました。

背景 出雲市駅


デカい湯に浸かり、よく眠り、翌朝の飛行機で帰宅の途につきました。



初めての弾丸一人旅、下調べ不十分なままに出発したところもあったけど、行き当たりばったりを寧ろ楽しんだ、自分だけの思い出がめちゃめちゃ愛しい………という余韻で大満足です。
読書の秋、芸術の秋、秋は夕暮れ。



余談1)出雲には立派な瓦屋根のお宅がた〜くさんあったんだけど、自宅に隣接または敷地内にお墓を立ているところが多く、土地柄なんでしょうか……と思った

余談2)お供に持ち歩いていた本、計算せず気ままに読んでいたというのに、自宅最寄まであと一駅…!というタイミングで読み終えたもんだから、ちょっと震えた。不運嘆くことも多かったけど(あんたの下調べ不足だよ)終わり良ければ全て良し!!!!!!!!!だね


また正々堂々と楽しみを作るため、いっちょ働くか〜〜という気持ちになれたので良かった 次は金沢か高知、あとは白川郷に行きたい!!!!!!!

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