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オスモー・イン・ザ・スカイ

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新感覚オスモウパンク小説「オスモー・イン・ザ・スカイ」の連載マガジンです。
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記事一覧

オスモー・イン・ザ・スカイ③

 大阪・新国技館。分断日本の西の片割れ、日本共和国(ジャパニーズ・リパブリック)における相撲の聖地。そのほど近くに、ある組織が存在する。
 日本航空相撲協会(JASA)西日本支部。平時であらば、興業やオスモウ・エアショーの手配に腐心する組織であろうが、こと戦時に於いて、その組織や業務の色彩は、否が応にも変わってくる。
 この日、秘密裏に持たれた会合も。「そうした事柄」に関するものであった。

「共

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オスモー・イン・ザ・スカイ②

 敵の力士が、墜ちてゆく。
 最低でも十両(エース)の証である大銀杏。瞬間的に離脱を選択する判断力。定石(セオリー)外しの亜音速動力四股。まず間違いなく、難敵であった。
 もしも、相手が最初(はな)から戦う気であったなら。或いは、投げ手を外されていたら。勝敗はどう転んだかわからない。
 しかし、立会の結果は既に定まった。空という名の土俵より追われた力士は、自らの重みで死に果てる。それが末路だ。

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オスモー・イン・ザ・スカイ

オスモー・イン・ザ・スカイ

 航空力士とは。曰く、天を土俵とし、「廻し」にて空を翔け、相撲を取る力士である。

 不意の遭遇戦に、姫乃里は焦りを感じていた。
(今場所はもう戦闘の予定は無い筈だが)
 空力四股姿勢のまま、姫乃里はマワシを振り絞り、大銀杏を下方へと振る。動力四股(パワーダイブ)。常は高度優勢を旨とする航空力士にとり望ましからざる手。土俵際に自ら突進するが如き愚挙。だがそれは、相手に土を付けることを前提とするなら

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