見出し画像

小菊セレッソに見るサッカーのあれこれ

どうも、でーさんです。最近マジ暑いですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

さて、我らがセレッソは先日の柏レイソル戦で先制されながらも、ATに追いつき引き分け。勝ち点1を得ましたが、内容に不満を持つ方々が何人か見受けられました。というか小菊セレッソは現在6位にもかかわらず相変わらず監督批判が続いている傾向にあります。 

そこで、ちょうど良い機会ですので、今回は小菊セレッソを参考に自分が思うサッカーのあれこれみたいなのを語りたいと思います。なるべく戦術マニアック的な論調にならないよう気をつけますが、至らなかったらごめんなさい。では、いきましょう。

小菊セレッソの印象

まず、個人的な印象を述べると「オーソドックスで奇を衒うことは少なめ」でしょうか。僕は今シーズンのセレッソの試合を全て観れてるわけではないので、実際のパフォーマンスを100%言語化できてると自信を持っては言いませんが、簡単に言えば。

具体的に最近で言うと、システムは442で前線に得点力がありターゲットになるレオセアラを置いて、推進力があるジョルディ・クルークスとカピシャーバをSHに配置。上門の飛び出しでパスを引き出すのと、毎熊のインナーラップ・オーバーラップで攻撃に厚みを加えるスタイル。最終ラインはボランチが降りて数的優位を作りますが、ビルドアップにそこまで固執するわけではなく、質的優位性のあるSHとSBがレーン移動を適宜行い、マークを暈して前向きに受けられる機会を増やしてそこから出ていく形。印象としてはこんな感じです。あと進藤はサイドチェンジの意識は相当高いですね。

ここに至るまでメンバーの入れ替え、怪我人、移籍による離脱、442⇄433の試行錯誤等色々ありましたが、今はある程度落ち着いた格好です。で、現在6位。結果としては文句の出る成績ではないように思います。

しかしながら、試合の内容や小菊監督の采配等には批判が見受けられているのが現状です。勝った試合はそれほどでもありませんが、負けた時は一気に不満が噴出しているような印象を受けます。そこで、巷で批判されている項目をいくつかピックアップして、自分の見解を述べていきたいと思います。

①戦術がない?

一番多いのはこれかな。というか、そもそも戦術って何でしょうね。これは前回のnote記事でも書きましたが定義しておきましょう。

ウィキペディアでは…

戦術(せんじゅつ、英: tactics)は、作戦・戦闘において任務達成のために部隊・物資を効果的に配置・移動して戦闘力を運用する術である。そこから派生して言葉としては競技や経済・経営、討論・交渉などの競争における戦い方をも意味するようになる。理論的・学問的な側面を強調する場合は戦術学とも言う。

とされています。任務達成を試合での勝利と定義するならば、試合に勝つための手段を効果的に使う術とでも言えばいいでしょうか。一先ず僕の定義はこんな感じです。

で、小菊セレッソにはそれがない?という話ですが、仮にそうだとすると無策ということになりますが、無策で6位というのもなかなか凄い話です。昨今ポジショナルプレーの概念が随分と体系化されて取り入れられるようになり、Jリーグでも戦術的レベルが継続的に向上しつつある情勢下で6位に入るのは難しいことです。

ちなみに僕から見た場合。結論から言うと高度かどうかはわからないけど戦術がないわけではない、というのが僕の意見です。

え?どういうこと?って反応が来ると思います。僕は冒頭で小菊セレッソの印象を述べました。そこで選手の特長も述べました。で、実際のプレーの流れも書けるのはある程度意図が汲み取れるということで、一応監督としては狙いは持ってるものと思われます。で、最近こそ元気はないものの神戸浦和パリに勝ち柏戦でも後半追い上げを見せました。これができる選手達をチョイスして配置してるのは監督です。 

ビルドアップで相手をズラして〜相手を見ながら立ち位置を流動的に〜とか、大変難解かつ高度な戦術でダントツで首位にいるサッカーではないかもしれませんが、カピシャーバはサイドから運びたい時にスペースが少しでもあれば独力で突破できるタイプで、クルークスは毎熊との相性も良く互いに相互補完する形でクロスなり突破なりの形を作ることができる。上門も飛び出しのみならずIH化し降りてくるプレーも去年からやっていてこなせることでレオセアラが無駄に引いてこなくなることでポストプレーに専念しやすくなる、など配置的には選手のプレースタイルに合致していると言えるかもしれません。この選択をしているのが小菊監督という話。

選手を自分の戦術に当てはめたり、今いる選手から戦術を組み立てたりと監督にも様々なタイプがあると思いますが、小菊監督はどちらかというと、チームとしての「核」を決めるまでは個人的には後者かなと。ただ、戦術を組み立てるというよりかは、選手の適性を鑑みて配置を行いそこで勝負させるやり方。なので、嫌な言い方をすれば「選手任せ」という表現もされるとは思いますが、実際にフィールドで判断しプレーするのは選手達なので、それを尊重しているという捉え方もできます。

で、冒頭で定義した「試合に勝つための手段を効果的に使う術」にこの理屈を当てはめると、手段は選手の特長、その特長を発揮しやすい配置とするならば小菊監督の選択は戦術として成立してるという見方もできます。ただし、高度か否かは人それぞれの解釈にもよるので一概に断定まではできないです。

…と言ってもいやいや、そうじゃないんだよ、と。配置は素人でもできるよ、俺らが求めてるのは配置かつエッセンスになる戦術のことなんだよ、そこでプロアマの違いを見せて欲しいんだよ!って思いたい人もいるかもしれませんね。

ただ、戦術はなんでもかんでもやれば良いって話でもないので、配置重視なら配置重視でそれ以上余計なことはしないという判断もあります。戦術を押し付けて選手が混乱してしまっては元も子もありませんし、シンプルな方が意思統一しやすいという面もあるでしょう。先程も言ったように小菊監督は選手にあれもこれも押し付けてガチガチの戦術で固めるタイプではないので(但しスタメンサッカーがある程度固まるとサブ組にスタメン組と同様のタスクを求める傾向はある)。

②高さがないから点が取れない?

続いてこれ。試合中の流れの中からのクロスだったり、終盤得点が必要な状況でパワープレーをするものの、高さが不足してるから競り合っても勝てなくてマイボールにできない→点も取れない、という話です。確かに現在セレッソのFW登録のメンツとしては身長180cm超えの選手はいないです。

ただ、0-1で敗れたFC東京戦の試合後のコメントで小菊監督は次のように話しています。

セレッソ公式HPより引用

要するに、小菊監督としてはシンプルな高さに頼るのではなく、パスワークと動き出しでゴール前の近い位置まで進入しゴールを狙う、ということでしょうか。

誤解を恐れずに言うと、高さは無いよりは有った方が良い、のは間違いないと思います。高さがあるからこそ相手がそこを警戒し意識することも増えるので意識の及ばないところを利用することもできますし、何より高さは単純なクロスでも無理が効いたりします。

ただ、セレッソに揃っているのは、高さではなく敏捷性だったり裏を取る動きに秀でた選手。となれば、小菊監督が単純なクロスではなくもう一歩踏み込んだ崩しに拘るのは理解できる部分もあります。

で、実際敗れたFC東京戦でも、上門がポケットを取る動きだったり、渡邉りょうが再三裏への駆け引きを図るなど、小菊監督が拘っている形が散見されていました。結果的にはノーゴールに終わりましたが、高さが無い以上は取り組まなくてはならないテーマですので、監督の言うように我慢強くトレーニングをしていくしかないでしょう。

いやいや、それなら高さのあるFW引っ張ってきたら
ええだけの話やんって仰る方も当然いるでしょう。別に間違ってないですし、僕も高さは無いよりあった方が良いとは言いました。ただ、最後のパワープレーで放り込む時に最終手段として鳥海や進藤を送り込むことで高さを補完するけれど、それまではやはり一歩踏み込んだ崩しを追求していくということなのかな、と。なので、小菊監督にとって高さはラスト数分の最終手段的な位置付けにしている印象を受けます。高さが必要必要と言われがちですが、現状を考えると無いものねだりにしかならないので、監督は現実的なやり方、今できるやり方に着手するのは当然でしょう。

③セットプレーに期待が持てない?

football-labから引用

上記画像はfootball-labというサイトから引用したセレッソの8/7時点での得点/失点のパターンのデータですが、セレッソはクロスからの得点が多い傾向にあります。ここまで(柏戦前)のリーグの総得点が30なのでその中で40%を占めるクロスからの得点はまずまずとしても、20%に留まってるセットプレーからの得点数が今回のテーマです。巷ではセレッソはセットプレーから点が取れてなくて期待が持てないとの意見もあるようです。確かに流れの中からとは関係ないセットプレーでの得点力は重要なパターンとなりえるので、ここでもう少し得点が欲しいというのはわかります。

ただ、じゃあセレッソのセットプレーは他のチームと比較しても絶望的な成績なのかどうか。次のデータを見てみましょう。

ピンク色がセットプレーからの得点数。
プレーの定義

以上はいずれもfootball-labから引用したものですが、セットプレーの項目に注目して考えていきたいと思います。ピンク色の項目がセットプレーです。感覚的に見ていくとまず鹿島が突出してる印象ですが、他はそれほど大差はなくセレッソも健闘しています。続いて割合ですが、こちらも鹿島が強いかなというイメージ。ただ、セレッソも少なくありません。画像3枚目はプレー定義になります。

これを見る限り、セレッソは他チームに比べて極端にセットプレーから点が取れていないとは言えない、のではないでしょうか。

では、なぜセレッソはセットプレーに期待が持てないと言われているのか。それは①直接FKからの得点がない②CKから直接合わせたゴールが少ない、ということなのかもしれません。

①に関してはJ1上位6チーム内で直接ゴールインしたものがないのはセレッソだけです。ですからここをもっと何とかしてほしい、というのはまだわかります。と言ってもそんな簡単な話ではないですが。

②については、CKから合わせてそのままゴールに繋がるに越したことはないとは思いますが、別にそこだけに拘らなくても、アウェイ鳥栖戦で見せたショートコーナーからのゴールのように相手がセットした状態からギャップを作ることで上手く点を取れることもあるので、今後そこも期待していくと良いのではないでしょうか。まだ試合はあるわけですし、個人的にはCKからの狙いも汲み取れることもあるので、個人的にも注目しています。

実際、セレッソはクロスからの得点が多いので、個人的にはセレッソには優秀なクロッサーが揃ってるとは思います。山中のようにGKとDFの間に早いクロスを入れられる選手やカピシャーバのように独力で突破からクロスを送れる選手もいますしクルークスも舩木も良いクロスを持っています。

小菊セレッソはどちらかと言うと選手任せの傾向もあるので、セットプレーにしても流れの中からのクロスにしても、そこで突破してクロスを上げたりタイミングを見計らってボックス内に侵入したりファーサイドにもきっちりポジションを取るなど、ギャップを作るのが個人クラスの出来にかかっている要素はあります。なので、「セット」されてるCKなどからはまだ得点が少ないですが、そこから派生する二次攻撃や流れを活かしたプレーの中からゴールが生まれればいいわけで、ここも一つのやり方に固執する必要は必ずしもないと思います。

④引いた相手を崩せない?

最後はこれですね。

例えば、リードされている展開でそろそろ試合も終盤に差し掛かろうとする時に、相手が意図的にラインを落としたり、5バックにしてきたりと堅めた守りを崩せない話。確かに僕から見ていても、小菊セレッソは引かれた相手を崩す術に難儀しているように見えています。

ただ、こうした現象は何もセレッソに限った話ではなく、相手に引かれてスペースが無い状態では効果的なプレーの選択肢も必然的に少なくなってくるので、どうしても難しくなってしまうことはあります。例えば相手が5バックにしてきたとして、サイドから単純なクロスを入れたとしても、CBのところでギャップを作れてないと跳ね返されるだけです。となると、仮に高さがあったところで揺さぶれなければやはり難しい要素はあります。

むしろ、引かれた相手を崩したいからこそ高さに頼るのではなく自分達の崩しを追求する。それが結果的に相手から点を取れる布石になる、と言えそうです。繰り返しますが、高さがない以上避けて通れないテーマですし、小菊監督としてもそこを織り込み済みでプランを練っているのではないでしょうか。   

実際、敗れたFC東京戦でも上門がポケットを取る動きがあり、クロスもふんわりだけじゃなくてグラウンダー性の速いクロスもありました。相手が前半よりクロス対応を絞る形で対応するようになって対策されましたが、それでもラスト1/3の後一歩まで行けていたわけです。クロスは上背だけじゃなくて動き出しとタイミングも重要ということですかね。

ということを踏まえれば、小菊監督がシンプルな高さに頼るのではなく、パスワークと動き出しでゴール前の近い位置まで進入しゴールを狙う、に取り組みたい概念にそこまで矛盾はないのでは?と考えます。むしろ思考停止状態で高さ高さでゴリ押しする方が無策だと思いますし、未来もないでしょう。繰り返しますが、小菊監督は高さに関しては最終手段と考えている節があるので、ラストのパワープレーに差し掛かるまでは自分達の、なるべくなら相手も見ながらの崩しを追求していくのは理に適っています。結果はまだ付いてきてるのかは微妙ですが、ここも辛抱強く取り組む必要がありますし、できているところも増えてきているので前向きに考えたいですね。

まとめ

以上、小菊セレッソを参考に自分のサッカー観みたいなものを書かせていただきました。ここに書いたことは自分がサッカーの試合を観る度に常々感じていたことなので、何処かのタイミングでまとめたかったところですが、ちょうど良い機会を頂いたという感触です。

ただ、勘違いしないでいただきたいのは、僕は何も小菊セレッソマンセーをしたいわけではありません。実際、引き出しは多くはないですし、良くも悪くもギャンブル要素もありますし、それが苦手な人には如何ともし難い感情はあるでしょう。

ただ、今セレッソが抱えている課題みたいなものは遅かれ早かれ噴出するテーマなので、避けられない話ではあります。なので、小菊監督は無いなら無いなりにできることをやろうとしている極めて現実思考なリアリストのタイプだとは感じています。今できることを繰り返しやっていこうみたいな。

なので、個人的には必要以上にマイナスに捉えることもないように思います。課題はどのチームにもあるわけですし、今抱えている課題を全部解消できるならW杯優勝してますよって言われかねないですし。まだ、試合は残っているわけですし、目標は高くとはいえ1試合1試合楽しみながら、これからも小菊セレッソを見守っていきたいと思います。

それでは、今回はこの辺で。お読みいただきありがとうございました。

この記事が参加している募集

サッカーを語ろう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?