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ベンチャー会計士ミータソがオススメする書籍4冊【スタートアップファイナンス編】

こんにちはー、ミータソです。利確したウェルスナビの株価がまだまだ上昇し気持ちが萎えています。あらためて売りどきって難しい。。

今回は実務を通じて出会った良書を取り上げました。

私が監査法人→ベンチャーキャピタル→会計士として独立しベンチャー支援をする中で出会った、とっつきやすく、かつ自分が過去に何度も手に取る中毒性の高い書籍を、独断と偏見で選びました。周りの評判も悪くないので自信をもって勧められる書籍と思います。

これらを読んで「あれも知らない」「これも知らない」と、改めて会計・ファイナンスの奥深さを感じ、たゆまない自己研鑽を決意しました。


かゆいところに手が届く資本政策本

スタートアップ投資ガイドブック

【サマリー】
シード・アーリーステージからユニコーンへ。シリコンバレーにも精通した法務のプロフェッショナルが、急拡大を続けるスタートアップ投資・資金調達やCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)の基礎知識を、「投資家・スタートアップ双方の観点」から一冊に凝縮。
【こんな人が読むといい】
・スタートアップでCFOが抜け、CFOロールすることになった管理部門担当者
・投資候補先と投資契約を詰めないといけないVC転職者
・経営者として初めての資金調達(エクイティ)、種類株?なんのことやらわからない

ベンチャーの資本政策だと『起業のファイナンス』の赤本・黄本が非常に有名で、投資する方、受ける方の実務ついたら必ず読めと言われますが、よりこの本が解説が詳しく、こちらの本を挙げました。

筆者は弁護士が中心で、VC投資、スタートアップ事情について海外事例との比較が豊富でわかりやすく、文章がスムーズに頭に入ってきます。

特に以下の内容は、資金調達に臨むスタートアップの財務担当や、ファイナンスをより深く理解したい起業家にご一読いただきたいです(自分も絶賛勉強中です)。

特に参考になった点
・優先株の標準的な設計(M&Aの際のみなし清算、ダウンラウンドの際の希釈化防止、普通株への強制転換権など)
・リード投資家の位置付けとVCの役割(バリュエーションと投資契約の交渉、協調投資家への声掛け)
・取締役指名権の有用性
・IPO努力義務の強制力


適切なバリュエーションを知るために

コーポレートファイナンス 戦略と実践

【サマリー】
ベンチャーの企業価値算出からIR、株主還元政策まで充実のケーススタディで徹底解説。「正解」がない現場で決断するプロの思考法。「現場」と「理論」2人の専門家が書いた決定版。
【こんな人が読むといい】
・経営者で自社の適切な企業価値がわからない、ベンチャーキャピタルとどう交渉して良いのかわからない
・コーポレート・ファイナンスの理屈はわかったけど、実際どう使われてるか知りたい

最適資本構成、配当自社株政策その他ケーススタディが豊富で、非常に実務家に寄り添った章立てです。

第11章「ベンチャーファイナンス」の章があるんですけど、上場企業で使われるPER・PSRを使わず、出資者の必要とする年率リターンから未上場企業の想定時価総額を求める方法が目からウロコでした。

ベンチャーの資金調達時のバリュエーション交渉時に使えそうな視点だと思いました。某有名VCもこの算出方法で、バリュエーションを決めていると思います。

またマルチプル、DCF Valuationとエクイティファイナンスの解説が詳しいと感じます。

「DCFやWACCの概念は知っているけど、実際の試算ベースでの企業価値はどうなってんの?」を、実案件を基にした豊富なケーススタディで理解することができます。

調達の際に基礎というより実践なので、解説も一応ありますけど、『起業のファイナンス』を先に読んでも良いかもしれません。


起業のプロセスをケースで学ぶ

ベンチャー経営論 (はじめての経営学) 

【サマリー】
ビジネスアイデアの発見から、成長企業へと至る道のりを平易に解説。豊富な事例をもとに、実際ベンチャービジネスを始めることを前提に解説してます。
GREE(グリー)設立から上場までの各ラウンド資本政策の解説が、個人的には面白かったです。学生にも社会人にも使える一冊。
【こんな人が読むといい】
・学生・社会人で、スタートアップに就職したいけど働くイメージわかない人
・友人とスタートアップを始めることになった財務系バックグラウンドの人
・大手企業に所属し、新規事業を立ち上げることになった人

大学院に通う際この教授を専攻するか気になり、手にとってみました。

筆者は早稲田MBAでアントレプレナーシップにおける有名教授で、ビジネスアイディアの発見から、成長企業へと至る道のりを理論・実務ともに網羅し体系的に学べる良書になっています。

読者対象として、大学生、大学院生を想定しており、前提となる経営学の素養がなくても読めるよう配慮し、読みやすいです。

アスクル・ルンバといったメジャーな企業の事例がでてきます。

また成功例だけでなく、ヘルスケアのドリームチームベンチャーの失敗例(創業メンバーは、経歴のすごい人より企業理念が一致する人)などが取り上げられ、非常に勉強になります。

一方あまり界隈では取り上げてる人も少ないのが残念です。


苦手な会計・財務、実際の取引とのつながりがわかる

この取引でB/S・P/Lはどう動く? 財務数値への影響がわかるケース100

【サマリー】
本書は、資金調達や投資、報酬制度の導入、M&A等、企業が一般的によく行う取引や外部環境の変化が財務数値に与える影響を100ケースで解説しています。また、各ケースで仕訳、取引前と後のB/S・P/Lの見え方、将来の財務数値への影響を明示しています。
【こんな人が読むといい】
・事業会社の経営企画部が子会社の吸収合併等大きな取引をする、その取引が財務諸表にどう反映されるか知りたい
・監査法人1年目の会計士、理屈と実務をつなげられるようになりたい

企業が意思決定を行う場合や外部環境が変化した場合、利益や財務比率は基本的に何らかの影響を受けます。

したがって、企業がアクションをとる場合事前に、「この取引をしたら財務数値への影響はだいたいこんな感じ」とざっくり捉えておくことが重要です。

各取引が生じた時にどういう仕訳がきられ、BS/PLにどういうインパクトが今後あるのかを会計士が解説してくれてます。

「簿記やCPAの勉強だと量も多く時間がかかる💦」という方が実務で役立てるのにおすすめです。

特に参考になった点
・無償/有償ストックオプションの付与(無償だと会社PLにマイナス、有償だと会社に現金が入り会社BSにプラス)
・優先株式の発行(会社に現金が入るので、普通株式のケースと会社BS/PLに違いはない)
・仮想通貨の時価変動(気になる方はみてみてください)


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