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いい仕事は、子供心を持った大人が作っていく

9月に行ったデンマークで、コペンヒルというゴミ処理場に惹かれた。ゴミ処理場だけど、スキー場や屋上にカフェが併設されているレジャー施設も兼ね備えた施設だ。

ゴミ処理場という臭い、汚いというネガティブイメージがある場所をレジャー施設としてポジティブで市民から愛される場所に変換したこと。しかもスキー場やウォールクライミングなどあったらいいけど必要ではない、"無駄なもの"として片付けられるアイデアを公共の施設で市民のお金を使って行うには非常に高いハードルがあったのではないか。それを超えて、建物を見事に実現させて、しかも行った時には若者たちも多く訪れている場所にして、建築家のエゴではない本当に色々な課題を解決した素晴らしいアイデアとその実現性に心を動かされた。

それから4ヶ月たった12月、日本に帰国してからそのゴミ処理場がどうやって作られたかのドキュメンタリー映画が偶然近くのミニシアターで上映されていたので見に行った。

僕には小さい息子がいる。何より喜ばしいのは、彼らが大人になった時にゴミ処理場にスキーがあるのは当たり前の日常になっているということだ。

ビャルケ・インゲルス「「コペーンハーゲンに山を」

作中での言葉だったので一言一句あってはないと思うが、こんな言葉を言っていて心に残った。私はいつも次の当たり前を作る仕事がしたいと思っていた。たしかに建築というツールは、人々の意識を変えて、当たり前を作っていく強力なものだと衝撃を受けた。

何年かに一度、とてつもなく興味を惹かれる大人たちが出てくるが、ビャルケ氏を調べれば調べるほど彼の発言やアイデア、実際にできた建築物に対して強い興味が出てきていた。

そして最近、Netflixのアート・オブ・デザインのエピソードにビャルケ氏が取り上げられているのを見た時には小躍りした。
映画を見てても思ったが、インタビューで彼は目をキラキラ輝かせながら仕事を進めていく。色々な問題に対して、既存の方法ではなく、新しい方法を用いてクリアしていく。とてつもなくかっこよくてドキドキした。

最近、自分が何にワクワクしたりドキドキしたりするのかを見つめ直そうと思って、私が今まで仕事のスタンスでインスパイアされた人たちを思い出していくと、仕事を楽しんでいる人が多かった。

遊びながら仕事をする大人たち

・嶋浩一郎さん
私が学生時代に広告、PRに強く興味があった時にたどり着いた「本屋大賞」を作ったPR業界の第一人者。最初は嶋さんの記事を読んで、下北沢のB&Bを作ったことを知り、直接会いに行けるイベントがないか探して会いに行ったことがある。イベントはたしか「会社を使い倒せ!」の出版イベントで、学生だった私は「まだ学生なのにこんなイベント来てるの〜笑」と笑われた気がする。休学して留学を迷ってたときに「いっちゃえいっちゃえ!そして戻ってこなくていいよ!責任は持てないけどね」と登壇者の小野さんにも言われた。やっぱりリアルで会いにいくってすごく大事。

あと一流のPRパーソンになるにはどうしたらいいですか?と質問したら、自分で事業をやってみることが一番じゃない?と言われて、その言葉を胸にオーストラリアに飛び、事業はしなかったものの現地でみそを売る仕事を見つけて、みその広報をしてたから、そう思うと嶋さんは私のことを知らないだろうけど、めちゃめちゃ影響を受けまくっている。自分の素直さと行動力に乾杯。

嶋さんは無駄を愛する人だった。辺境からイノベーションが生まれるということもおっしゃっていた。無駄を愛するという価値観は当時私がすごく大事にしていたけど、社会からの価値は低いものだったので、自分の大切にしているものを大切にしている人を見つけた嬉しさがあった。あとは大学を休学して留学するという選択肢は私の周りでやっている人はほとんどいなくて、メインストリームからイノベーションは生まれない。辺境からイノベーションは生まれる。という言葉にも勇気をもらえた。

自分の仕事を作っている大人たち
・電通ワカモンメンバー
学生時代にワカモンで関わった大人たちからも仕事観ですごく影響を受けている。ワカモンプロジェクトの学生メンバーと会った時に「あの人たちは初めて俺のことを大人として接してくれた人たちだった」と言っているのを聞いて、私にとってもそうかもしれないと思った。ワカモン社会人の方たちは本業とは別でワカモン活動をやっていたらしく、きっとものすごく忙しいだろうに学生に時間を使ってくれていて頭が上がらない。
当時学生だった私からは、みんな仕事に熱を持っていて楽しんでいるようなかっこいい大人だった。なんのタイミングかは忘れたけど、「どんな人がいい仕事をしているかって、頭がいい人でも要領がある人でもなくて、熱量を持っている人だった」という話を数年たった今でも覚えている。

いい仕事をする大人たちが語る言葉は、真実で、本質的で、引力がある。それはきっと純粋に自分の仕事と向き合って、真剣にその仕事に取り組んで考えてきたからなんだろう。その言葉はまっすぐで、純粋で、尊くて良い意味で子供のようだ。


私にとっては仕事≒生き方
仕事をお金を稼げればそれでいいと思っている人や、会社の名前が欲しいという人も世の中にいるみたいだけど、週5日、8時間も働くことを考えるとそれってそのまま、ほとんど人生じゃない?それをお金を稼ぐためだけだったり、他人からの承認欲求を満たすのに使うのは私の価値観にはフィットしない。

私は、ずっと「想像を創造する」というコンセプトを掲げてそういうふうに生きていきたいと思ってきた。そして私が影響を受けてきた人たちは、仕事を楽しんでる人たちで、その人たちは楽しみながら世の中を変えていっている(ように思う)。

子供のような純粋な知的好奇心、探究心と素直さを持ちつつ、それを実現させるためのスキルや知識を持った強くてかっこいい大人になりたい。

あとやっぱりクリエイティブがすき。つくるのがすき。アイデアがすき。困っている人やあらゆる課題をシンプルで鮮やかな一手で解決してしまうものに無性に惹かれる。いい仕事をしていきたい。いい仕事をする人と仕事がしたい。いろんな国の人たちと、いろんな専門家の人と国を飛び越えたプロジェクトをしたい。

ビャルケ・インゲルスに会いにいった方がいいかもしれない。

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