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土曜18時半からの美容院

先週の土曜日
6:30PM

渋谷の美容院を予約して行ってきた。

美容院は髪の毛のセットをしてもらえるから、いつも予定の前に入れることが多い。

だけどその日は特に予定はなくて、家に帰るだけだった。


友達と会うためにとか、デートのためにとか、誰かのために、ではなく、特に誰かと会う予定はないんだけれど、ただ自分のために髪の毛を整える。

髪の毛をセットして、新しい自分を発見して、気分を上げて、あぁなんて贅沢なんだろうと思って、すごく幸せになった。


6年前の美容室

私が髪の毛に気を使い始めるようになったのは、6年前くらい。大学2年生くらいの時だった気がする。
渋谷にバイト先があったからホットペッパーでバイトが始まる前に、午前中にチャチャチャっと行ける美容室を探していた。偶然入った美容室は午前中だったからかガラガラで、ギャルのお姉さんが担当だった。


髪の毛にはそれまで無頓着で切れればいいやと思っていた。

私は両親もそのまた両親も天パで、小学生の頃はアフロだった。いま思えば、アフロの少女はかわいらしいんだけど、当時の私は本当にそれが嫌で、成長してからある程度天パから癖っ毛になっていった。

天パをアイデンティティにしていた私は、ストレートパーマをかけることがどこか自分のアイデンティティをなくしてしまうような気がして避けていた。

そんな中、サークルの男の子でものすごくロン毛でぐしゃぐしゃだった子がある日を堺にいきなりショートカットにして、すごくかっこよくなった。

「ロン毛だったのに切っちゃって良かったの?」
「俺も抵抗感あったんだけど、まあみんながすごい言ってくるし、嫌だったらまた戻せばいいやって思ったから」

そんな会話をして、私もたびたび言われていたストレートパーマに挑戦してみたいと思った。

「そうだよね、嫌だったらもうやらなければいいし」


「ストレートパーマかけてみたいんです。かわいくなりたいなって思って」
たしか私は当時恋をしていて、そんなオーダーをしたと思う。担当のギャルのお姉さんはテンションが上がって、「任せて!絶対にかわいくするから!」と言ってくれて、ワクワクしたのを覚えている。

「ちなみにショートってやったことある?」
「ショートは随分前にやったことがあるんですけど、最近は全然…」
「カラーはこの色がかわいいと思うけどどうかな?」
「あ、いいと思います…!」

学生時代は柔道をしていて、大学に入ってからも塾講をやっていたから髪の毛を染めたのもその時が初めてだったと思う。

胸くらいまであった髪の毛を肩につかないくらいまでにカットして、前髪を作って、髪の毛を少し茶色に染めて、ストレートパーマをかけた。


午前中に適当に入れた美容室で、バイトが始まる時間も迫っていて、二人がかりで髪の毛を乾かしてもらって、髪の毛をセットしてもらった時に自分自身を鏡で見ると雰囲気が変わっていて別人のようだった。

自分自身にドキドキしながら、バイトに行って、そこで出会う人たちも心なしかいつも以上に明るく接客できた気がした。
サークルに入った時も、教室のドアを入った瞬間からみんなに褒められて嬉しくなった。当時好きだった子にもかわいいねって言われたような気がするけど、その記憶よりは、自分が髪の毛を変えたことでこんなに別人のように変われるんだというドキドキの高揚感がまさっていたように思う。

先週の美容室

18時半に予約した美容院では、インスタで見かけたかわいい子たちや、好きなアイドルの画像を保存して、色はこんな感じで、ヘアスタイルはこんな感じで、雰囲気は大人っぽくしたいです。と写真を見せながらオーダーした。

ここ2年ほど、アイドルにはまりはじめてから、雰囲気の幅を出せる女性になりたいと思うようになった。twiceのももりんはピンク髪も姫カットも黒髪ストレートのショートもロングも似合うし、可愛いから、かっこいい、美しいまで振り幅がすごい。同じ人間でここまで全く違う魅力が出せるのか、とももりんの雰囲気が変わるたびに楽しくなる。
私もかわいいから、美しい、かっこいいまで、自分の持てる魅力を最大限に引き出したい。そうするには、やったことないスタイルにたくさん挑戦しなければ!そう思って、ここ最近は毎回の美容院で、どう自分の雰囲気を変えようか考えながらいくようになった。美容院前にはインスタで素敵だなと思う女の子たちを探してリサーチする。オーダーも細かくなってしまう。

髪の毛を染めて、洗って、ヘアカットが完了した。

美容師さんとの雑談の中で、「社会人になって楽しいことってなんでしょうね?」っていうのを話してた。美容師さんと話してたというより、私が別の友達と話してたのを一方的に話してたに近いんだけど。友達は、

お金の余裕とか、色々あるけど、でも本気の仕事ができるっていうのはいいよね。ドラマとかも本気で大人たちが作り上げていいドラマができる。学生がどう頑張っても仕事でやってる人には敵わない。それができるのが社会人の楽しさじゃないかな。

っていうことを言ってて、それを美容師さんに共有した。

美容師さんも

俺もサラリーマンになりたくねえって思ってる中で、美容師っていう職業に出会って、かっこいいなって思って、いまその仕事ができてるから幸せです。バイトのことを悪く言ってるつもりは全くないけど、バイトとの違いは、ただ終わるのを待つか、自分の仕事をやるかみたいな感覚で、なんか本気の仕事をするってすごいいいですね、いますごく響きました!笑

と言っていた。

最後の仕上げのカットが終わり、「どうですか?」と聞かれて、大体いつもいい感じです!と完了になるんだけど、今回はちょっとだけ粘ってみることにした。

「ニュージーンズのハニちゃんみたいにレイヤー入れたくて…」
「レイヤーを入れすぎると髪の毛が軽くなるのでセットが大変になっちゃいます。大変にならないくらいにいい感じで入れておきますね」
「髪の毛の上の立ち上げと横を流したいんですけど、どうすれば韓国っぽくなりますかね?」
「アイロンを外、内、外で巻いていってください。後ろはできないと思うので、ワンカールで大丈夫です」

美容師さんに理想のイメージを共有して、美容師さんは自分の技術と知識で私のオーダーを叶えてくれた。最後に二人とも納得がいく髪型になって、え!めっちゃいい!最高!最高っすね!かわいい!美しい!最高!!と言い合ってた。

この人は本気の仕事をしてるんだな、ということが伝わってきて、髪の毛の仕上がりも良かったし、本気で仕事をしている美容師さんと出会えたこともすごく嬉しくなった。


新しい自分と出会う美容院

私はやっぱり6年前の美容院でのヘアカットが今でも忘れられない。

自分の可能性と美しさに気づけた場所だった。その時は私自身では気づけていない魅力を美容師さんに発掘してもらった感じだった。

先週の、というかここ最近の美容院では、私の美しさを発掘してもらう体験はなかなかできなくなったように思う。というのも、たくさんいろんな美容室にいって、いろんなカラーやヘアスタイルを試していくうちに美容師さんよりも自分の方が自分の魅力の引き出し方をわかってきたからだ。

でも私の理想を技術と知識で現実に変えてくれるのが美容師さん。自分がわかってきた分、それを現実にしてくれる美容師さんに出会うとプロの技として感動する。高いお金を払って良かったと思える。

あとは6年前と違うのは、誰かのためではなくて自分のためにかわいく、美しくなっていることだ。誰かのためとか予定のためとかも全然楽しいし、気分を上げるためにはとてもいいことなんだけど、もし自分を変えたのにその人たちに気づいてもらえなかったら悲しい。そして人は意外と人の変化に敏感じゃない。せっかく変わったんだから、それは誰かのためじゃなくて、自分のためだっていいんじゃない?自分のために時間とお金を使ってるってとても優雅で贅沢じゃない?って最近思うようになった。

もし、この文章をここまで読んでくれて、ちょっとでもいいなって思ってくれる人がいたら、ぜひ、なんの予定もない日に、誰かのためじゃなくて自分のために美容室に行って自分自身にときめいてほしいなと思います。


久しぶりのブログ。ここまで読んでくれてありがとう。
おやすみなさい。

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