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キャラクターが商売をしていく上で必要なこと

 今回はキャラクタービジネスについて、僕が常々思っていることを語る。このところVTuberに関係する記事が続いており、若干食傷気味の読者も少なからずいるだろうと思うので、今回はややずらし気味に話を進めていこうと思う。

 古今東西、キャラクターを使った商売というものは、典型的なビジネスツールとして廃れることなく用いられている。これは何も金儲けに限った話ではない。極端な括り方をするなら、宗教上の神格や天使の類もキャラクターであるし、信仰に身を捧げ教徒達の規範となっている聖人もまた、キャラクターとしての効果を発揮していると言えるだろう。
 古い時代は伝承や過去の偉人が主だったキャラクターだったが、現代においては現在進行形で生存するキャラクターが主に用いられている。これはメディアの発達によって、口伝や記述から映像発信が主要な拡散手段となったことが関係していると言える。
 映写機の発明と、アニメーションの登場はまさにそのきっかけである。ほぼ同時に同一の映像を共有できるようになったことで、容姿や挙動についての人々の認識も一致するようになった。これにより、姿形と行動と人格は個別の要素ではなくなり、密接に組み合わさった複合物へと変わった。その瞬間、キャラクターは生きた存在にシフトを果たしたのである。

 単一の役割、単一の筋書きが与えられる存在ではなく、現実の役者のように様々な演目をこなし、作品を跨いで活躍する虚構の生命。ウォルト・ディズニーをはじめとして、クリエイター達が生み出した数多のキャラクター達は、現代でもなお元気にスクリーンを飛び回っている。時には容姿を時流に寄せ、当世の法規に合わせた立ち振る舞いをこなしながらも、たくましく生き続ける様は、血の通った者に比肩する力強さを感じさせてくれる。
 一方で、一時は強い人気を集めながらも時代の中に消えたキャラクターも少なくない。とりわけ近年は興隆と衰退のサイクルが著しく、どの界隈においても
「あれ、確かこういう奴がいたはずなんだけどな」
と朧気ながら憶えているキャラクターの姿を探してしまうことがある。
 生き残ったキャラクターと消えてしまったキャラクター。両者を分けた要因は一体何だったのだろうか。

活動の分類を踏まえないと失敗をする

 キャラクターコンテンツをビジネスとして長く続けていくには、様々な種類の活動を使い分けることと、様々な側面から魅力を生み出すことが重要となってくる。
 一例として、ウォルト・ディズニーが生み出したミッキーマウス(ミッキー)について考えてみよう。元々ミッキーはアニメーション映画のために用意されたキャラクターだ。したがって主な活動の舞台は映像作品ということになる。当初のディズニー作品では、彼が主演俳優となって様々な題材の作品に登場していた。しかし、ミッキーのシリーズとは異なるオリジナル作品をメインで手掛けるようになってからも、彼は仕事を失うことはなかった。時には子供達のためのグッズモデルとなり、また時には現実の世界へとやってきて、テーマパークを案内して回った。いつしか言葉を喋るようになり、ダンスや歌も披露するようになった。今もなお、彼は世界中で愛され歓迎されるキャラクターとして活躍している。
 彼がいまだにディズニーのトップスターを張っているのは、何もウォルト・ディズニーの代表作であることだけが理由ではない。彼に長く愛されるだけの魅力がたっぷりと詰まっており、それが映画俳優の仕事に留まらず多方面で発揮されたからである。生粋のマルチタレントであったことが、彼をウォルトの遺産に留めることなく、現役のキャラクターたらしめているのである。

 では、『彼のように』とまではいかないまでも、キャラクターを長く生かしていくためには何への注力が必要なのだろうか。それを考えるために、まずキャラクターコンテンツの活動を分類してみる必要がある。
 一般的に、キャラクターコンテンツのビジネスを進めていく上では、このような活動分類になってくるかと思う。

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