note_女の子2人_20190715

親友への愛情

【お題】

百合作品

【登場人物】

藤崎早苗(ショート)・竹中日菜(ロング)・佐伯陵

【本文】

〇 ある学校・教室
  窓際でお弁当を食べる、藤崎早苗(17)
  と竹中日菜(17)
  早苗、上の空でお弁当を食べている。
  日菜、ジト目で早苗を見つめる。
日菜「……何かあった?」
早苗「(驚いた顔で)ふぇ?! な、なんにもな
 いよ」
日菜「ほんとに?」
早苗「(目をそらしながら)いや……」
日菜「いや?」
早苗「……うー、なんでもない!」
日菜「へー、この日菜様に隠し事なんてしちゃう
 んだ……そんな奴は~、こうだ!」
  日菜、早苗をくすぐる。
早苗「(笑いながら)ちょっと、日菜ちゃん!」
  教室のドアが開く。
陵 「藤崎さん、いますか?」
  教室のドアの前に佐伯陵(17)が立っている。
  日菜、早苗をくすぐる手を止める。
  早苗、頬を赤らめながら陵の元へ走っていく。
早苗「日菜ちゃん、あとで話すね」
  陵と早苗が教室を後にする。ざわつく教室。
女生徒A「え、なにあの2人付き合ってるの?」
女生徒B「告白とかかも!」
  日菜、表情を曇らせる。

〇 ある学校・ファミレス
  マックで向かい合わせに座る早苗と日菜。
  日菜、早苗をじっと見つめる。
  早苗、目線をそらしながら飲み物を飲む。
日菜「どうして教えてくれなかったのさ!」
早苗「つい……」
日菜「ついってなによついって!」
早苗「今朝、告白されて……言うタイミングを計
 ってたらこんなことに」
日菜「そんなの……朝言ってくれたらよかったのに」
早苗「日菜ちゃん?」
  早苗の携帯が震える。
  早苗、手に取り頬を赤らめる。
早苗「ちょっと待っててね」
日菜「うん」
  早苗、電話を取り退席する。
早苗「もしもし、佐伯くんですか――」
  日菜、顔を曇らせる。
  × × ×
早苗「ごめんね、お待たせして――」
  テーブルの上に、手紙。
  『先帰るね』の文字。
早苗off「日菜ちゃん?」

〇 ある公園・ブランコ
  日菜、一人ブランコに乗る。
  俯く日菜。雨が降ってくる。
  日菜に傘を差す、早苗。
早苗「(息を切らしながら)風邪ひいちゃうよ?
 日菜ちゃん」
日菜「いいよ……風邪ひいてバチ当たるべきだし」
早苗「?」
日菜「早苗に彼氏ができたってのに、祝福全然
できないし」
早苗「ごめん、それは――」
日菜「違うの。話してくれなかったからとかそ
ういう事じゃなくて、ただ……」
  日菜、遠くに陵の姿があるのを見つける。
日菜「これから早苗の隣にいるのは私じゃなく
て、あいつになる。そうなると思うと……」
早苗「そんなことない!」
  日菜、早苗を見上げる。
早苗「(目に涙を溜めながら)私の親友はずっ
と日菜ちゃんだよ」
  日菜、立ち上がり早苗を抱きしめる。
日菜「……大好きなの。そういう優しいところ
とか全部。全部、大好きなの!」
早苗「私もだよ」
日菜「ちが……そうじゃなくて」
早苗「知ってるよ」
  驚いた表情の、日菜。
早苗「日菜ちゃん、私にずっと好意を寄せてく
れてたよね。知ってたの。私は日菜ちゃんの
好意には答えられないけれど……」
  早苗、泣いている日菜と目を合わせる。
早苗「私は、日菜ちゃんの笑ってる顔が好きだ
な」
日菜「(泣きながら)失恋直後の人にそんなこ
と要求しちゃう?」
早苗「しちゃう。だって親友には笑っていてほ
しいもん」
日菜「(涙を拭く)ズルいなー。もう」
  空、雨が上がっている。
日菜off「(明るい声)おめでとう、早苗!」
              (おわり)

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