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「聞く」「聴く」「利く」

この投稿はおよそ1,800文字。3〜4分で読めます。

前回の振り返り


前回の投稿で
「聞く」ことが注目されているものの
内容を正しく理解することはとても難しい
というお話をしました。

難しい理由
1. 面白くない(聞いてない)
2.理解できない(前提が違う)
3. 理解したつもり(自分の前提で解釈)


聞くための対策


完璧に理解することは困難だとしても
できるだけ正しく相手の言っていることを
理解できるようになりたいですよね。

そのためには、どうすればいいか?

意識するとよい3つのポイントをお伝えします。


1.優先順位を上げる


聞くことに対する最大の障害は聞くことよりも話すことを、
観察することよりも判断することを優先してしまうことだ。

『それでも、対話をはじめよう』アダム・カヘン


プロの「聞かせる話」以外、聞くのは退屈なことが多いので、
どうしても「聞く」よりも「話す」ことを優先しがちです。

まずは聞くための心構えとして、
自分の中での「聞く」ことの優先順位をあげましょう

効果的な方法(例)

  • 話し手を特定する印をイメージする
     意識の中で話す担当者を決める印を決め
     相手が話しているときは相手がその印を持っていると
     イメージして聞くことに集中する
     (イメージする印:帽子、ボールまたは旗など)

  • 手の位置を変える
     相手が話しているときは、自分の左手を右手の上に置く。
     逆に自分が話すときは、右手を上に置くと決め、
     左手が上にあるときは聞くことに集中する。

相手の話を奪ってしまうのはほぼ「無意識」です。
自分なりに現在の話し手を「意識」する方法を見つける
ことが有効です。


2.相手になりきってみる


「現代カウンセリングの礎」を築いたといわれるカール・ロジャーズ。
彼が説いた傾聴に必要な三原則の中に「共感的理解」があります。

共感的理解:
話をしている側から見れば、自分の語ろうとしていることを、自分自身の内側から、自分と同じように理解してもらえている、ということ。

聴く側は、その人の「内側の視点」に立ち、その人になりきったかのような姿勢で、一つに溶けあい、一体化して、その人の体験を共に体験していくことである。
それは、ただ「そうですよね」と同意したり同感したりするのとは異なる

『カール・ロジャーズ』 諸富祥彦 

  
この本を読んだあとに、たまたま聞いたラジオで
ある俳優さんが新作映画の話をされていました。

役作りの話しをされているのを聞いたとき、
「まさに共感的理解かもしれない!」と思ったことを覚えています。


映画で殺人犯の役をやることになったそうなのですが、
その役作りとして

「この人はどんな子ども時代を過ごしたんだろう?」
「なんで人をあやめることになってしまったんだろう?」
「そのときどんな気持ちだったのかなあ?」

相手の立場になって、相手の心情を理解しようとした
とおっしゃっていました。

殺人犯のやったことを非難しようとか、
自分だったらどうするかなんてまったく考えず
ただただ相手と一体化して相手の思いを正しく
理解しようと努めていらっしゃったんですね。


「相手を役柄として演じるつもりで話を聞く」

役者さんでなくても、
一般人の「聞く」にも使えそうですよね。


3.鼻も使う


共感的理解の話の続きとして、
カールロジャースはこんなことも言っています。

相手が言わんとしていること、そこに表現されていることのエッセンスをつかんで相手に伝え、確かめていく、そんな丁寧な作業の積み重ねである。

『カール・ロジャーズ』 諸富祥彦


これを実践しようと思えば、
相手が何を言おうとしているのか
言葉や仕草など細かいところから本心に気づく
必要がありますね。


「鼻が利く」という言葉があります。

「わずかな兆候から、
 役に立つことを見つけ出す能力を持っていること」

相手の話を正しく理解しようと思えば
耳だけでなく”鼻”もフル活用して
言葉の端々や仕草に隠された
本心を嗅ぎだすことが大切です。


試行錯誤を繰り返す


この投稿を書いていて改めて思いましたが、
相手の言っていることを聞いて
正しく理解することは本当に難しいですね。

「あなたはできてますか?」と聞かれたら

自信を持って
「できてません」と答えられます。(苦笑)

「聞く」ことはとても奥が深いです。

でも難しいからこそ、
個人にも社会にとっても価値が高いと感じます。

試行錯誤を繰り返して、
少しづつでもブラッシュアップしていきたいですね。

ディアログ合同会社 小川剛司(つよし)
「学びをよろこびに、人生にオーナーシップを」


美味しいものを食べて、次回の投稿に向けて英気を養います(笑)。