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まだたまに、父や母絡みの悪夢を見る事はあるけれど、本当にたまになった。

結婚して、妊娠して、友人と思っている人たちとは疎遠になり、自分の事に気付き、そういう事を体験して私なりに色々色々、頭がパンクしそうなくらいに考えた。

自分を振り返るのは時間、精神力、勇気の消費が激しい。間違っている事を認めるには、環境がものを言うと思う。
私が否定されると感じる実家から距離を置いた事は本当によかった。

でも一番大きいのは夫が居てくれた事。穏やかで声も事も荒げる事がない。安定した人が傍に居ることが良い事だと誰かのツイートで見たけれど、その通りだ。夫はえらく迷惑だったろうし、今でも1人になりたいと言われるから、現在進行形で疲弊させている可能性がある。
安らげる妻になりたいけれど、死んでもムリかもしれない。

長男を出産して間もない頃
その頃の私はまだ、事を明らかにして、白黒付けて納得するまで追及しないと気が済まなかった。

そんな私に嫌気が差して、話の途中に夫が別の部屋に行ってしまった事があった。びっくりして、追い掛けて、理由を聞いた。
ずっと同じ内容を言っていて、もう嫌だと言われて、ショックを受けて言葉が出なかった。

私は自分は間違っていないと思っていて、応えない方が悪い、答えるべき、と思ってしまっていた。
これは元々どちらが悪いかなんて関係なくて、やっている事が父そのままじゃないか。

他にも、まるっきり同じ事、思考をしていると気付かされる出来事多数。自分が父と同じ位置に立っていると初めて自覚した。

まず、時間も、相手の気分も予定も、自分の感情解決の前には関係がないとしてしまいたいくらいに、解決衝動を抑えるのがひどく難しかった。

気付いた問題や疑問を抱えたまま過ごす事が苦しくて、胸がざわざわしてジッとしていられない。文字通り身悶えた。
寝られない、家に居られない時もあった。最初は、今考えると私の試し行動ともいえる事に付き合ってくれていた夫にも、あなたが出ていきたいならもう俺には止められないよと呆れられてしまった。

やっと、これではダメだと感じられた。
たぶん、それまで夫が受け止めてくれたという土台があったから。(本当にごめん)

完全に言い訳で、ただ状況を言うなら私はかなり頑張った。

それまでは出社前夜、直前にも問い詰めたりしていた。でもそれでは一緒に居て貰えなくなる。好きだから分かり合うべきで理解するべきと突き詰めていたけれど、辞めた。

どんなに私が(勝手に)モヤッとしたとしても、会えるのは最後かもしれないし、でなくても夫は気持ちよく仕事に行きたいだろう事にやっと思い至って、出来るだけサクッと謝って、見送るように頑張っているつもり…で、でもそうも行かなかった時もあった。ある。そういう時はたいてい、仕事に行っている間にめちゃくちゃ落ち込む。早く仲直りして許して欲しい衝動がすごい。

この許して欲しい衝動は自己卑下、見捨てられたくない感情からのもの。
とにかくこういう自己卑下は誰得でもない。例え見捨てたいと言われたって、精神的にも物理的金銭的にも、了承して離れる事なんて出来ないから。なら、そう思われないか、既に思われていたら改善に動くしかない。もっと精神的に成熟させる、金銭的な自立もアリだろうけれど、どちらもめちゃくちゃしんどい。

私は自分の機嫌も取れていなかった。自分でどうとでも取れるものだと知ってから、模索し始めて、そして今でも出来ていない。子どもと接していると更に未熟さを感じて、大変自己嫌悪に陥る。

両親に、散々変化を求めていたけれど、変わるって大変だ。
私は夫という人が居てくれて、更になんだかんだで母、姉に育児で大変世話になるという恵まれた環境だったから、やっとここまで来た。周りはきっと10年前には出来ている事だ。

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