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映画備忘録: モルエラニの霧の中

最近は、本当は別の映画を観ようと
上映館などを探していると
たまたま見つける映画が当たりすぎる
この映画、
チケット売り場で、「4時間の上映館になりますが大丈夫ですか?」
は!?!?!?となったのだが
途中で休憩も挟みます〜との事、せっかく来たしと、そのまま鑑賞したのだが
観てよかった……
物語が7章構成になっているからか
それぞれの物語に引き込まれてしまう。
作成だけで5年の歳月がかかっており
公開までに何人かの出演者が亡くなっている
大杉漣さんもその1人

モルエラニとはアイヌ語で
「小さな坂道をおりた所」室蘭の語源のひとつと言われているのだそうだ
まさに、坂の上からの景色とおりた場所でのそれぞれの物語のような気がする

ここからネタバレになるかもです
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物語はモノクロームから始まる。
最近の映画でモノクロームの映画というのだけでなんだか不思議だ。
昔の画質の悪いモノクロームでは無い現代の
描写の美しいレンズから映る線の細やかなモノクロームがこの映画の美しさを増している気がする。
「 人魚は、南の方の海にばかり棲んでいるのではありません。北の海にも棲んでいたのであります。
 北方の海の色は、青うございました」
の一文から始まる。
手紙の入った小さな小瓶
引っ越してきた少年は
海が汚くなったから引っ越すと母に言われたそう原発事故のことなのだろうか
この映画を見て思ったことは
この映画はファンタジーだなぁと
作品が語りたいこと伝えたいことは
受け取り手によって無数に広がる映画で
オムニバスのような感じだからとも違う
映画の中に少しづつちりばめられた幻が
見る人間の生きてきたそれぞれによって万華鏡のように変わるんだろうと思う。

私が感じたのは
いつか訪れる死とすべてのものは朽ちてゆくという事。
その切なさや儚さ寂しさを感じたが
それだけでは無い何かがおしよせてくる
作品だと思った。

クラゲは死ぬと水になるんだよ
綺麗な水にだから水の母てかくんだよ
と聞いて、水族館のクラゲを盗んで海に捨てる少年や

行きたい時に行けなくて
会いたい時に会えなくて
言いたい時に言えなくて
何が素敵か
住んでた家を売り施設に入ることを決めた
夫婦の後ろ姿は美しいけれど
死への旅立ちように見えた。
2人はどこへ旅に出たのだろう

冬虫夏草
セミと共に7年土の中で暮らし
地上に出た瞬間に殺してきのこにする
冬虫夏草
セミでは直ぐに死んでしまうが
今度はキノコとしてもっと一緒に行きよう
ということなんだと言う
形は変わるけど生き続けるのだと。

ああそうかどの章も死が隣り合わせに
ある物語だったのだな
とても深い美しい映画だった

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