平成23年度予備試験論文試験民法を自己添削等した感想

平成23年度予備試験論文試験民法 3周目part1

平成23年度予備試験論文試験民法 3周目part2

平成23年度予備試験論文試験民法 3周目part3

平成23年度予備試験論文試験民法 3周目part4

はいみなさんこんばんは。湯川士です。本日二本目の論文試験自己添削感想を書いていこうと思います。今回は民法平成23年度ですな。

所有権に基づく土地返還請求であるから、①Dに甲土地の所有権が帰属すること②Cが甲土地を占有していること、この二つが要件になる。

①Dの甲土地所有権帰属の成否について

まぁ普通に通謀虚偽表示(94条1項)に当たるよね、という当てはめでいいのだが。通常なら『Bは甲土地につき無権利者であるからかかる無権利者から購入したDも甲土地につき無権利であるので所有権帰属は否定されるのが原則である。』と論述するのだが(俺もそういう論じ方してたと思う)、②で書くこととの整合性や比較から、『他人物売買なので』Cは無権利である、がBetterらしい。なるほどなぁ、と思った。法律関係の比較・整合性を意識した答案は結構キレイに見える。後で見てみたけど、確かにかなりキレイに見えた。論じ方がきれいな構造になってると確かに好感度上がりそうだなぁ。と。

まぁ、あとはそれ以外は第三者保護規定の94条2項の解釈論ぶち込めば最低限の点は奪い取れるだろうね。94条2項の類推適用のための解釈って、多年度でも出されるくらいurtra定番な論点なので、息をするかの如く、かつ一つのミス無く展開できるのがアタリマエの領域。これ時々俺ミスるからしっかりかけるようにしなくては。

②Cの甲土地占有について

確かに①により占有しているCに対して明渡を請求しても認められると思えるけど。賃貸借契約を締結していて、しかも建物については登記を備えているから、占有権原をDに対抗できる(借地借家法10条1項、民法605条の2第一稿)という反論が出てくる。ただ、登記があっても、無権利であったら意味ないわけで。つまりは、本件ではAB間では通謀虚偽表示だから、Bは無権利だから、BC間賃貸借契約は他人物賃貸借(559条、561条)である故に、Cも無権利ということになる。他人物賃貸借は第三者にその効力を対抗できないわけで。

ただ、Aの死亡によるBの相続で、甲土地所有権取得に伴う他人物たる瑕疵の治癒が問題となる。まあこれは一周目にこの問題解いた時に気づいてた。他人物賃貸借だということには気が付かなかったけど。なんでかっつーと、大学の民法(大学一年時)で、代理やったときに無権限者の話が出てきたその時に、無権限者による処分行為と無権代理人による場合との比較が大学テキストに出てきてた(授業でも触れてたけど)から、これB無権限者だから無権代理と相続の話とパラレルに考えればいけるんじゃね?と考えたから。3周目解くときにはまた他人物賃貸借だということ忘れてたけど。ただ、そこに気づいてしまえば、あとは無権代理と相続の規範を無権限者と相続に少しアレンジして立ててしまえば、それなりに点数来ると思う。いろんな制度と比較して、共通点・相違点を見出しておくと、こういう問題で意外と対応できたりするのかな?よく民法って制度の枠を越えた比較が重要になると言われるし。ホントに体系的理解が重要になる科目第一位なのかもしれない。

逆に、あることに気が付けなかったからその時点で詰みました、というのも民法結構あるのかもね。実際本年度がそういう問題だし。てか他の科目そういうのはあまりない気がする(-_-;)どうなんだろう。

さて、無権限者と相続の話が終われば当てはめなのだけど、初めて知ったのが、94条2項で保護されたDはAから直接に所有権取得するのね。まあ確かに同項の第三者と、真の権利者から当該物を譲受した者とは対抗関係(177条or178条)に立つとはよく聞くけど。理由はα:94条2項の「対抗することができない」との文言との整合性、β:法律関係を簡易に説明できる、とのことらしい。へぇ…(-_-;)なるほど、わかるようで微妙にわからん、わからんようで微妙にわかる(-_-;)なんてこった。

こんなところかな。まずは現実的主張を想定して、その主張を法的なものへと変換したうえで、その主張が認められるための要件を立ててそれを順番に検討していく。その際に、制度枠を越えた理解を活用した論証展開、法律構成の比較を交えた論述ができるようになると深くいい答案が完成するということ、これをこれからも意識していきたいところ。

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