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タボのご縁③~ご本尊~

タボ僧院の古いお堂には、いくつかの建物、いくつかの部屋がある。

最も大きな建物には、入り口が二つある。
本堂に続く入り口と、
ドムトン・テンプル(アティシャ〈チベットで仏教衰退後、再度インドから仏教を伝えられた尊師〉の直弟子、ドムトンパを如来の様相で描いた壁画が正面に座すお堂)への入り口。

他にターラ―・テンプル(ターラー母尊方が描かれているお堂)、
ゴールデン・テンプル(釈尊像が主尊として描かれているお堂)などのお堂が別個に建てられている。

他にも土づくりのストゥーパや、チベット文字でご真言が彫り込まれた平たい石が積み上げられた建物の礎などが複数。
全体的に、乾いた砂色の外観である。

外観に反し、お堂の中にはいまだ彩色が美しい壁画が多く残る。
修復はされていると感じたけれど、それにしても1000年以上前に描かれたご本尊の姿を拝んでいると、時空を超えた異空間にいるような感覚になる。

ゴールデン・テンプルの釈尊像の下には、当時タボでご本尊を壁に映した、カシミール人絵師達の自画像?も描かれている。
故郷を遠く離れて、
おそらく何かに導かれて108もの仏教寺院を創建したリンチェン・サンポの大事業の流れにのって、
僧院の壁を埋め尽くすほどのご本尊を描いた絵師達である。

タボ僧院は美しい壁画郡でも有名だけれど、本堂の中にはこれまた非常に珍しいご本尊像が多く鎮座している。
金剛界曼荼羅の37尊が全て揃っているのは、チベットとスピティのタボ僧院のみであるとお坊さんが説明してくれたが、
チベット本土にもタボ僧院があるのだろうか・・・?

本堂につづく方の小さな入り口をくぐると、12畳ほどの広さの部屋になっている。
如来像、菩薩像の壁画で囲まれたその部屋には、護法尊を祀った部屋と、本堂へつづく扉がある。

お堂は午前9時から参拝が始まるが、その時には護法尊を祀る部屋の扉は閉まっている。
開けられるのは、早朝と夕方のお勤めの時だけで、毎日同じお坊さんが1人でお勤めをなさっている。
護法尊が祀られている部屋は、女人禁制である。

本堂へ向かう扉は、開けると廊下のような前置きの部屋があり、左右に阿吽のような仁王像が本堂を護っている。
2尊の間を通って本堂に入ると、中央にダライ・ラマ法王の玉座が設置され、その前にお坊さん達が法要をする時のように座が配置されている。
(今は法要はされていないそうだが)

玉座のすぐ後ろに、大日如来などの如来方が、衣をつけておわします。
玉座を見下ろすように4尊が東西南北を向いて鎮座され、
その後ろの隠れ部屋のような場所に、無量光如来が脇侍を具えていらっしゃる。

本堂の壁はもちろん仏様でいっぱいであるが、人の目線よりわずかに上に座が据え付けられ、金剛界のご本尊たちがそれぞれ独特の表情、ポーズで仏像としてそこにいる。
人間の子どもくらいの大きさである。

無量光如来の後ろは暗くて細い道が1周回れるように作られているが、その暗い廊下の壁にも、上から下までびっしりと仏様が描かれている。

堂内は写真撮影禁止で、強い光を当てることも控えられているらしい。
参拝者には弱い光の懐中電灯をその場で貸してくれる。

尊像方のまとっている衣が、ダラムサラの大先生のアトリエから送られてくるものであるらしかった。

このお堂は、歴史的な面からも貴重なものであろうけれど、
筆者にとってはご本尊方の「そこにいる感」が最も印象に残った。

主尊の大日如来を拝顔した時、一目で涙が出てくるほどの存在感であった。
友人も涙目で尊像を見上げていた。

にっこりの微笑み全開で、全てを包み込むような明るさと開放感である。
「よく来たねぇ。待ってたよ。」
といわれたような気がした。

いろいろなお寺を参拝させて頂くけれど、
尊像に魂が宿っているとはっきり分かるご本尊だった。

姿形はふっくらされており、ポケモンというアニメの絵柄を連想させるイメージ。
壁に連なるご本尊方も、それぞれ表情豊かで、いたずらっ子のような尊像もいらっしゃる。

本堂の中で目をつむって座っていると、
内側の静けさの中からご本尊の賑やかな話声が聞こえてきそうな、
不思議な、心地良い空間だった。

金剛界のご本尊と、手印や仕草がハッキリと目に見える形で残されている尊像群は希少である。
チベットの高僧方でも、全てをマスターされた方は少ないと聞く。

「研究する人にとっては、素晴らしい研究対象だと思う。」と、
院長先生はおっしゃっていた。

つづく。



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