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エピソード(3):軟酥の法-江戸時代のイメージ訓練

エピソード(3):軟酥の法-江戸時代のイメージ訓練
 
医学生が抵抗するイメージの浸透は、現代医学の言葉では何に相当するのだろうか?
よく使われるのは、エピソード(1)(リンク:https://note.com/deepbody_nukiwat/n/n35bce67179fb?magazine_key=m5c150c5d198f)で紹介したBlakesleeのいうbody  schema awarenessだが、必ずしも的確な用語は無い。一方で内観法として長い歴史がある。
 
私は大学入学前後、坐禅に興味を持ったことは述べた。
東京大学ストライキ中は三島市澤地の臨済宗龍澤僧堂で居士として1年弱を過ごした。
この寺は、江戸期の高僧白隠禅師の高弟、東嶺禅師が開祖であり、夏の虫干しでは白隠の奔放な禅画も多数見ることができた(現在はどうか?)。
 
この白隠には坐禅修行の手助けとして「夜船閑話」という小文がある
(国立国会図書館デジタルコレクション所収の「詳注夜船閑話」(白隠禅師著、熊谷逸仙注。東京:宝永館書店、明治45年6月4日発行)
(リンク:https://dl.ndl.go.jp/pid/823535
この中に白隠の若い頃の修行の工夫が、物語として登場する。
それが「軟酥(香りの良いバター)の法」である。
 
頭の上にこのバター(軟酥)をおいたイメージを持ち、そのバターが溶けながら身体に浸透していく。頭部から胸部、腹部、脚部からさらに足の裏へ。
(具体的な解説はリンク:http://zutsuu-daigaku.my.coocan.jp/hosp/22hakuin.htm
 
実はself-explorationには古い歴史がある。
京都白川の白幽子仙人からこれを習った白隠は、いわゆる禅病(一種の神経衰弱)から脱し、坐禅修行が続けられたという。
(禅師いわく「この方法を何回も根気よく行えば、どんな病気でも治せないものはない。そして立派な徳を積むことができる。さらにどんな修行でも成功しないものはない。また、どんな事業をやっても必ず成功する。その効果が早く現われるか、遅く現われるかは、これを行う人の熱心さいかんによるから、一生懸命に精進せよ」)
 
ネット検索すれば、関連する資料やYouTube画像はいろいろ見つかる。この身体の中でイメージを動かす練習は、この後に続く基礎呼吸法の足芯呼吸のイメージ訓練にも共通するものである。
 
しかしこのイメージ療法は、現在も実際にはいろいろな手技や考え方として、世界には広く存在する。Schultz JH(1932)による自律訓練法(autogenic training)は有名で、日本では九州大学心療内科で行われた。
米国NIHのNCCIH(National Center for Complementary & Integrative Health)の分類では、mind-body practicesに入るものである。
次にはNCCIHも紹介しよう。
 
軟酥の法(内観、Body awareness)、座禅瞑想(Mindfulness)などの伝承は日本では関心薄く、米国で再発見されている!!それで日本人はいいのだろうか??
 
 
 

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