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こころをからだに繋ぐ呼吸法Bodywork 第1章 I 4)~5)

医学部学生が抵抗するイメージ浸透の稽古
 
ここからはさらに「超」現代的イメージ訓練に入る。
少しでも現代人の抵抗感を弱めたい。
このためエピソードのマガジンを作った。
どうしてもエピソードがないと、現代人には稽古のスタートができない世界かも知れない。
 
西野流呼吸法稽古の導入部分の中で、「気の浸透」は現代人にとって最も抵抗を感じる動作だろう。
筆者は20年間、東北大学呼吸器内科教授として勤務し、診療、研究、教育の生活を送る一方、週一回、この不思議な呼吸法を大学の会議室やセミナー室で医師や仙台市民と夕方続けてきた。
 
ある時期から、病棟実習に参加する医学部5年生、 6年生を、この稽古に誘った。
誘うと「変わった教授」という顔をされる。
「医学部の授業として、自分の身体で「気」を感じるような経験ができるのは、世界広しと言えども、東北大学だけだ」などと、勝手な、しかし本当のことを言って誘う。20年弱の間に5~6百人の医学生が参加したことになる。
 
学生たちには本心では嫌々参加している人もいる。
次に述べる「イメージの浸透」の稽古を見ていると面白い。
お互いに顔を見合わせて「おい、とんでもないところに来たな」と顔でいっている。
 
そうだろう、そうだろう。
自分だって、教養学部2年生の時の禅寺居士の経験がなければ、君たちと同じだろう。
およそ現代人は目から入る情報以外は、体内感覚など信じないように教育付けられている。
 
 
4)丹田のエネルギーを前方へ
今度は手のひらを腹(丹田)の前にかかげる。
丹田はエネルギーの中心、そこから放射されるエネルギーを両手のひらで感じ、前方へ広げる。(エピソード(2)丹田とは?:リンクhttps://note.com/deepbody_nukiwat/n/n7a4dd69b545a

しばらくすると手のひらを丹田に近づけていき、手のひらと丹田の間のエネルギーが濃縮されるのを思い浮かべる。
(西野流呼吸法-実践解説、石井雅子著、西野流呼吸法基本の動作解説、リンクhttps://amzn.to/3ZetYmd
(多くの人は実際に、手と丹田の間にモワッとした質的感覚を持つだろう)
 
再度両手の平を前方へ広げる。
次にイメージは脚においたまま、両手が天井から引き上げられるイメージで上方へ挙げる。
(西野流呼吸法-実践解説、石井雅子著、関連動画も参照、西野流呼吸法基本の動作解説、リンクhttps://amzn.to/3ZetYmd
 
実際には手をあげるのだが、能動感覚で上げると腕は重い。しかし受動的に引っ張り上げられるイメージで挙げると腕は軽い、肩にも力が入らない。
不思議な身体感覚の差だ。
 
さあ皆さんは付いてこれますか?
現代人の90%は無理でないか?
しかし未知なる身体との出合いのためにはそのつもりになりきる。
 
 
5)イメージの浸透
天井から引っ張られた両手は、頭の上で両手首の力が抜け、手の甲がアンテナのように宇宙からのエネルギーを受けるというイメージを持つ。
 
やがてそのエネルギーは両手のひらから百会(ひゃくえ:頭頂部、実際には赤子に見られる大泉門をイメージする)をとおし脳に浸透してゆく。
 
さらに脳から頭部全体に拡がって、首から両肩に拡がる。
そこからは胸部をスキャンするように下へ下へとたどる。
病院で撮影するCT写真のように、自分の内側をたどっていく。Self-explorationだ。
エピソード(3)、軟酥の法、リンクhttps://note.com/deepbody_nukiwat/n/n83d1d41b0abe
 
横隔膜から腹部へ。
腹部臓器として右側の肝臓、左側の脾臓、中央の膵臓、胆嚢、副腎、腎臓と背中側を下へ下へとたどり、その前方で中空の胃、腸をイメージする。
さらにイメージは両下肢へ降ってゆく。
 
ここでイメージを両足から、両手の掌に戻す。
ここでも「不思議な」感覚が生じる。
両手のひらと額の間がモワッと暖かくなる。
その感覚を感じたら、両手のひらを顔面、首の前、胸の前と降ろしてゆく。
まるで両手のひらと身体の前面がコミニュケーションしているようである。
 
丹田まで下ろすと、再度丹田のエネルギーを受けながら、両手のひらで前方へイメージを広げる。
 
そのまま両手は膝の上に浮かせて、丹田と両手のバランスを感じる。
このバランスを西野流では「三元」と呼んでいる。
身体のバランスの基本で、いわばreference pointである。
この後も練習を通して、何度もこのバランスにもどって、身体全体を確認する。
 
こうした自己暗示的な展開、そして背景の医学生理は?
一体エビデンスを重んじる米国医学では、どんな部署が担当しているのか?

次はすこしNCCIH(National Center for Complementary and Integrative Health)の実際をエピソードとして記そう。

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