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エピソード(EVI-1):”The Wilderness hidden inside yourself(隠された内なる原生自然)”を求める西野流呼吸法の旅路

1997年、西野流呼吸法が「The Breath of Life」として講談社インターナショナル社より英語出版された。

その裏表紙に、入交氏とともに寄稿を求められて書いたものが以下である:
"ln the United States people enjoy visiting the wilderness parks, to discover nature and reconnect with themselves. Learning the Nishino Breathing Method is something like encountering the wilderness hidden inside yourself. For more than eight years his classes have fascinated me, enabling me to experience new physical sensations and discover my own latent abilities.
While we might have to wait until the next century for scientific elucidation of the NBM, through it we can still do something exciting and beneficial for ourselves and have fun at the same time."

-Toshihiro Nukiwa, M.D. Tohoku University professor and molecular biologist, formerly a researcher at NIH in Bethesda, MD.

この中に”the wilderness hidden inside yourself”と記した。
「内なる原生自然」、何のことだろうか?
隠された(人知れぬ、秘された)とはどういう意味か?
実感覚はあるが、医学的実態説明が困難!

この実態を最近になり、私自身、思いもせぬ方向から、少し理解し始めた。

Wilderness(原生自然)とは、西野流呼吸法「対気」において相手のSignalにより、覚醒し機能する身体運動感覚と言うべきか。我々の脳・脊髄神経システムでありながら、普段は縁の下で働き自覚されることはない。しかも進化的には旧い(脊椎動物共通の基盤的体幹Body plan)が、同時に生存に直接関与する(従ってエネルギー溢れる)重要システムである。

しかし習い始めて30年近く、この実態が医学的に説明できず、ユングの言葉、「ペルソナの奥のArchetype(元型)」などと表現してきた。

「隠された」とは、学習で身につける以前の、生まれ落ちた時点でプログラムされている神経システムなので、意識にのぼることがほとんどない事象、従って普通はhiddenである。
西欧医学では、基礎医学的にヤツメウナギ等でMMC/LMCとしてこのhidden神経系が明らかになったが、ヒトでの身体反応は表面化していない。実は東洋系Bodyworkは伝承として気付いていた。東洋から西欧への世界でもある!

西野流呼吸法とは、我々の身体の奥深く(DeepBody)で機能する「原生自然のシステム」にアクセスするBodyworkであるといえる(多くのかたが誤解するガス交換とは別の、呼吸運動により初めて可能になる基盤的体幹システムへのアクセスである、リンクhttps://note.com/deepbody_nukiwat/n/n328550f37a0a?magazine_key=m5c150c5d198f)。

西野流呼吸法の魅力とは、この「内なる原生自然(野性)」を知覚する事、これを日常に身につける努力、そして「内なる原生自然(野性)」を生きることである。

現代生活で自分の中にここに言う「原生自然(野性)感」を持つ機会はほとんどない。
スポーツなど肉体は酷使する、Game性はある、しかしそれではWilderness(原生自然(野性)感)には結びつかない。かつて宗教と関連した巡礼、登山などは近いかもしれない。あるいは相撲の組み手中に現れるかもしれない。

西野流呼吸法稽古でこのWilderness(原生自然(野性)感)をひとたび知ると、稽古が心から楽しめるようになる。
またしばらく稽古を離れていても、一度感取したWilderness(原生自然(野性)感)にはすぐ戻れる

第VI章では、足芯呼吸、華輪に続く西野流呼吸法の基礎Bodyworkを記載する。
それは単に稽古の手法ではなく、そのBodyworkが自身の身体、ことに体幹筋肉群のどこに、しかも呼吸と共に、アクセスするのかをも紹介しながら、Wilderness hidden inside(自分の中の隠れた原生自然)への旅路を記したい。

少し専門的になるが。実はいよいよこうしたシステムが、Brain Initiative計画(現在はBICCN;Brain Initiative-Cell Census Network、リンクhttps://biccn.org/)から明らかになりつつある時代である。


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