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第1章 V 身体軸の回旋と体幹と四肢の連携-西野流呼吸法「華輪」2)二足歩行で忘れた四足歩行前肢―華輪上段の振り

第1章 V 身体軸の回旋と体幹と四肢の連携-西野流呼吸法「華輪」
2)二足歩行で忘れた四足歩行前肢―華輪上段の振り

 
腰の周り(中段)で振っていた両腕を、両肩の高さに放り挙げて回旋する(YouTube、https://www.youtube.com/watch?v=Wu2tKqMbMBo&t=167s)。
気持ちは上げず、一方で身体の中の感覚は、連動する足指の逆方向へのつっぱりも感じる。
腕を肩の高さに放り上げると、必然的に持ち上げた方の肩甲骨は大きく開かれ、呼気と共に背中からずれ肋骨のケージ(鳥籠)の上を滑る(Wikipedia、再掲https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/46/Shoulder_blade2.gif、Images are generated by Database Center for Lifescience (DBCLS). - from Anatomography, website maintained by Life Science Databases(LSDB))。
反対側への回旋でも同じ。これを左右60回ほど繰り返す。
 
この上段の回旋は体のいろいろな部分を意識できる動作である。
その中心動作としては肩甲骨、あるいは肩甲骨に付着する筋群の左右への気持ちいいストレッチである。
 
我々は毎日、二足歩行で生活し、上肢は四足歩行のボディープランの前足であった事、さらには水の中では胸びれであったこと等は、ほとんど全く忘れている。
日常的に両手で用事をするときには、こうした肩甲骨に付着する筋群を動かす意識はない。そういう状況で加齢が進むと肩甲骨周辺が硬くなる。
 
肩甲骨とは、二足歩行の前足の運動の要である。下肢の腰に匹敵する。
便利なWikipediaで調べると、肩甲骨には15種類もの筋肉が肩胛骨に付着している。
(エピソードV-3、https://note.com/deepbody_nukiwat/n/ndfd3421140fe
その各筋肉の一覧から名前をクリックすれば、Wikipedia上でその筋肉の形態と位置を図として確認できる。
 
Wikipediaの内容の信頼度はいろいろだ。解剖学や遺伝子の説明などは比較的に充実していて、各国語で記載の比較もでき便利である。この機会に、自分で肩甲骨に着いた筋肉をしげしげと眺め、その位置をイメージするのもいいことである(Wikipedia、再掲https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%82%A9%E7%94%B2%E9%AA%A8)。
 
これだけ多数の筋群を左右に振って連続して刺激できるところに、華輪上段の回旋の稽古の意義がある。
もちろん、肩甲骨近傍だけの話ではない。
前述したように腱構造で連携しているので、腰部、骨盤付着の筋群、側腹の筋群、さらには下肢筋群から、足指の先の筋群まで交互にストレッチされる。
 
体軸あるいは体幹感覚は、こうした全身の筋肉群の機能的連携が体軸として感じるものだろう。
華輪の稽古は不思議な軸感覚を生む。これも後ほど議論したい。身体の軸が感じられるようになると、対気に新しい展開が生まれる。
 
関連するエピソードの内容は少し専門的過ぎる(?一般知識として)かもしれない。
しかしこうした背景を少し理解しないと、身体というものを共通言語では語れない。
 
華輪の呼吸もポイントである。
一番身体をねじったところで呼気、すなわち息を吐き切る。そして回旋しながら息を吸い、また対側に捻って最後に息を吐き切る。
この身体を捻り切ったところで、腹筋群を収縮しながら息を吐く
 
これはActive expiration(能動的呼気)である。
(電子ジャーナル「呼吸臨床」連載、第7回、全文表示にはID/PW登録必要:https://kokyurinsho.com/focus/e00068/
西野流呼吸法総本部YouTube:https://www.youtube.com/watch?v=tjAF4-cfa48
中段、上段、下段と約200回回旋すると、200回のActive expirationを実施する。
このActive expirationが丹田(腹筋系体幹筋群)を作る。華輪は丹田を育てる優れた方法でもある。
 
華輪は、西野先生の天才的身体感覚による、素晴らしいオリジナル呼吸法である。

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