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こころをからだに繋ぐ呼吸法Bodywork 第2章 X 西野流呼吸法「対気」Bodywork X-1:「対気」現象の記述にあたって

西野流呼吸法もその基礎Bodyworkの記述から、「対気」へ進む。

「対気」という、世界に同等のもののない、オリジナルな呼吸法bodyworkは、西野流呼吸法の本質である。
それは誰が経験しても、教えられるまでもなく、実感することである。
西野皓三先生ご自身、そう心得ておられたのを、直接耳にした。

それだけに医師として、この現象を記述するのは、本当に難しい。
一つの理由は、この現象を説明する医学生理学が現状では不備であるからである。
言い換えれば、医学が新しく生まれ換わった西欧ルネサンス期から、医学は人体解剖を基に構築された。しかし20世紀までの現代医学の基礎、病理などだけでは、この現象を説明しきれない。では何が必要か?

それは我々の身体の地球時間的な、一方において受精卵から発生の生涯時間的な理解、すなわち地球上生物ことに脊椎動物としての「進化」学と、受精卵が分割して形成される我々の「発生」学による身体理解が必要である。

この系統進化と個体発生から身体を理解するための言葉は、分子生物学、よく耳にする「ゲノム」という遺伝子総体であり、それが人以外の動物や、また我々の身体の形態形成も含め、大きく理解が進んでいるのが21世紀である。
したがって「対気」の現象は、完全な理解はなお今後であり、現在はその手がかりを記述できるに過ぎない。

その手がかりの一つが、脊椎動物進化が示す二系統運動系であり、対気による現象は錐体外路系(大脳基底核/延髄/脊髄CPG)反応と理解される。
一方この事実は、この西野流呼吸法というbodywork、さらにいえば東洋系bodyworkに共通する身体反応が、Subcortical(皮質下:旧脳ともいわれる生存のための深い基盤)に関連することを意味する。

このnoteを“Project DeepBody”と命名したのは、まさに西野流呼吸法が新たな身体理解、新たな医学に発展する可能性を秘めるからである。

私は1989年、41歳で西野流呼吸法を習い始めた。
当初の呼吸法稽古における日記や、メモが今も残っている。
その頃から感じていた西野流呼吸法の魅力を、この「対気」現象の記述を開始する最初に記録しておく:

1)西野流呼吸法のユニークさ。
現象としては、常温超伝導、核融合のように、思いもかけなかったフロンティアの事実。
その意義は人間の能力としてもっと深い。

2)中世の後の、ギリシャ・ローマの復活が西欧のルネサンス!
(西野流呼吸法は)近代の後の、インド・中国の復活の意味で、ルネサンス
(現時点の追加:しかもテキスト的ではなく、身体反応Bodywork実践としての意味で。
言いかえれば、このインド・中国の復活の意味が、Subcortex(旧脳)に繋がるルネサンス

3)一般への開放。
名人芸とか一部の人にのみ伝授するという方法を取らず、多くの人に可能な、「Method」を開発した。これはreproducibleな道への第一歩。

「対気」Bodyworkは30年をへても、毎回毎回が新鮮で楽しい。
この「新鮮さ」という感覚は、大脳皮質的な記述的なものでなく、何らかのSubcorticalな要素が関係するのではないか、と考えている。
そしてこのSubcortical世界に気づいていたのが、歴史的にインド・中国などの東洋世界である。
坐禅、Yoga、さらにはMindfulnessなどへ広がる、西欧における東洋ブームは、西欧世界になかった、このSubcortical世界への希求を満足させるものでないのか。

西野流呼吸法「対気」Bodyworkは、西欧医学の知らない、Subcortical世界へのaccess methodといえる。
それが医学共通言語で理解されたとき、西野流呼吸法のMethodは世界80億人へ広がり、人間の可能性拡大として、医学をはじめ多くの領域へ、影響が広がる。
それが“Project DeepBody”の最終的Goalである。

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