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第8回「ガチ中華」人気4ジャンル~④「小吃」【中華スイーツ】

もともとぼく自身はスイーツを口にすることはあんまりないのですが、東京ディープチャイナ研究会のメンバーには女性も多く、彼女たちが新しい店やスイーツ情報を提供してくれるので、ぼくもけっこういろいろ知っています(知ってるだけで、食べたことがないものが多いけど…)。
 
ここでは、ぼくが実際に食べたことのある中華スイーツを紹介します。
 
■豆花(台湾)

みなさんご存知、台湾スイーツといえば、ほんのり甘くておいしい豆花(トウファ)ですね。

神田にある台湾伝統豆花専門店「東京花豆工房」の全部のせ豆花(江上ふくさん撮影)


これは前回の小吃【後編】で紹介した「豆腐脳」と同じ食べ物の一種なのですが、こちらはデザートです。都内には豆花の専門カフェが増えていて、豆腐の上にシャーベット状のシロップをかけたり、いろんなトッピングが楽しめます。甘ったるくないので、ぼくも好きです。

 
さて、ここからは中国発の「ガチ中華」スイーツです。

■冰粉(四川)
 
四川発のさわやかご当地スイーツの代表が冰粉(ビンフェン)です。

高田馬場の「阿香米線」の冰粉(植田美佳子さん撮影)


麻辣料理で舌がシビれたとき、それを優しく癒してくれるデザートがこれ。弾力のある透明なゼリーをメインにフルーツやレーズン、サンザシ、ピーナッツ、黒蜜などをトッピングしたもの。氷を入れて冷たくして食べます。ほどよい甘さがうれしいのです。
 
四川料理店に行けば、たいてい食べられます。

■红糖糍粑(四川)
 
同じく四川発で、黒糖の甘みがおいしい揚げ餅が红糖糍粑(ホンタンツーバー)です。

池袋の四川料理店「品品香」の红糖糍粑


こちらも四川を代表するスイーツで、麻辣料理を食べた後にはぜひ頼みたい一品。ぶつ切りした餅を鍋で表裏ともに黄金色になるまで焼き、甘くて香りのいい黒糖とキナコをかけたもの。アツアツの衣を噛むと、中のとろける餅がこぼれ出し、口の中に甘みが広がります。
 
中華スイーツにはこうした揚げ餅など、火の通ったスイーツが多いのも特徴です。

■酒醸元宵(上海) 
 
中国では元宵節(旧暦1月15日の祝日)に食べるスイーツが酒醸元宵(ジウニャンユエンシャオ)です。
 

池袋の海鮮中華の店「四季海岸」の酒醸元宵


「酒醸(ジウニャン)」という甘酒の透き通った汁に「湯圓(タンユエン)」と呼ばれる白玉団子を入れます。丸い白玉は一家団欒や家族円満の象徴です。江南地方や台湾などでよく食べます。
 
中華スイーツは、やはり広東や香港など南方が本場のようです。
 
■エッグタルト(香港)
 
最近、広東や香港のロースト料理を食べさせてくれる「ガチ中華」の店や香港式の「茶餐廳(チャーチャンテン)」と呼ばれる現地のファミレスに近い形態の店が都内に現れており、エッグタルトも身近な存在になっています。

四谷三丁目の「香港物語スイーツ」のエッグタルト(江上ふくさん撮影)


■マンゴープリン(香港)
 
中国語圏の人たちが来日して飲食店を開くとき、最初に採り入れたのが、日本式の定食スタイルでした。ごはんに主菜、スープ、そして杏仁豆腐かマンゴープリンのデザートを小皿で付けるというものです。なぜなら、もともと中国にはそのような定食スタイルは、学食や社員食堂などを除くと、一般の飲食店ではなかったからです(いまでは中国でも個食化が進み、定食屋はあります)。

代々木の「点心厨房」のマンゴープリン


最近はガチな香港飲茶の店も増えているので、本格的なマンゴープリンが食べられるようになりました。完熟したマンゴーをそのままいただいているような濃厚な味わいです。
 
■桃膠丸子双皮奶(広東)
 
これは早稲田にある「甘露」という中国茶と薬膳スイーツで有名な店の広東式ミルクプリンです。

「甘露」はお茶好きやスイーツ好きの間で有名な店です(江上ふくさん撮影)

 
桃の樹液と白玉入りで桃膠丸子双皮奶(タオジュオガンズシュァンピィナイ)といいます。「双皮奶」(シュァンピィナイ)はミルクプリンのことで、2回蒸すことでできる二層の膜があることが名前の由来です。
 
「桃膠」(タオジュオ)は美容効果の高い桃の樹液、「丸子」は白玉です。プリンは卵白とミルク、砂糖だけで作られているそうで、ほんのりとした甘さが広がります。
 
この店ではほかにも、銀耳湯(白きくらげ)や紅豆沙(あずきのおしるこ)、糕(中国風粉菓子)、湯圓(白玉)などが楽しめます。本格的ですね。

 
■ヨンジーガムロ(楊枝甘露)(香港、台湾)
 
これドリンクとしても、ちょっと日本でも流行しましたね。マンゴー果肉や果汁、小粒のタピオカ、コンデンスミルク、ココナッツミルクなどのミックススイーツです。

四谷三丁目の「香港物語スイーツ」のヨンジーガムロ(江上ふくさん撮影)


流行に敏感な「ガチ中華」オーナーたちですから、メニューとして採り入れている店も増えています。最近は中華スイーツ専門のカフェなども現れています。

最後にちょっとぼく好みのスイーツ。

■冰紅豆沙(広東、香港)
 
ココナッツミルクと小豆のぜんざいの冰紅豆沙(ビンホンドウシャー)です。

池袋の海鮮中華の店「四季海岸」の冰紅豆沙


ココナッツの甘い香りと小豆の風味が溶け合って口にやさしい香港系デザートの逸品です。氷やアイスを入れて冷たくしても、ほんのり温めても、どちらもおいしいです。白玉やお餅を入れてもいい。甘さ控えめなので、お腹いっぱいでも別腹でいけます。
 
実際にはもっとたくさんあるのですが、このへんで。もっと詳しく知りたい方は、東京ディープチャイナのSNSを覗いてみてください。

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