中村正人

SNSでつながる「ガチ中華」応援コミュニティ「東京ディープチャイナ」代表。メンバーと訪…

中村正人

SNSでつながる「ガチ中華」応援コミュニティ「東京ディープチャイナ」代表。メンバーと訪ねたおいしい店と料理の情報をウエブやSNS等で日々配信。街歩きツアーや食事会も開催中。インバウンドやウラジオストクなどのジャンルも専門 https://deep-china.tokyo

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第1回「ガチ中華」とは何ですか? 研究会事始めストーリー

はじめまして。「ガチ中華」応援団を自認する「東京ディープチャイナ研究会」代表の中村正人です。 当研究会は「ガチ中華」を愛好するSNSでゆるくつながったコミュニティで、約5000人の人たちが登録しています。グループの皆さんは日々自身で見つけた「ガチ中華」の店や料理、食材店や食フェスの話題、手づくりレシピなどの情報を共有・交換しています。 誰かが面白い店を見つけたら、SNSに投稿するだけでなく、食事会を企画して、みんなで集まっています。グループの人たちは、居住地も都内に限

    • 第21回 東京で食べられるモンゴル国の料理~「ガチ中華」の地方料理⑪

      モンゴル料理と一般に称される草原のグルメには、中国内モンゴルとメインランドのモンゴル国では少し違いがあることはすでにお話ししました。 そして前回は、東京にある中国内モンゴル料理の店を紹介しました。そこで見られたのは、店の担い手がモンゴル民族の人たちだけでなく、同エリア出身の回族や華人の人たちの店もあり、それによって店の雰囲気や供される料理も少し違うことでした。 では、東京にあるモンゴル国の料理はどのようなものなのでしょうか。中国内モンゴルの料理と違いがあるのか。実際

      • 第20回 東京で食べられる中国内モンゴル料理~「ガチ中華」の地方料理⑩

        第18回中国内モンゴル、第19回モンゴル国と、それぞれ同じモンゴル民族でありながら、現地で食べられている料理は、基本は同じ系統ながら、中身はずいぶん異なっていることをお話ししました。 東京ではどうでしょうか。 そこで今回は、東京でぼくが食べた内モンゴルの料理を紹介します。 豚肉が当たり前の中華のメニューも、羊肉を使うと草原の味になります。必ずしも内モンゴル出身の人たちの店だけではなく、内モンゴルに近い東北地方の華人経営の店で出された料理も含めています。

        • 第19回 モンゴル国で食べた羊料理~「ガチ中華」の地方料理⑩

          前回は中国の内モンゴルで食べた羊料理の話を書きましたが、実はぼくは、2022年7月にコロナ禍後初めての海外渡航先としてモンゴル国を訪ねており、その食の話も書きたくなりました。 当時、あまり知られていない話でしたが、モンゴル国は2022年春からいち早く外国人観光客の受け入れを開始していました。ですから、その頃、日本人が最も旅しやすい国のひとつだったのです。 さて、モンゴル国と中国内モンゴルの料理は同じなのでしょうか? 今回はそんな話をしようと思います。 モンゴル国

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        第1回「ガチ中華」とは何ですか? 研究会事始めストーリー

          第18回 中国内モンゴルで食べた羊料理~「ガチ中華」の地方料理⑨

          第15回新疆、第16回山西、第17回河南と中国北方の地方料理を紹介してきたので、次は中国の内モンゴル料理にしようと思ったのですが、ぼくは2016年7月に内モンゴル自治区のフルンボイル平原を旅したことがありました。 そこで、東京で食べられる内モンゴル料理の話をする前に、ちょっと気分転換。旅先で食べたモンゴルの料理の話をしようと思います。(撮影/佐藤憲一) 内モンゴル自治区の東北部に位置するフルンボイル平原には、なだらかな丘陵と草原がどこまでも広がり、馬や羊が群れなしています

          第18回 中国内モンゴルで食べた羊料理~「ガチ中華」の地方料理⑨

          第17回 河南料理のホイミェンをご存知ですか?~「ガチ中華」の地方料理⑧

          第1回「ガチ中華」とは何ですか? 研究会事始めストーリーで書いたように、ぼくが「ガチ中華」に関心を持つきっかけとなったのは、2020年初春、突如襲われることになったコロナ禍でした。 その年の4月頃、池袋を歩いているとき、ディープな中華料理店、いまでいう「ガチ中華」の増加ぶりに驚きました。いったい何が起きているのだろう……。その全体像を探るべく、都内の「ガチ中華」の集中エリアを訪ね始めました。 最初の頃、特に印象に残っているのは、池袋にある「池袋小吃居」という河南料理

          第17回 河南料理のホイミェンをご存知ですか?~「ガチ中華」の地方料理⑧

          第16回 中国の麺どころ、山西料理の店~「ガチ中華」の地方料理⑦

          最近、流行の「ガチ中華」麺といえば、ビャンビャン麺や蘭州牛肉麺などが知られていますが、中国山西省発祥の刀削麺は、実をいえば、日本で最初に広まった「ガチ中華」といえるかもしれません。 なぜなら、1990年代半ばくらいから刀削麺を出す店が都内に現れているからです。 うどんともラーメンとも違うあの独特のモチモチした食感は、「く」の字型をした包丁を使って小麦粉の固まりを手早くカッティングし、グツグツ沸いている大鍋に落として茹でることから生まれます。 山西省は「中国の麺どころ

          第16回 中国の麺どころ、山西料理の店~「ガチ中華」の地方料理⑦

          第15回シルクロードの風を感じる新疆料理の店~「ガチ中華」の地方料理⑥

          最近、東京でよく目につく「ガチ中華」の地方料理のジャンルに、黄河流域からシルクロードにつながる甘粛省や陝西省、内モンゴル自治区、新疆ウイグル自治区などの西北地域の料理があります。 これらの料理の特徴は、羊肉とスパイスです。羊肉は塩やクミンなどを振りかけ、強火で焼いて食べるのが一般的ですが、塩茹でにしたり、スープや鍋にも使います。味つけは他の中国各地の地方料理に比べてシンプルです。 もともと遊牧民であるモンゴル人、回族やウイグル人などのイスラム教徒が食べていたもので、中国

          第15回シルクロードの風を感じる新疆料理の店~「ガチ中華」の地方料理⑥

          第14回 海鮮がおいしい大連料理の店~「ガチ中華」の地方料理⑤

          大連は中国遼寧省の南端にある遼東半島に位置する美しい港町で、昔多くの日本人が住んでいました。海鮮が豊富なことから、町にはシーフードレストランがたくさんあります。 餃子の具に魚やアワビなどの海鮮を使うのが特徴で、おいしい海鮮スープ鍋や飲茶の点心など、日本人好みのグルメの宝庫といえます。 黄海に面した大連の料理が他の内陸の東北料理とは少し毛色が違うのは、19世紀に山東省から渡ってきた人たちが多いせいか、山東料理(魯菜)、細かくいうと「膠東菜(ジャオドンツァイ)」と呼ばれる

          第14回 海鮮がおいしい大連料理の店~「ガチ中華」の地方料理⑤

          第13回 東京で食べられる延辺朝鮮料理の店~「ガチ中華」の地方料理④

          延辺朝鮮料理(以下、延辺料理)の店が東京に現れたのは、2000年前後頃からと、他の地方の「ガチ中華」に比べ、かなり早いです。 有名なのは「千里香」(池袋、新大久保、新宿、上野)「延吉香」(新大久保、御徒町)「四季香」(池袋、上野、府中)でしょうか。 この3店はすべて足を運んだことがありますが、ぼくが比較的よく行くのは、池袋にある千里香です。もう10年以上前のことですが、この店で延辺由来の自動串焼き器を最初に見つけたからです。 いまでは都内の延辺料理店では、どこでも

          第13回 東京で食べられる延辺朝鮮料理の店~「ガチ中華」の地方料理④

          第12回 中国のコリア系、延辺朝鮮料理~「ガチ中華」の地方料理③

          みなさん、延辺朝鮮料理をご存知でしょうか。 中国吉林省東部に朝鮮系住民(中国では朝鮮族と呼ばれています)が住んでいる延辺朝鮮族自治州(以下、延辺)があります。つまり、東京に来た中国の延辺朝鮮族の人たちが供する料理をいいます。 延辺はおいしい米を産する土地として知られ、中朝国境にまたがる美しいカルデラ湖で知られる長白山(ちなみに北朝鮮では白頭山と呼んでいます。 撮影/佐藤憲一)のふもとで採れる朝鮮人参や豊富なキノコ類などの山の幸とともに、お隣の国北朝鮮から日本海でとれる海

          第12回 中国のコリア系、延辺朝鮮料理~「ガチ中華」の地方料理③

          第11回 煮込みがおいしい東北料理~「ガチ中華」の地方料理②

          この写真は、中国最北端に位置する黒龍江省ハルビンで毎年1月、零下20度の気温の中で開催される氷祭りの様子です。実はいま、まさに開催中です。ぼくも一度行ったことがありますが、寒さはハンパじゃなかったです。(撮影/佐藤憲一) 中国の「東北」とは、遼寧省、吉林省、黒龍江省の3省を指します。内モンゴル自治区の東北部も含めていいでしょう。 東北料理は、中国を代表する四大料理や八大料理には入らず、どちらかといえば田舎料理扱いですが、寒冷な気候や風土に根差した独自の味覚も生んでいます。

          第11回 煮込みがおいしい東北料理~「ガチ中華」の地方料理②

          第10回 麻辣といえば四川料理~「ガチ中華」の地方料理①

          「ガチ中華」には大きく2つの特徴がありますが、そのうちのひとつが「これまで日本では味わえなかった中国語圏各地の地方料理」の世界です。 これから数々の地方料理を紹介していくつもりですが、まず「ガチ中華」の代名詞ともいえる四川料理から始めましょう。 四川料理は中国語で「川菜(チュアンツァイ)」と呼ばれます。日本では四川料理といえば、辛さ=「辣(ラー)」で知られてきましたが、本来は中華山椒の花椒(ホワジャオ)のシビれ=「麻(マー)」と辛さをかけ合わせた「麻辣」が特徴です。こ

          第10回 麻辣といえば四川料理~「ガチ中華」の地方料理①

          第9回「ガチ中華」の2つの特徴~その1中国語圏各地の地方料理

          人気の4ジャンルの次は「ガチ中華」の大きな2つの特徴のうちのひとつ、「これまで日本では味わえなかった中国語圏各地の地方料理」の話をしましょう。 中華料理は一般に四大料理(北京、上海、広東、四川)が知られていますが、いま都内に急増しているのは、それ以外の地方の料理で、挙げればきりがありませんが、たとえば湖南や貴州、雲南、福建、西安、新疆ウイグル、内モンゴル、東北などの郷土料理です。 今回は、都内で食べられるガチな地方料理をざっと紹介しましょう。 ■四川料理 近年、

          第9回「ガチ中華」の2つの特徴~その1中国語圏各地の地方料理

          第8回「ガチ中華」人気4ジャンル~④「小吃」【中華スイーツ】

          もともとぼく自身はスイーツを口にすることはあんまりないのですが、東京ディープチャイナ研究会のメンバーには女性も多く、彼女たちが新しい店やスイーツ情報を提供してくれるので、ぼくもけっこういろいろ知っています(知ってるだけで、食べたことがないものが多いけど…)。 ここでは、ぼくが実際に食べたことのある中華スイーツを紹介します。 ■豆花(台湾) みなさんご存知、台湾スイーツといえば、ほんのり甘くておいしい豆花(トウファ)ですね。 これは前回の小吃【後編】で紹介した「豆腐

          第8回「ガチ中華」人気4ジャンル~④「小吃」【中華スイーツ】

          第7回「ガチ中華」人気4ジャンル~④「小吃」ジャンク系、朝ごはん、ひんやり系

          「ガチ中華」の中には、一般の日本人が食べたことのない食材、ゆえにゲテモノ感の強い小吃(シャオチー)もけっこうあります。その筆頭はザリガニでしょうか。 もともと日本にはない、あるいは仮にあっても食べる習慣のない食材ですから、食用として中国やアジアの国々から輸入するほかないわけですが、いまではこれらのインポート食材を使った「ガチ中華」を消費するのに充分な顧客が日本にいるから、ぼくらの目の前にこうした小吃が現れるようになったのです。 では、ジャンク系小吃からいきましょう。

          第7回「ガチ中華」人気4ジャンル~④「小吃」ジャンク系、朝ごはん、ひんやり系