福山最大の祭り「ばら祭」を旅して、福山を知る like a local in Fukuyama

毎年5月、初夏の訪れを告げる福山市民のお祭りとして開かれるのが、「福山ばら祭」。その名前から、園芸ファンやシニア中心かと思いきや、地元内外から子どもから大人まで幅広い世代が訪れる福山最大のイベントだ。いったい、何が人々をそこまで惹きつけるのでしょう。その理由を探しに、お祭りに出かけてみることにした。

「ばらのまち」の始まり

そもそも、福山が“ばらのまち”として歩み始めたのは戦後のこと。1945年8月8日の大空襲で市内中心部の大半が焼失し、多くの尊い命が失われた後の混迷を抜け出せないなか、「荒廃したまちに潤いを与え、人々の心に安らぎをもたらそう」と、南公園(現在のばら公園)近くの市民がばらの苗1,000本を持ち寄って植えたのが始まりなのだそう。

 植えられたばらは市民によって大切に熱心に育てられ、やがてピンクや赤、黄などの美しい花を開き、それをきっかけにまるで花が花を呼ぶかのように、西ドイツやカナダなど、欧米各国の寄付分を含めて約280種4,500本(現在は5,500本)が集まり、全国屈指の内容を誇る「ばら公園」が誕生することになった。

1967年、ばら公園は「美しい町づくりコンクール」にて「全国美しい町づくり最優秀賞」を受賞した(提供:福山市)

 さらに、1956年には福山のばら愛好家47名が集って「福山ばら会」が結成され、ばらをフラスコに入れて一般公開した「第1回バラ展示会」を市内の金融機関で開催。それが、現在まで続くばら祭の前身なのだそう。そうして花の輪は広がりを続け、福山は約50万本のばらが咲き誇る“ばらのまち”に。その後、市の主催で「ばら祭」が始まり、ばらを通じて「思いやり、優しさ、助け合い」の心を育てる「ローズマインド」という言葉が今に続いている。

1968年5月17日に開催された「第1回バラ祭」(提供:福山市)

 1992年には、メイン会場をそれまでの「ばら公園」から「緑町公園」へと移し、2000年に全国から選りすぐりの大道芸人が集結する「ふくやま大道芸会」が行われ、続いてローズパレード、音楽や踊りのステージ、フリーマーケットが加わるなど、年々その規模は拡大し、現在は80万人以上が訪れる“備後地方最大の祭典”へと成長。大切に育てられてきたお祭り。市民の愛着がいっぱいに詰まっているのにも納得できる。

ばらに導かれてまちを歩く

「ばら祭」の朝、ガイドマップを手にまちへ出ると、複数の公園へ縦横に繋がる複数の商店街や通りには出店が並び、まちじゅうがお祭りモードに包まれていた。

駅前やデパートの前、駐車場など、まちのあらゆるスポットでは大道芸人たちの小さなステージが現れ、家族連れや小中学生くらいの友人グループが弧を描いて見物している。技が成功すると歓声や拍手が起こり、失敗したら「がんばって!」とエールが送られる。その光景が微笑ましく、つい立ち止まって眺めてしまう。

通りに咲くばらを追いかけるように進むと、銀座霞商店街(ローズナード霞)では、商店街にワイナリーを構える「福山わいん工房」が主催となり、「備後ワインフェスタ Vol.1」が開催されていた。備後圏域や長野のワイナリーが集まり、生産者が口々にワインのことを教えてくれるのが楽しい。

「ばら祭」とともに企画されるイベントは多く、次の商店街、次の商店街と歩いて行けば、「パンマルシェ」や「フリーマーケット」など、さまざまなイベントが展開されているという具合。気が付けばまちをぐるっと一周していた。

会場となる「ばら公園」と「緑町公園」に辿り着くと、一面を覆う色鮮やかなばらに見惚れてしまう。聞けば、現在もボランティアさんによって手入れされているそう。先人たちの思いが、ばらとともに大切に受け継がれている。

いたるところに、まちの人との出会いがある

ばら導かれるように歩けば、いくつものエリアを周り、まちなかに同時多発的に仕掛けられたイベントを通じて、まちの人たちと出会い、語らうことができる。このお祭りのなかには、福山の先代たちの思い、そして、今を担う人たちの姿の両方がある。その両方に出会うことができるのが、「ばら祭」の楽しさだと思う。

気づけば、朝から晩までまちを歩き回ってしまう「ばら祭」。5月に福山を訪れるなら、ぜひ、一緒に旅してほしい。

福山ばら祭
毎年5月の第3土日開催

ふくやま大道芸会
ばら祭と同日開催

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地元の人に混じって、食べたい、飲みたい、語りたい。そんな旅がしたい。
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