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【DX事業部必読】キャッシュプーリングとブロックチェーンについて

こんにちは。共同代表のTaishiです。夏の終わりをひしひしと感じて少し寂しくなりますね。この時期は例年漫画を読みこんでしまう癖があり、ほぼ毎日漫画を読んでいます。去年途中で読むのを止めていた少年のアビス、十字架のろくにん他数作をすべて最新話までキャッチアップしてしまいました。全体的にタイトルが暗めですがちゃんと明るいタイトルも読んでます。

あ、ちゃんと仕事はしてます。秋は恐らく最も苦手な季節で、秋→冬→夏→春の順にパフォーマンスが上がります。お前のパフォーマンスなんて知らねーよって話ですよね、はい。

今日はキャッシュプーリングについてつらつら記載でもしていこうかと。聞きなれない単語かとは思いますが、ステーブルコインの普及とともにDXの文脈で業務効率化に寄与する領域だと考えられるためです。グローバル企業のトレジャリーセンター(財務統括拠点)とかはキャッシュプーリングを有効活用しながらグループ内の財務健全性を高めています。そう、トレジャリーは当然web3系プロジェクトにもありますよね。だからこそ今回はキャッシュプーリングをテーマにしました。

長くなりました、今日のお品書きです。


グローバル企業の現状

業績悪化により資金繰りに窮する拠点が存在する一方、資金を潤沢に保有する拠点もありグループ内での資金の過不足にはどうしてもばらつきが生じてしまうという現状があり、企業としては余剰資金を効率的に活用していく必要性が増々高まっています。

一方、世界的な利上げや信用スプレッドの上昇を受け、業績の芳しくない拠点が現地の銀行からデットを引く場合金利が想定以上に高くなるケースが散見されています。また、企業グループ全体で見た場合は外部金融機関への支払利息が決して小さくはないというところも課題感としては持っている企業もあるかと推察されます。

キャッシュプーリングとは

キャッシュプーリングとは、キャッシュプールというヘッダー口座(主にグループ内財務統括拠点)に資金をプールし、資金余剰拠点から資金不足拠点への融資をヘッダー口座からフッター口座にて行うような仕組みを指します。

キャッシュプーリングは連結ベースでの資金の全体最適の目指すことが目的のため、原則、全てのグループ会社がキャッシュプーリングに参加します。

資金の全体最適化という観点では他にも配当やインターカンパニーローンがありますが、配当の場合取締役会の決議等が必要となりますし、インターカンパニーローンの場合貸付期間や貸付利息などの諸条件を決定しつつ移転価格税制への配慮も必要となるうえ、決裁権限者の承認が必要です。めんどくさ過ぎますよね。配当とかインターカンパニーローンに関しても都度会計系のコンサルに依頼をしているところもあるでしょうし、それくらい煩雑なのです。そういった観点ではキャッシュプーリングにはメリットがあるでしょう。

キャッシュプーリングのめんどくさい点

キャッシュプーリングはメリットも多いですが、一方でそれなりの手間も発生します。内部的にはキャッシュプーリング導入銀行の選定、財務ポリシーのルールメイク等が必要になるためです。

対外的な部分では主に税務周りでしょうか。キャッシュプーリングを導入する企業は海外拠点を有する企業体であるため、国際税務と向き合う必要性が出てきます。例えば過大利子支払い税制、タックスヘイブン対策税制及び移転価格税制等です。

少しだけ掘り下げますと、

①ヘッダー口座からフッター口座への貸し付けに係る金利の設定及び借り手の信用力評価、
②キャッシュプーリングアレンジにあたっての事実関係やプールリーダーの果たす機能・保有する資産及び負担するリスク、並びに
③プーリングベネフィットの適切な配賦あたりは最低限検討

が必要となります。

普通に難易度高いです。まあこれは導入する以上やるしかないんですけどね。

この辺りの考え方はOECDのガイドラインにも明確に記載されていますし、税務当局も当然それを見越したモニタリングをしてくるでしょう。

これらを効率的に行うためにグローバル企業ではグループ内トレジャリーセンター(財務統括拠点)を設立していたりします。

キャッシュプーリングはブロックチェーンで効率化出来る?

キャッシュプーリング自体が提供する機能は資金の移動となりますので、ブロックチェーンとは親和性が高いと言えるでしょう。国際送金の手間を将来日本のメガバンクが発行するようなステーブルコインを活用すればステーブルコインのユースケースとしてはモデルケースになりますし、個人的には相性はいいと考えています。また、プーリングポリシーもスマートコントラクトで管理可能であることは一目瞭然です。

というのも、管理すべき項目が金額、金利、弁済期限のみですし、グループ内での資金移動なので清算を気にする必要がないためです。

個人的には本邦発行のステーブルコインの代表的なユースケースになるのではないかと期待していますし、ステーブルコインを発行したい理由って実はここにあるんじゃないかとさえ思ったりもしています。キャッシュプーリングってグローバル企業の相当数が導入してますからね。で、融資の切り替え営業のツールにもなるでしょうし、毎度毎度煩雑なドキュメンテーションを行う必要もなくなりそうです。

キャッシュプーリングをスマートコントラクトで実装し、価値移動には金融機関発行のステーブルコインを活用出来れば、

  1. コストの削減

  2. 迅速な国際送金の実現

  3. 海外拠点でのシェア獲得による金融機関の成長

  4. 3に伴った金融機関の収益源の多様化が期待できるでしょう。


web3ってかDXっぽい話になっちゃいましたね、すいません。

最後に

僕が財務系の話をたまにするのは、ブロックチェーンがもたらした恩恵としてパーミッションレスな価値交換という側面があるためです。

ブロックチェーンが可能にしたトラストレスな価値交換とそれを実現するオープンソースであるコードを有効活用すればデジタル化に課題を有する財務系の領域にも応用出来る可能性があるのではないかと考えていますし、ステーブルコインの代表的なユースケースを作ることが業界の発展には不可欠であるためです。

web3の自社事業への当て込み、トークノミクス、ブロックチェーンの活用、資金調達、財務会計、国際税務にご興味のある方はお気軽にご連絡ください。

それではまたの機会に。

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