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雨下の迷い者たち

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初連載小説です!!
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記事一覧

#20 雨下の迷い者たち

「爆破予告はモノノゾの仕業かもしれないよね」 屋上で、テンと顔をあわせた瞬間に、そう答え…

ひらり
6時間前
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#19 雨下の迷い者たち

「あーナナか。もう帰っちゃったかなあ」 ちらちらと後ろを振り返りながら、教室にいた男子生…

ひらり
1日前
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#18 雨下の迷い者たち

 入り口が分からなくなるくらい奥へ入り組んで入っていったから、出口が分からないのでは、と…

ひらり
2日前
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#17 雨下の迷い者たち

 目の前にす、と降り立った時、テンが叫んだ。 「あ! アマオウ!」 え、アマオウ? ものす…

ひらり
4日前
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#16 雨下の迷い者たち

「昔々、まだ神様と人間が仲良かったころ、空の上には、天候をつかさどるお天気様がいました。…

ひらり
5日前
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#15 雨下の迷い者たち

壁をすり抜けると、そこには不思議な部屋が広がっていた。  木でつくられた壁と床には、とこ…

ひらり
6日前
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#13 雨下の迷い者たち

 静かだ。放課後の教室は、昼間とは別世界である。もうすでに、夕日が傾いている。のびた机の影が、まるで怪獣みたいだ。教室が傾いていて、まるで僕が垂直に立っているのが間違っているみたいな気持ちになる。  ごくり、とつばを飲み込む。 窓側の一番後ろの席のなかに手をいれる。手に、紙のようなものが触れた。これだ。こころなしか、この紙から変なにおいがするような気がする。このにおい、どこかで……  その机のいすをひいて、紙を出した、その時だった。 がたん、と音がして、後ろから落ちてきた何か

#12 雨下の迷い者たち

「あ、やっぱりここにいた!」 僕がピアノ猛特訓をはじめて、二週間くらいたった月曜日のある…

ひらり
9日前
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#11 雨下の迷い者たち

「なかなかやるじゃん!」 「すごいユウくん!」 ピアノを囲んだ輪の中から、そんな声が聞こ…

ひらり
11日前
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#10 雨下の迷い者たち

 音楽室は校舎の一番上の奥にある。つまり、一番遠い場所にあるのだ。楽器とか、高価なものが…

ひらり
12日前
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#9 雨下の迷い者たち

「なんか、イズくん変だったね」 理科室から出て廊下を歩きだす。テンは少し後ろを振り返って…

ひらり
13日前
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#8 雨下の迷い者たち

 理科室の中は、異空間だった。  ものづくり部は、見たところ五、六人しかいない(不良のよ…

ひらり
2週間前
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#7 雨下の迷い者たち

「てか、ここ立ち入り禁止だろ?」 屋上のドアから校舎内に入って、自分たちが校則を破ってい…

ひらり
2週間前
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#6 雨下の迷い者たち

「なあに? おテンさまにいってごらん?」 僕は、今までにあったこと、助けた女の子の話をした。合唱コンクールの伴奏者がいなくて困っていたこと。ピアノなんて弾けないくせに、引き受けてしまったこと。  話しながら、テンとか、周りにいたかえるやカタツムリの様子が変わっていくことに気が付いた。なんか僕、変なこと言った? 悪いことを言ってしまったような、そんな空気になった。え、でも別に、おかしなこと言ってないのに。かえるたちはいつの間にか僕の周りから逃げて、テンの後ろに隠れていた。震えて