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ブルーオーシャンを探そう:新しいアクティビティを通じて季節プロモーションを考える

こんにちは。ここ数日の東京は暖かい日が続いてます。花粉症の皆さま、身をもって春の訪れを感じる季節となりましたね。今回は、春にオススメのアクティビティをご紹介します。店頭販促の参考にもなりそうです。

主任研究員 鈴木雄高

チェアリングを楽しむ

 先日、地元である千葉県市川市で、仲間たちとチェアリングを楽しみました。チェアリングとは、パリッコさんとスズキナオさんが提唱するアクテビティで、持ち運べる椅子に座ってくつろいだりおしゃべりを楽しんだりするものです。下の写真は、その時の様子です。

写真1 市川市の江戸川堤防にある河津桜並木とチェアリングを楽しむ人たち

出典:筆者撮影(撮影日:2023年3月4日)

花は桜、桜はソメイヨシノ…だけではありません

 JR市川駅や京成国府台駅から徒歩10~15分程度の、江戸川の堤防上に、河津桜の並木があり、花は、例年3月上旬に見ごろをむかえます。今回のチェアリングでは、ソメイヨシノが満開になるよりも1か月ほど早い花見を満喫しました。花見というと、関東地方では3月下旬から4月上旬にかけて満開となるソメイヨシノの花を愛でることが、その代名詞になっていますが(桜前線や開花予報はソメイヨシノの開花を前提としています)、桜にも様々な種類があり、春には桜以外の花も満開になります。たとえば、市川市には、かつて桃の畑が京成線沿いに広がっており、春になると美しく咲き誇る花を見に、東京や横浜から列車に乗って大勢の花見客がやってきたといいます。

同質化競争によるレッドオーシャンから抜け出すには

 流通やマーケティングについて考えてみても、今日、花見関連の消費を喚起し、需要を獲得する動きは、ソメイヨシノの開花に合わせて行われているように見受けられます。大きな需要を獲得できる時期ではありますが、各社がこぞって商品パッケージを桜仕様にするなど、ソメイヨシノ関連市場はレッドオーシャン(激烈な競争で血の海のようになっている市場)の様相を呈しています。

 河津桜のように、ソメイヨシノとは開花時期が異なる花に注目して、チェアリングのような新しいアクテビティを提案すれば、そこにはブルーオーシャン(競争が少ない青い海のように広い市場)が広がっているかもしれません。写真のように、広大なブルースカイが広がっているかもしれません。

 小売業としては、最もメジャーな春の花であるソメイヨシノ関連の需要を獲得したいのは当然だと思いますが、それよりも早い時期に旬をむかえる花や、遅い時期に開花する花についても調べておき、店舗の近隣の公園などで見られる花を地図やカレンダーで示すなどして、顧客がなるべく長い春を満喫できるような提案をしたいですね。一部の人には知られていても、まだ認知していない人が多いチェアリングのようなアクテビティを紹介しつつ、椅子も販売する、といったチャレンジをする店舗が身近にあると、今度はどんな提案をしてくれるだろうか、と気になって、用がなくても足を運びたくなります。

独自の取り組みによって差異化を図ろう

 今回は、季節柄、花見関連の話題を取り上げましたが、需要の山ができる時期に、小売業各社が、類似した商品を、類似した方法で販売するという事態は、どの季節にも起きていることです。同質化競争が激化すると、市場はレッドオーシャン化します。高くそびえる需要の山があるとすれば、プロモーション期間を長くして裾野を広くしたり、使用場面を想起させるような提案によってコトを売ることで、独自性を発揮して、差異化を図りたいですね。そのためのヒントは、本稿の前半で紹介したような、小市民による何気ない身辺雑記にも隠れているはずです。


 この記事の内容と関連する話をしている様子を収録した動画を、流通経済研究所のYouTubeチャンネルで見ることができます。冒頭で、チェアリングについて、そして、花見需要の創造について話しています。