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セミナーレポート【9/28(水)開催 2022年のD&Iのトレンドと2030年のD&Iの未来予測

こんにちは、D&I Award運営事務局の白井です。

2022年9/1(木)に開催した<D&Iカンファレンス>にて発表したJobRainbowによる基調講演の内容を、9/28(水)のセミナーにてフルバージョンでお話しました。本セミナーのポイントをまとめてレポートします。

1. 2022年のD&Iの現状

前半部では近年のD&Iのトレンドや、D&Iを取り巻く状況についておさらいします。5つのポイントをお話しました。

2022年のD&Iの現状

a.日本の「人財」課題

現代の日本のD&Iを取り巻く現状として背景となる「人財」課題を見てみましょう。人財力については年々日本の国際的な人材競争力が低下しており、他国と比べても従業員エンゲージメントの低さが目立ちます。人財成長については企業が学び・成長に投資する額が少なく、個人の学習時間も諸外国と比較すると非常に少ない状況です。

b.加速する金融における透明性の多様性の動き

D&Iに関する近年の動きとしてはコーポレートガバナンスコード改訂人的資本可視化指針の発表により、経営陣の多様性や賃金格差など、透明性が重要視されるようになりつつあります。

c. 労働人口減少を見据えて多様な人財が活躍できる環境づくりの促進

また、労働人口減少にともなって、定年引き上げや技能実習制度見直し、障害のある社員の法定雇用率の引き上げ、育児・介護休業法の改正など、多様な人財が活躍できるような法整備が進んだ数年でもありました。

d.従業員個人の幸福・ニーズ・経験に注目

さらにコロナ禍でリモートワークが常態化したことで公私の境界線が曖昧になり、会社が従業員個人のウェルビーイングやエンゲージメント、従業員体験などを重視することで生産性を高めようとする傾向が見られました。

2022年D&Iの現状まとめ

上記5点を踏まえ、2022年のD&Iのトレンドを一言で表すとD&Iから「DE&I」にシフトした、と言えます。Equity(公平性)の観点から、法改正などを進めることで多様な人財が公平に機会へアクセスできるような制度が整備されつつあります。また、Experience & Engagementについては、従業員体験とエンゲージメントを向上させることを目的としてのD&Iの重要性も高まりました。

2030年のD&I未来予測

2030年のD&Iキーワードは「DEIB」

2030年のD&Iのキーワード

帰属意識や会社での心理的安全性を表すBelongingという言葉が加わった「DEIB」が世界的に注目を集めています。職場環境の整備だけではなく、従業員がそれぞれの会社に帰属意識を感じているか、という主観的な在り方へ焦点が移っています。2030年のD&Iを取り巻く状況について予想されることを5つに分けてお話しますが、その中で「DEIB」がキーワードとなります。

a.2030年の日本社会の姿

まずは2030年日本の労働市場の姿について。
避けられない労働力減少とケアラー人口の増加、国際競争力の低下、社会保障の疲弊などが予想されます。さらに技術革新やそれによる働き方の多様化・モビリティ向上なども加速するでしょう。

b.ESG投資の拡大とD&Iの取り組み

2030年にはESG投資額がさらに拡大し、その中でS(Social/社会)への投資のリターンが大きくなると予測されており、よりD&Iに取り組むことが重要になります。また、サプライチェーンマネジメントの観点からも、取引先のESGへの取り組みを重要視する企業が増えると考えられます。

c.ケアサービスの需要と可能性の拡大

社会保障の疲弊や人財の危機に伴い、ケアサービスの民営化が進むことが予想されます。一方でエイジテックを始めとするケアサービスのノウハウの輸出など、新しいイノベーションを生み出す可能性も拡大します。

d.新たな人財の育成・活躍

さらにD&Iの知識のある人事など、D&Iに特化した人財育成が注目され育成が拡がることが予想されます。また、超短時間労働などの仕組みを整えることでこれまで働けなかった人が職場に進出できる機会も増えていくでしょう。そしてさらに複雑化するD&Iに対し分析するピープルアナリティクスツールが標準化することが予想されます。

e.金銭的報酬から、日金銭的報酬へのシフト

消費者の行動様式がモノ消費からコト消費にシフトしてきたように、従業員の職場での報酬も日金銭的報酬がさらに重要視され、ウェルビーイングや社会貢献度、スキル開発などの重要性が加速すると考えられます。その中でD&Iに取り組まないことは、離職率の増加や生産性・競争力の低下、そして消費者・従業員・投資家などのステークホルダー離れなどのリスクとなるでしょう。

まとめ

2022年は非財務情報の開示や法改正などでD&Iにおける公平性の重要性が高まり、多様な人財が公平に機会にアクセスできるような職場環境づくりが進んだ年でした。また、コロナ禍以降、個々の労働者の従業員体験やウェルビーイングも重要視されるようになりました。2030年はESG投資、特にソーシャルのさらなる拡大や社会構造の変化によるケア領域でのイノベーションや「DEIB」が重要視されるだろう、といった内容でお話しました。

最後に、JobRainbowからの提案

最後にJobRainbowから、これからのD&Iの在り方について提案させていただきました。
これまでは女性社員、外国籍の社員、障害のある社員など、「分かりやすい記号」、特性を持った人を包摂することが理想的なダイバーシティとされてきたように思います。しかし社員の存在を属性に還元する方向にではなく、それぞれの個が持つ複雑性をありのままに受け止める、そういったダイバーシティ&インクルージョンの在り方が大切になってくるのではないか、ということです。

個の複雑性を受け止めるという点でセミナー中に例として挙げたのは、ある会社の「理由をわざわざ言わず、時短勤務をしたり休んだりすることができる」という制度でした。男性育休や生理休暇を推進するのは「育児があるから」「生理で体調が悪いから」といったある意味記号に基づく制度であり、その理由を持つ人が引き目を感じて言い出しづらくなったり、反対に、制度の対象にはなるけれどその制度が必要のない当事者からの困惑の声があがったり、ということがあったようです。そこで全社員に向けて、理由を申請しなくても休むことが出来る制度を設けたところ、一人一人がそれぞれの働き方に合わせて気兼ねなく休暇を申請することができ、結果として離職率が大幅に減少したそうです。

もちろん個の複雑性に対し社内の制度面で向き合うことはなかなか難しいことだと思います。しかしジェンダー、障害、外国籍といった分かりやすい記号に基づく制度から、個人の中にある多様性に対応できるような制度をつくっていくことは、これからのダイバーシティの在り方として重要になってくるのではないでしょうか。

以上、お読みいただきありがとうございました。


これからもセミナーレポートも含め、D&IやESGに関する情報を発信していきます!どうぞよろしくお願いいたします。

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<お問い合せ先>
■D&I Award運営事務局
Email:diaward@jobrainbow.net
TEL:05017456462
■運営会社 株式会社JobRainbow
Email:info@jobrainbow.net(カスタマーサクセスチーム)
TEL:050-1745-6489(代表)
会社HP:https://jobrainbow.jp/corp/company


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