アゴタ・クリストフ『ふたりの証拠』
いてもたってもいられず、アゴタ・クリストフ『ふたりの証拠』を読む。『悪童日記』の続編である。
第二次世界大戦中におけるハンガリーらしき国のはずれで、厳しい祖母のもとに疎開してきた双子の少年たちがしぶとく生き延びるさまを描く『悪童日記』。主観をいっさい交えず、見たこと、聞いたこと、実行したことを、ありのままに記す。感情を示すことばは漠然としているので、物事や人間についての事実だけを忠実に描写するという「作文」の作法にのっとり、断章とまではいかないものの、60余りの掌編で描かれ