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書評

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ヨミタイモノ、ココニアリマス。
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#詩

『松本竣介 線と言葉』を読む。尾形亀之助詩集『美しい街』の挿画で知る。『運河風景』『並木道』に圧倒される。自分の眼で観たい。「戦争を描いても裸婦を描いても林檎を描いても画家の目が、厳然として永遠なものにつながってゐるか否かゞ大切だ」という言葉は文章や詩でも通じる。次は評伝を読む。

既視の海
7か月前
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アントニオ・スカルメタ『イル・ポスティーノ』

原作があったなんて、まったく知らなかった。 南イタリアの小さな島を舞台に、素朴な青年マリ…

既視の海
6か月前
40

『詩人 吉原幸子:愛について』を読む。女性詩論やアンソロジーでは読んだことがあるが、吉原幸子の全体像がわかり心が震える。掲載詩では『これから』『日没』『街角』がいい。エッセイ『花を食べる』にも胸を射貫かれる。詩集も積読があるのに『全詩』が読みたい。とくにⅢの朗読CDを聴きたい。

既視の海
8か月前
16

尾形亀之助の第一詩集『色ガラスの街』、第二詩集『雨になる朝』を「あるきみ屋」により復刊された文庫版で読む。きのう書き写した「雨日」「夜がさみしい」はいずれも「どつちかといふと厭はしい思ひ」で出版した第二詩集に収録。できれば全詩を読み込んで、彼のさみしさの雫を感じたい。

既視の海
10か月前
8

尾形亀之助詩集『カステーラのような明るい夜』

尾形亀之助の詩集『カステーラのような明るい夜』を読む。 先日の『美しい街』と重なる詩も多…

既視の海
10か月前
16

尾形亀之助『美しい街』を読む。尾形亀之助は初めてではないにせよ、詩集としてまとめて読むと、後頭部をガツンとなぐられた気分。こんなに短く身近な言葉だけで、心情も情景も余韻も表わせるなんて。いたずらに長く難解な現代詩とはまったく別。松本竣介の絵もいい。まだ胸のどきどきがおさまらない。

既視の海
10か月前
13

現代詩を、聴く。

小池昌代/林浩平/吉田文憲(編著)『やさしい現代詩(自作朗読CD付き)』を聴く。 そう、聴いたのだ。まえがきも、詩そのものも一切読まず、詩人みずからの朗読をまず聴く。一つの詩を聴いてから、詩人の名前を確かめる。収録されているのは17人、17の詩。名前を知っていた詩人は、およそ半数。知っている詩は一つもなかった。 なぜ、そのように「聴いた」のか。 詩人みずからの語り口を聴きたかったのだ。 詩は、朗読者の解釈や感じ方、思い入れなど、詩とのかかわり方によって、その朗読のあり方

福永祥子『立方体の空』

福永祥子詩集『立方体の空』を読む。 瑞々しい言葉と懐かしさを覚える言葉が混ざり合い、不思…

既視の海
1年前
5

松下育男『これから詩を読み、書くひとのための詩の教室』で紹介されていた川又千秋『幻詩狩り』を読む。シュルレアリスム創始者アンドレ・ブルトンに持ち込まれた3つの詩が、読み手の思考を支配し、読み手自身を映し、読み手の過去を遡らせる。心を揺さぶる詩とはどのようなものか、ずっと考えてる。

既視の海
1年前
7

学ぶために読んだ2冊目の詩誌『凪』第二号。見開き2ページにおさまる詩も多くほっとする。なぜこの言葉を用いたのか、別な表現はなかったかと考えながら読む。最も響いたのは、水木なぎ『空気』。野宮ゆりさんと雪柳あうこさんは先日の詩誌『La Vague』と重なるが、実はこちらのほうが好き。

既視の海
1年前
3

松下育男『これから詩を読み、書くひとのための詩の教室』【書評】

行分けをしたわけでもなく、韻を踏んだこともない。しかし、これまで自分が書いてきた文章は、…

既視の海
1年前
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平田俊子『詩七日』を読む。詩をやめようかと思っていた矢先の雑誌連載。毎月7日に詩を書くと決めたものの、うまくいかず、とにかく7日にあったことを2年間つづった日記ならぬ月記。好きなのは六月、十三月、十四月。幻想的なもの、逸脱、意味不明なのもあるが、それも詩。大好きな詩集のひとつ。

既視の海
1年前
6

女性詩とひらがなと手書き

高橋順子『意地悪なミューズ』を読む。 以前読んだ新井豊美『女性詩史再考』で、女言葉の本質…

既視の海
1年前
10

斉藤 倫『ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集』を読む。小学生の「きみ」と亡き父親の友人である「ぼく」が詩について語り合い、言葉にならないものを言葉にしようと試みる。何かとんでもないものを読んでしまった気がする。詩も物語も。いま何度も読み直し、うなっている。