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読書日記『一瞬の風になれ』

『一瞬の風になれ』佐藤多佳子著、
私は以前、本屋さんで気になった陸上競技の本が、三浦しをんの『風が強く吹いている』と思っていましたが、ひょっとして、こっちだったのではないかと思っています。

公民館の図書室で借りました。第1部~3部まであります。

今日は雨。出かける用事をやめて、厚さ3センチある3巻を一気に読んでしまいました。

舞台は春野台高校陸上部。1年、神谷新二。サッカーでは芽が出ない。体育の50m走で感じたあの疾走感……ただ、走りたい。天才的なスプリンター、幼なじみの連と入った陸上部の仲間や顧問の先生と「すげえ走り」「すげえチーム」を目指します。熱い青春陸上物語です。
                

新二の語りで、物語は進みます。文体は、新二の心の動きも感情も、そのまま書かれます。この文体が、もうひとつ入り込めなくて、長いし、読み飛ばそうかと思いました。

でも、何だかそこが新鮮で、ダイナミックで、臨場感があって、若者の純粋な世界に入り込んでしまいました。

走る事への挑戦、自分への挑戦、葛藤、仲間との友情、そして恋。全て詰まっています、とか書いたら熱くなり過ぎですね。

新二や仲間は、努力します。吐くほどの練習。そして、悩みます。悩んで成長するのです。

うまくいったり、失敗したり、向かっていく姿はカッコいいですね。,ま、こんなにうまくはいかないだろうなとは思うけど、最後は泣けてしまった。表現もドラマティックなのだもの。ここで、文体が生きている。

作者は陸上競技の事を何も知らなかったそうです。試合の実際の様子、記録、選手の心情、練習などなど。教えてくれた方に謝辞を書かれていましたが、これだけの物語を作るのは、大変だったでしょう。


我が家の息子は、中学高校と陸上部でした。試合も見に行ったことがあります。競技場の雰囲気を思い出しました。ウチは中距離で、たいした成績も残していませんが、地道にストイックに練習を積み重ねていたことを思い出します。


*ヘッダーありがとうございます。スタートはドキドキしますね。

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