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大河ファンタジー小説「月獅」

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天卵を宿した少女と、天卵の子の物語です。
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記事一覧

大河ファンタジー小説『月獅』75         第4幕:第16章「ソラ」(10)

前話<第16章「ソラ」(9)>は、こちから、どうぞ。 第4幕「流離」第16章「ソラ」(10) …

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3日前
43

大河ファンタジー小説『月獅』73         第4幕:第16章「ソラ」(8)

前話<第16章「ソラ」(7)>は、こちから、どうぞ。 第4幕「流離」第16章「ソラ」(8) …

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1か月前
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大河ファンタジー小説『月獅』72         第4幕:第16章「ソラ」(7)

前話<第16章「ソラ」(6)>は、こちから、どうぞ。 第4幕「流離」第16章「ソラ」(7) …

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1か月前
47

大河ファンタジー小説『月獅』71         第4幕:第16章「ソラ」(6)

前話<第16章「ソラ」(5)>は、こちから、どうぞ。 第4幕「流離」第16章「ソラ」(6) …

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1か月前
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大河ファンタジー小説『月獅』70         第4幕:第16章「ソラ」(5)

前話<第16章「ソラ」(4)>は、こちから、どうぞ。 第4幕「流離」第16章「ソラ」(5) …

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1か月前
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大河ファンタジー小説『月獅』69         第4幕:第16章「ソラ」(4)

前話<第16章「ソラ」(3)>は、こちから、どうぞ。 第4幕「流離」第16章「ソラ」(4) …

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1か月前
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大河ファンタジー小説『月獅』68         第4幕:第16章「ソラ」(3)

前話<第16章「ソラ」(2)>は、こちから、どうぞ。 第4幕「流離」第16章「ソラ」(3)  厚い雷雲を抜けると、天空は静謐だった。  下界の嵐も火山の噴火も、火の咆哮も怒涛の驟雨も、狂気もない。紅蓮の炎も稲光も、命の鼓動のけはいすらない。あまねく太陽に照らされているだけの無音の世界。空気も薄い。ただ風は吹いていた。  コンドルは嵐にもまれた羽根をばさりと一振りし雨滴を払うと、闇を従える翼を広げた。  はるか北にノリエンダ山脈の雪を戴く山頂だけが見える。一文字に連なり、雲

大河ファンタジー小説『月獅』67         第4幕:第16章「ソラ」(2)

前話<第16章「ソラ」(1)>は、こちらから、どうぞ。 第4幕「流離」第16章「ソラ」(2)…

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2か月前
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大河ファンタジー小説『月獅』66         第4幕「流離」:第16章「ソラ」(…

 物語は第2幕、第9章「嵐」までさかのぼります。  「隠された島」でノア・ディア親子とル…

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2か月前
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大河ファンタジー小説『月獅』 1

第1幕「ルチル」第1章:白の森(1)  ヴェスピオラ火山の火口から、何かがまっすぐに天に向…

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1年前
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大河ファンタジー小説『月獅』 2

前話<第1章:白の森(1)>は、こちらから、どうぞ。 第1幕「ルチル」第1章:白の森(2…

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1年前
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大河ファンタジー小説『月獅』 3

はじめから読む。 前話<第1章:白の森(2)>から、読む。 第1幕「ルチル」第1章:白の…

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1年前
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大河ファンタジー小説『月獅』4   第1幕:第2章「天卵」(1)

第1章「白の森」(全文)を読む。 前話(第1章「白の森」(3)から読む。 第1幕「ルチル…

deko
1年前
54

大河ファンタジー小説『月獅』5   第1幕:第2章「天卵」(2)

第1章「白の森」(全文)は、こちらから、どうぞ。 前話(『月獅』4 「天卵」(1))は、こちらから、どうぞ。 第1幕「ルチル」第2章:天卵(2) 「早く、ここから」  マントルピースの冊をはずし、灰を隅に掻き寄せると、イヴァンは炉床の煉瓦を火掻き棒でコツンコツンコツーンと最後だけ大きく三度叩いた。それから煉瓦を八枚取り除く。その下には煤けた板があった。中央に金属の取っ手があり、短い辺の片側に蝶番がついている。イヴァンは取っ手をもって板をあげる。すると、昏い穴があり、冷気が