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はじめてのインターネット

小学3年生。
それが早いのか、遅いのか、今この時代では、どう判断すればいいのかわからないが、当時は周りにパソコンを使う同級生などいなかった。

それは今から18年も前のことだ。
両親と祖母と私の4人。
そして犬を飼っていた。

一人っ子の私は、学校から帰っても遊んでくれる人がいない。
我が家の大人たちは働くことに夢中で、学校から帰ってきて、大人たちが帰ってくる19時ごろまで1人で過ごしていた。

鍵を持たせるのが怖いからなのか、リビングの窓がいつも開いていて、学校から帰るとそこから家に入る。
(窓が開いてる方が怖い。)
出迎えてくれたのは、真っ白な最愛の犬だった。

幼いころから動物が好きだった私は、お留守番のお供として、犬が家族になったのだ。
彼女は私の家族であり、姉妹であり、親友だった。

はじめてのインターネットが与えられるまでは、家族が帰って来るまで、犬と2人で家の中を鬼ごっこしたり、かくれんぼをした。
かくれんぼ中に押入れで眠ってしまい、帰ってきた家族が慌てたりもしたが、ただ時間がすぎるのを待っていた。

昔から、読書をするのが趣味だ。
しかし、幼いころから速読で、「ハリーポッター賢者の石」を3時間で読んでしまうので、1日で終わってしまう。

そんな時、父の書斎に現れたのがパソコン。そして、インターネットだった。
(ちなみに同時期にPS2のバイオハザードと鬼武者も与えられた。ハマった。今思えば年齢制限に引っかかっている)

どこまでも繋がって行く情報の世界に、すぐに引きこまれた。

当時は「ふみコミュニティ」「サイバーキッズ共和国」と小・中学生向けの掲示板やHP作成のサイトがあり、時間を費やした。

近年、幼い子が習い事で「プログラミング」を習う、というが、私がやっていたことは、まさにそんな感じで、知らず知らずのうちに、HTMLを駆使し、その派生でEXCELなども使いこなした。

小学5年生になるころには、パソコンを仕事にしていた父よりも、タイピングがはやくなっていた。
(その頃ハマっていたタイピングゲームも、ゾンビだった)

そのころ学校では、「情報」と呼ばれる授業あり、先生よりもタイピングがはやく、周りの友達に教える私は、第2の先生となる。

もちろん鼻高々。

しかしある事件が起きた。
小学校ではいじめの延長線のように、登校するとパソコンで書かれた手紙が、誰かの机に置いてあった。
それは悪口だった。

もちろん犯人の候補には、最初私があげられる。
パソコンが得意だったからだ。

先生に呼び出されて「あなたがやったの?」と聞かれて「やってない」とは言ったものの、家に帰ってから、親の帰宅まで私のアリバイを答える人は誰もいなかった。

一瞬思った。
「もしかして、私の記憶が抜け落ちている!?」
すでに中二病が出来上がっているかのような、小学5年生。

強いていうなら、アリバイを証明できるのは、本名も知らないチャットの友達だけだな・・・なんて考えていた。

結果、私はやってないもーん、と能天気にしていたら、あっさり犯人候補は次の人になっていった。

もともと面倒なことが嫌いで、嫌なことは嫌とはっきり断る性格だったので、「いくらパソコンが得意でも、そんなことはしないか」と思われたのだった。

先生、好き。

私の中二病が、炸裂しなくてよかった。

それからずっと私はインターネットの世界と現実を行ったり来たり。
あの時知り合ったチャットの友達たちはもう知らないけれど、あの時間があったおかげで私は寂しくなかった。

遠い離れた土地で、同じように1人でいる人がいる、というのを感じたら、強くなれた気がしたのだ。

先日、小学校の同級生に会ったら、「小学生の時HP作り流行ってたよね!デリコに教えてもらって、インターネット始めたんだよねー懐かしい!」といわれた。

#はじめてのインターネット

電気をつけることも忘れて、薄暗い書斎で画面を眺めていたあの時の気持ちを思い出す。

知りたい、面白い、繋がりたい。
子供心に、「ここにも私の居場所がある」と思わせてくれた懐かしい思い出。

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