見出し画像

神宮球場でもやもや。

今年3戦目の参戦(しょーもない、チームはこの体たらくなので脱力しているのだ)。当初は神宮最終戦の予定だった(雨天延期の試合がこのあとに組まれた)ので、少しフンパツしようかとスポンサー協賛の「環境ステーションシート」なるものを初めて購入。位置は1塁側中段の一角。下に荷物の収納スペースのあるサイドテーブル付きで、座り心地もいい。4席単位で離席のたびに「ごめんなすってごめんなすって」と言う手間も最小限で済む。おまけに出入り口に近い。客席の窮屈さを誇る神宮球場ではなかなかナイスなシートだ。風は微風、20度前半の快適な気温。飲めないカラダは食い物よこせと言って食欲も進む。

対戦相手はベイスターズ。エース今永先生を初回にとらえて幸先のいい出だしも先生の立ち直りとともに尻すぼみ。わがスワローズは好投するサイスニードをわずか80球で6回降板させると案の定7回に同点にされ(もはやお約束の感もあるサードの悪送球つき)、9回ソトに豪快にバックススクリーンに叩き込まれた。今年テレビでも何回再放送されたか知れない王道の敗けパターンだ。とにかく課題は多すぎる。首脳陣はよーく考えないと来年も同じ轍を踏む。

レフト後方にエンパイアステートビルのような塔が紫の光を放っている。代々木にあるNTTのドコモタワーだ。再開発とやらでスタンドから見える景色はどう変わるのだろう。風は確実に変わる。夜空に舞う白球の美しさが損なわれたらいやだな、と思う。

再開発とやらの主役はどうも緑のようだ。「そうかな」とかぼちゃ頭が反応する。もちろん大事な要素ではあるけれど事がものすごく単純化されていないか。緑地が増えるの増えないのオープンスペースがどうのと「数値的なエビデンス」に頼って論争が繰り広げられている(もちろんそれだけではない)。わかりやすそうでそれだけに危険な香り。ちなみに「あれは明治神宮の土地だから」とか「住んでもいないのに」というのは論外だ。いつの時代の話かと思う。これじゃあpublicやcitizen(city)なんて根付くはずもない。

およそ再開発と名のつくものに高層ビルは欠かせなくなっている。日本に限ったことじゃない。効率・経済・国際競争力とそのもっともらしい理由を挙げだせばきりがない。得られる利便性や豊かさ(とは?)とやらに落とし穴はないのか、賛成・反対を叫ぶ前にまず考えた方がいい。あの街この街どの街もランドマークといえばナントカの何階建てですでいいのかな。

精神病理学博士の村上靖彦氏は「客観性の落とし穴」(ちくまプリマー新書)で「自然も社会も心も客観化され、内側から生き生きと生きられた経験の価値が減っていき、だんだんと生きづらくなっている」と述べている。あまたの再開発とやらがそんな空気の醸成に一役買っているような気がしてならない。

「つば九郎米弁当」に「じんカツ(カツサンド)」「ソースたこ焼」でお腹だけは満たされて帰途につく。内側からブクブクと太りださないように本日はわが腹部を客観視して生きづらくならないように心がける。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?