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戸定邸・2022年夏

(前回から続く)21世紀の森と広場で軽い昼食をとった還暦オーバー4人組は、さてこれからどこへ行こうと数十秒悩み戸定邸に決定。それにしても松戸の道はどこもくねくね、U字や工事とタタカイながらナビを頼りにたどり着く。戸定邸は徳川慶喜の異母弟、最後の水戸藩主・徳川昭武の邸宅で重要文化財の建物と庭園、梅園など周囲を戸定が丘歴史公園として整備公開している。平日にも関わらず思いのほか人がいる。若い人が目立つ。こちらも「青天を衝け」で人と生涯を知ってから少し身近に感じている。

表座敷
迷路のように棟が続く。

1884年に座敷開きが行われ、増築を経て今は廊下で結ばれた9棟に計23の部屋がある。権力の座から離れての住居のため、規模は縮小され装飾なども至って質素。権勢を誇っている人間が建てたものにはない品と趣があっていい。とはいえ、シモジモには迷子になるには十分な広さ。あっちへ行きこっちへ戻りしながら「あのジジイ、大丈夫か」と思われないように脳内だけではしゃぐように努める。かなり入り組んだ構造にも関わらずどの部屋も気持ちのいい風が通る。当たり前だが「百年名家」は気候風土を無視しては成り立たない。

64枚の畳が使われている表座敷から見る庭は、国指定の名勝になっていて残念ながら降りていく事はできない。みな銘々に座って風と緑を愛でている。ちなみに飾られている甲冑は段ボール製。よく出来ている。

江戸川方面。横断しているのは外環道

邸宅前の庭園以外は、自由に散策ができる。東屋から晴れていれば富士山を望めるが、残念ながらこの日は雲り空。

掲示されているほんの十数年前との富士山展望の比較。明らかな不満の意が伝わる。

隣接した歴史館には徳川家伝来品や遺品、名代として派遣されたパリ万博の資料などが展示されている。今年度は「古写真で見る徳川昭武の生活とその視線」という企画展が開かれていて、兄慶喜とともに写真好きだった昭武の「作品」も展示されている。小さな資料館で展示スペースに限りがあるのは少し残念。それにしても、改めて「烈公」徳川斉昭の写真をみるにつけ竹中直人はよく本人に寄せていた。なかなか「快なり」な松戸探訪でありました。



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