見出し画像

病院へ「公的保険適用外サービス」を提案営業する難しさを考える

病院へ公的保険適用外サービスを導入する提案営業する行為は、多くの潜在的な障壁に直面します。この領域の微妙さを理解するためには、以下の点に焦点を当てる必要があると思います。

1)臨床的信頼性の確立
病院は、その本質上、経験とエビデンスに基づく決定を重視します。公的保険適用外のサービス、特に新規性が高いものは、その信頼性が試される場面が多いです。例えば、革新的なレーザー治療法を提案したとしても、十分な臨床データが不足している場合、医師たちからの懸念や疑念が生まれる可能性が高いです。

2)経済的評価と価格の適正性
病院の運営は経済的な持続可能性も考慮しなければなりません。提案されるサービスの価格設定が、患者にとっての付加価値と病院の運営コストとのバランスを考慮していない場合、導入のハードルが高まります。例として、最先端の画像診断サービスを提案する際に、その高額なコストが病院の収益モデルに合致しない場合、その導入は困難になります。

3)教育と啓発
公的保険適用外のサービスの知識普及は、患者だけでなく、医療スタッフに対しても不可欠です。病院側が提供するサービスの質と効果を最大化するためには、医療スタッフの教育とトレーニングが必要です。例えば、新しいリハビリテーションプログラムを提案した場合、その効果を引き出すためのスタッフ教育が欠けていると、サービスの価値を最大化することが難しくなります。

4)ブランド整合性
病院のブランド戦略と一致しないサービスは、提案が困難となることが多い。特に、専門性や品質を強調する病院において、そのブランド戦略と整合しないサービスの提案は慎重に検討される必要があります。

5)長期的コミットメントの重視
サービス提供者として、ただサービスを導入するだけでなく、その後の継続的なサポートや改良提案も期待されます。新技術のメンテナンスやアップグレードのニーズに応じる能力が評価される場面も多いです。

以上のように、病院に対する公的保険適用外のサービスモデルの提案は、医療界の厳格な基準と病院の戦略的なニーズを熟知して行う必要があり、こうした戦略を展開できる営業チームを組成できないスタートアップは、いつまで経ってもブレイクスルーできないと思います。

そして、営業を軽視するスタートアップも少なからず存在します。特に大学発スタートアップにそのような傾向が強いように感じています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?