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#D-1 「Breaking Bad -Season1-


出典:© 2022 SONY PICTURES ENTERTAINMENT (JAPAN) INC


僕は海外ドラマを見始めたのはここ2年くらい。有名どころも全く触れていませんので、今ここです!笑
大分に遅いですが、名作はいつみても名作です。

さて、Breaking Badのシーズン1を観ましたので、個人的に思うことを書いていきたいと思います。


Introduction
荒野の一本道を暴走する、1台のキャンピングカー。運転するのはガスマスクを装着した、なぜかブリーフ姿の中年男。ご紹介すると彼は高校教師だが、もうひとつの顔は純度99.1%のスーパードラッグを生み出したメガ危険人物。名前はウォルター・ホワイト。自分が肺がんにかかったと知ったウォルターは、これから生まれてくる娘などの家族に財産を残そうと、化学の知識を活かして麻薬の精製という危険な副業に乗り出した。そして平凡
だった人生は、いま彼がハンドルを握る車のように暴走を開始する。
出典:ブレイキングバッド公式HPより一部抜粋

公式のあらすじはこんな感じですね、すでにもうおかしいところだらけです。

※この先微ネタバレを含みます。物語の核心には全く触れていませんが、視聴前情報が無い方が良い方は以下の閲覧は自己責任でお願いします。

1.ギャップにやられる

ブレイキングバッドの一番の印象は、「ギャップ」でした。
ジャケットを見れば異変に気づくと思いますが、おじさんが下半身パンツ一丁で片手にピストルを持って仁王立ちしています。
どういう状況?(笑)

主人公のウォルターは、50歳の誕生日を迎えたおじさんです。見た目はこれといった特徴のない、中肉中背のおじさんです。
彼は高校で化学を教える教師であり、愛する奥さんがいて、高校生になる子供が一人と奥さんのお腹にもう一人。

先生の給料だけだと生活が大変なようで、ガソリンスタンドでアルバイトをしているみたいです。

平凡よりも少し下の、それでもどこにでもある家庭を持つおじさんです。

そう、主人公普通のおじさんなんです。

そんな彼が誕生日の翌日に末期ガンであることを告げられ、余命宣告をされてしまうところから物語が始まっていきます。


平凡なおじさんが余命宣告されるところから始まる映画だったら、やり残した100の事でも始めて、大切なものが何か気づくハートウォーミングな展開になりそうですが、、、彼は違いました。


教師であり化学者であるウォルターは当然法を犯したことなんてないと思いますが、そんな彼の行動は、麻薬精製・密売に始まり、拉致、監禁、恐喝、不法侵入、強盗、器物損壊、そして殺人に死体遺棄と、重犯罪のオンパレードへと一気に変わっていきます。


2.遠慮のない描写


彼は教師で化学者という真っ当な人間でしたが、死を目の当たりにして一気に方向転換していきます。

そしてこのドラマはこのあたり過激な犯罪をシニカルさと少しのコミカルさを織り交ぜつつ描いていきます。

例えば死体遺棄に関しては、彼は化学者なので、死体の遺棄の仕方も粋で、骨まで残さずに化学的に溶かそうとします。。。一息に。

ただ、理系特有かもしれませんが、コミュニケーションを面倒くさがった為相方に意図が伝わらず、、、結果天井から溶解途中の死体(=肉片)が降ってくる。そして降ってきた内臓なんかが床に散らかる様をちゃんと描写します。
そしてそれを掃除するところまでがセットです。

地上波では敬遠されてきたいわゆるエログロの部分(海外ドラマのお決まりな感じもしますが)や、映画では尺の関係で省かれがちなシーンを端折らずに描写していくことでリアリティーが生まれていて、これをやってくれると観ているに側も一緒に嫌なこと共有して観ていっているので物語に入り込みやすく、また、「気を引き締めて観なければ」という気持ちになりますね。

余談ですが、50歳のおじさんが一生懸命腰振るシーンもあります(どこに需要が?)。

3.好奇心を煽る構成

ジャケット写真の異様な雰囲気は、彼が教師であり善良な一般市民であることとはかけ離れています。
こういった「何が起こったらそうなるの?」といった好奇心を煽る仕掛けがドラマの中にも出てきます。

第一話冒頭、スラックスパンツが荒野を舞い、ガスマスクをつけたブリーフパンツの男がキャンピングカーを爆走させているシーンからドラマが始まります。
岩に突っ込んで止まってしまう車、近づいてくるパトカーのサイレンに意を決し、家族にビデオメッセージを残し、パンツ一丁でピストル片手に荒野の真ん中でパトカーに向かって仁王立ちをする。

ここでOPが入り時間が遡ります。
しかし彼は50歳の善良な教師なので何があれば冒頭のシーンになるのかが全くわかりません。
しかし、物語を進めていくをちゃんとそこにたどり着きます。

全てのエピソードがこの構成になっているわけではありませんが、時折使ってくるこの手法に好奇心が刺激されまくりました。

4.悪魔のような天使の笑顔

死の淵に立たされ、犯罪に手を染めていくウォルター。
しかしその根源にある想いは一話冒頭のビデオレターの通り、家族への愛です。

余命宣告という人生のタイムリミットが切られたことで残りの時間が明確化され、ウォルターの感情・想いを顕在化しました。
残された時間でどれだけのものを家族に残してあげられるのかと、最短距離を進むためなりふり構わない選択をしていきますが、彼には50歳という年齢の割に人生未経験が豊富で、その選択には常に"青さ"と"滑稽さ"が伴ってしまいます。

しかし彼の教師・化学者としての誠実さ筋の通し方が同時に現れることで不誠実な事象をその誠実さで丸ごと囲い込み、それがある種の美しさ・潔さを表していてしっくりきました。

Breaking Bad -Season1-
噂に違わない名作ですね、非常に面白かったです。
すでに完結した作品で、Season5まであるということですが、とりあえず続編は必ず観ようと思いますので、いずれまた!



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