見出し画像

”ちょい飲み”戦国時代

ちょい飲みは、サラリーマンなどが仕事帰りに、”ちょっとだけお酒を飲んで家に帰る”飲酒行動のことを言います。これは、”角打ち(立ち飲み)”などのように、古くから仕事終わりの男性などに親しまれてきた行動です。

角打ちの場合はお酒メインでおつまみはナシまたは簡単な乾きものだけでしたが、最近のちょい飲みの傾向は、外食店などで少量の酒類とつまみを楽しんで”短時間で”店を出ることを言います。定食屋さんや居酒屋さんなどでは、”ちょい飲みセット”と呼ばれる「ドリンクと数種のつまみがセット」になったお得なメニューがあります。

千円前後で提供されるちょい飲みセットですが、馬鹿にすることは出来ません。日本では不景気になった2008年のリーマンショック以降、安くすませられるちょい飲みに特化した立ち飲み居酒屋などが脚光を浴びるようになりました。また、それまではちょい飲みは主に男性の文化でしたが、女性にもちょい飲みが広まってきています。

これに注目したファミリーレストランや立ち食いそば店などでも、ちょい飲みセットを提供するようになりました。2015年には、リンガーハット・吉野家・松屋・天丼てんやなどの大手チェーン店が、続々とちょい飲み業界に参入しました。さらには、日本ケンタッキー・フライド・チキンとスターバックスコーヒージャパンでも、ちょい飲みを意識して酒類提供店舗をオープンしています。実は、外食産業は”ちょい飲み戦国時代”なのです。

ちょい飲みに関する面白い話を入手しました。まだ飲み慣れていない若いサラリーマンが同僚とちょい飲みすることになり、会社帰りに居酒屋に入ることになりました。メニューを見ると、生ビールと選べるおつまみ3品で千円というお得なメニューを見つけました。さっそく二人は、ちょい飲みセットを注文しました。

ちょい飲みセットが届くと、ついつい話が弾んでしまい、もう少し飲んで行こうということになりました。そこでもう一度ちょい飲みセットを注文しました。注文を取りに来た店員さんは少し怪訝な顔をしましたが、注文を受け付けてくれました。さらに話が弾んで、もう一度ちょい飲みセットを注文したところで店員さんから言われました。「お客様。メニューにちょい飲みセットの回数制限は書かれていませんが、基本的にはお一人様1回のサービスメニューになっております」。

ちょい飲みセットはお得なメニューなので、何度も頼みたい気持ちはよくわかります。”ちょい飲み戦国時代”になっていることにも頷けます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?