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 人類には、巨人への恐れや憧れがDNAに刷り込まれているのかもしれません。『進撃の巨人』は人気の漫画で、アニメ化されたほど大人気です。これは初めから創作物ですが、まだ謎が解明されていないUMA(未確認生物)としての、巨人の目撃情報は後を絶ちません。

 もっとも有名なのは、日本では雪男として認知されている、ヒマラヤ山脈に住むといわれているイエティ(Yeti)です。イエティは全身が毛に覆われ、直立歩行するとされています。イエティは、ネパールのシェルパ族の言葉で岩を意味する"Yah"と動物を意味する"Teh"が語源です。現地では昔からの伝承としてその存在が伝えられていましたが、1887年、イギリスのウォーデル大佐が足跡を発見したことで、世界に知られるようになりました。

 北アメリカの巨人は、ビッグフット(Bigfoot)と呼ばれていて、先住民であるネイティブ・アメリカンの間に伝わるサスカッチ(Sasquatch)と同一視される場合もあります。身長は2 - 6m、体重は200 - 350kgで、足跡は大きなもので約47cmもあります。この大きな足跡が、ビッグフットの名前の由来です。一説によれば、ビッグフットは「猿人やギガントピテクス(後述)の生き残り」らしいのですが、実在については長年の論争があります。

 また、中国・湖北省の山間部にある神農架地区には、野人と呼ばれる巨人がいるそうです。この野人は、カメラによって捕らえられた映像もあります(?)。

 ビッグフットの可能性があると考えられたのは、絶滅した類人猿ギガントピテクスです。ギガントピテクスは実在の類人猿ですが、絶滅したので化石資料しか残されていません。ギガントピテクスの大きさは、化石から推定すると、身長は3m、体重は500kgほどだったと考えられています。確かに、サイズ的にはビッグフットと似ています。タイトル図は、そのギガントピテクスの復元モデルです。

 ギガントピテクスは、現在の中国南部にあたる熱帯雨林に600万~900万年にわたって生息していましたが、今からおよそ10万年前、更新世の後期に絶滅しました。どうやら、それまで有利に働いていたこの類人猿の大きな体が、環境の変化に対応できずに、絶滅の原因になったらしい。

 ギガントピテクスほど大きくはありませんが、ホモサピエンスにも2mをはるかに超える巨人が時々現れます。有名な人には、プロレスラーのジャイアント馬場(209㎝)やアンドレ・ザ・ジャイアント(223㎝)などがいます。しかし多くの場合、その人たちは成長ホルモン分泌腺細胞の腫瘍化で成長ホルモンが過剰に分泌される病気が原因です。この症状は、先端巨大症や末端肥大症と称されています。

 30年以上前ですが、田舎に帰省するときに、電車の中で明らかに2mを超える大きなオジサンを見ました。私もオジサンも指定席に居たのですが、運の悪いことにオジサンの席は3人グループのオバサン達と同席でした。既にオバサン達が座席を回転させていたので、オジサンは見ず知らずのオバサングループに強制的に参加させられたような状態です。私の席は少し離れていましたが、オバサン達の猛烈なおしゃべりが良く聞こえました。オジサンは2m超の伸長を小さく屈めて、自分の目的地までひたすら耐えていました。

 巨人より恐ろしいのは、集団のオバサンかもしれません。


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