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忘れられない社会科の先生 ”呑宙”の話

 タイトル図のムンディ先生は、公立高校の先生でもある有名なYouTuberです。私も楽しく視聴させて頂いています。ムンディ先生を見ていて、ふと中学時代の社会科の先生を思い出しました。

 F先生(仮)は、小柄ですが筋肉質のガッチリした体形をしていました。顔は弁当箱のようにアゴの張った見事な四角形でした。表情は、ワザとなのか素なのかわかりませんが、常に無表情でした。なので、性格の悪い友達が付けたF先生の綽名は『鉄仮面』でした。F先生を芸能人に例えて言えば、”無表情なザキヤマさん”みたいな人です。実はF先生は見かけによらず、音楽や詩の才能がありました。なんと、私が卒業した高校の応援歌の作詞作曲をしていたことを、随分あとになって知りました。

 F先生は社会科の先生で、私は日本史と公民を習いました。F先生はとてもまじめな性格ですが、授業中に時々、クスッと笑わせるような冗談を挟んできます。授業を真面目に聞いていないとわからない冗談なので、大爆笑になることはまずありませんでした。私は、この”クスッと笑わせるジョーク”が大好きで、F先生の授業をいつも楽しみにしていました。

 前置きが長くなりましたが、いよいよ本題です。公民の授業の時に、戸籍や氏名の話になりました。その際に、「苗字の改名は難しいが、下の名前は条件が揃えば変えられます」と言って、その条件の一例、”近くに同姓同名がいて紛らわしい(郵便などの実害がある)”と言うのを教えてくれました。さらに、F先生は親戚のオジサンの実例を紹介してくれました。

 F先生のオジサンは、子供の頃から自分の名前にコンプレックスを持っていて、大人になったら改名したいと考えていたそうです。オジサンは大人になって”同姓同名”の条件を知ってからは、近所の同姓の家で男の子が生まれると、一升瓶のお祝いを持って「自分と同じ名前にして欲しい」と頼み込んだそうです。オジサンの息の長い努力が実って、やっと同姓同名の条件が満たされました。煩雑な手続きの末、オジサンは無事に改名できました。その改名後の名前が『呑宙(どんちゅう)』です。

 ”宇み込む”という、なんと稀有壮大な名前でしょう^^。私はF先生と、この話が忘れられません。


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