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 銅などの反磁性物質の磁場が反発する効果は非常に弱いため、その反発力は通常は、より強い効果を持つ常磁性や強磁性によって打ち消されます。

 反磁性による磁気浮上は、反磁性の大きな熱分解炭素やビスマスなどの非常に軽い小片を使えば、強い永久磁石の上でも実現できます。水は反磁性の効果が強いため、同様の方法で水滴や、バッタやカエルなどの生物を生きたまま浮上させることもできます。カエルを生きたまま浮上させたこの実験は、そのユーモラスさから2000年にイグノーベル賞を受賞しています。ただし、そのために必要な磁場の強さは16T(テスラ)と非常に大きく、実験装置の近くに強磁性体があると大きな問題を引き起こす可能性もあります。この実験を行なったアンドレ・ガイムは、”二次元物質グラフェンに関する革新的な実験”で2010年のノーベル物理学賞をノボセロフとともに受賞しました。おそらく、ノーベル賞とイグノーベル賞の両賞を受賞した科学者はガイム先生だけでしょう。

 磁気浮上式鉄道とは、リニアモーターカーのように、磁力による反発力または吸引力を利用して車体を軌道から浮上させて推進する鉄道のことです。日本ではリニアモーターカーの商業利用が間近ですが、人間だけを浮かせたまま移動させる新しい交通手段はできないものでしょうか。

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