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心の距離 接近欲求と回避欲求

人間同士が仲良くなるためには、”心の距離が近づくこと”が必要です。ただし、近寄りすぎると互いの考え方の違いから反発が起きることがあります。また、離れすぎてしまうと疎外感が生まれてしまいます。

そのような状態を表わす言葉に、『ヤマアラシのジレンマ』というのがあります。ヤマアラシのジレンマとは、タイトル画のように、互いに仲良くなろうと距離を近づけるほど、互いの針で傷付けあって一定距離以上は近付けない状態を指します。

この言葉は、アメリカの精神分析医・ベラックが名付けたとされています。べラックは著書の中で次のような童話を引用しています。『寒い冬の日に、2匹のヤマアラシが暖を取ろうと互いの体を寄せ合おうとしたところ、身体のトゲが互いを刺してしまいました。痛みから身体を離すと、今度は寒さに耐え切れなくなってしまいます。2匹は近づいたり、離れたりを繰り返しながら、ついには互いに傷付けずに済み、互いに暖め合うことができる距離を発見し、その距離を保ち続けました。』

対象に接近したいという欲求を接近欲求といい、対象から逃れたいという欲求を回避欲求といいます。ヤマアラシの場合は、近付きたいのに近付けない可哀そうな状況ですが、丁度いい人間関係を気付くためには、丁度いい距離感をそれぞれが保つことが必要なようです。

ここまでの話は人と人との心の距離の話ですが、人のモチベーションにも同様な二つの方向性があると言われています。それは、”願望を実現したい”接近欲求と、”痛みを避けたい”回避欲求です。この二つの欲求をうまく利用すると、マーケティングに有効なのだそうです。

ダイエットの場合、多くの人は”去年の服が入らない”とか”鏡に写った自分の姿にショックを受ける”など、現実を突きつけられて”こんな自分は嫌!”という回避欲求からダイエットを始めます。しかし、この回避欲求だけではダイエットは長続きしません。

例えば”痩せて、雑誌で読者モデルの○○さんが着ていたような服が似合うようになりたい”だとか、”恋人に『なんか最近きれいじゃない?』と言われたい”とか、そんな接近欲求を秘めているはずです。私たちのモチベーションは、きっかけは回避欲求でも、本質的には誰もに接近欲求があるということです。

このような回避欲求と接近欲求をうまく利用すると、サービスや商品のマーケティングに効果的です。”こんなお悩みありませんか?”とともに”○○になりたいと思いませんか?”といった希望を感じさせる項目を組み合わせれば良いのです。これさえできれば、あなたは立派な営業マンになれます。たぶん・・・。

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