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日本人はカエル好き? 鳥獣人物戯画

 蛙と言えば、鳥獣人物戯画ははずせません^^。

 昔は鳥獣戯画の名称が一般的でしたが、動物だけではなく人物も多く描かれていることから、最近では鳥獣人物戯画と呼ばれる方が多いようです。鳥獣人物戯画は、京都市右京区の高山寺に伝わる紙本墨画の絵巻物で、国宝です。鳥獣人物戯画は、甲・乙・丙・丁と呼ばれる全4巻から構成され、内容は当時の世相を反映した動物や人物がマンガ的に描かれたものです。この4巻の中でも、ウサギ・カエル・サルなどが擬人化されて描かれた甲巻が最も有名です。

 私が子供の頃は、鳥獣戯画は鳥羽僧正によって描かれたと習いましたが、各巻の間に明確なつながりがないことや、筆致・画風が違うため、現在では12ー13世紀(平安末期から鎌倉初期)の幅のある年代に複数の作者によって描かれたと考えられています。数年前、全巻が集まった鳥獣人物戯画展があった時に、仕事を休んで実物を見に行きました。いつもは甲・丙巻が東京国立博物館、乙・丁巻が京都国立博物館に保管されているそうです。

 鳥獣戯画には、カエルが多く描かれていますが、たぶん当時の身近な生き物だったのでしょう。本来なら大きさが違うウサギとカエルが、二本足で立って相撲を取る様子は何ともユーモラスです。しかも、本当は小さなカエルが大きなウサギを投げ飛ばして勝っているのも面白い構図だと思います。この絵の右には、ウサギの両耳に噛み付いて反則技を使うカエルが描かれています。

 相撲は国技だとか神事だったとよく言われますが、すでにこの時代には庶民の娯楽(遊び)として広まっていたことがよくわかります。このように、当時は単なる暇つぶしの絵だったかもしれない絵が、数百年経てば歴史資料になる可能性があります。このnoteブログも、数百年後には”当時の珍しい風習”として、歴史の教科書に載っているかもしれません。


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