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人柱の意味を誤解していました。

そのイベントの内容を知ると、何とも恐ろしい『人柱ひとばしら』ですが、私はその意味を長い間誤解していました。

人柱とは、生きた人間を神様に捧げる人身御供ひとみごくうの一種です。橋・堤防・城・港湾施設などの大規模建造物が、自然災害や人災あるいは敵襲によって破壊されないことを神様に祈願する目的で、建造物やその近傍に、これと定めた人間を生かしたままで「土中に埋めたり」「水中に沈めたり」する風習を言います。もともとは、古来から日本で行われてきたものを指しますが、この風習と類似点の多い世界各地の風習も”人柱”と呼ばれることがあります。

現代の倫理観・価値観では人柱は許されませんが、昔には古くからの習わしとして、極稀にこのような風習が行われたようです。人柱を行なうことは「人柱を立てる」と言い、無理強いされる場合は「人柱に立たされる」と言うようです。この”立たされる”という表現から誤解が生じるのですが、人柱は「人を工事の柱(支柱)として利用」するわけではありません。人柱は、尊い犠牲なので、対象者は亡くなった後に”神様”になることを意味しています。

日本語にはモノを数える時に、1枚や2個のように数字の後に序数を付けます。実は、神様の数え方は”はしら”で、一柱ひとはしら二柱ふたはしら三柱みはしら・・・というように数えます。このとき、ハシラはバシラと濁った発音にはしない決まりになっています。

要するに、人柱は、”尊い犠牲(生きた人間)を神様に捧げる儀式で、人柱になった人はその後、神様になる”ということを表現しています。神様の数え方から推理すると、現在はヒトバシラと濁音で発音されますが、もともとはヒトハシラという発音だった可能性があります。

現代では、全く違う意味で”人柱”が使われています。ネットスラング/パソコン用語としての人柱は、『リスクがあるにもかかわらず、商品やサービスの発表後間もない時期に、みんなよりも先んじて試してみる人や、その行為』を指します。また、CPUの周波数を定格以上に上げて使用するクロックアップなどを試すことも、”人柱”に含まれるそうです。

現代の”人柱”は、命を落とす心配はありませんが、リスクやデメリットを一身に引き受ける勇気ある行為であることは間違いありません。でも、人柱にはなりたくありませんよね。

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