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バスに乗り遅れるな! 不安を煽る商売

電車やバスに乗り遅れた経験は、長く生きていれば一度くらいはあるはずです。その時間に乗らなければ約束の時間に間に合わない場合には、相当焦ります。乗り物に”乗り遅れる”ことはかなりのストレスです。そんなストレスを増大させ、不安を煽る言葉が『バスに乗り遅れる』です。

”バスに乗り遅れる”という言葉はそれほど古い言葉ではなく、元々は”バスに乗り遅れるな”という使い方をされていたようです。これは世界史/日本史で出てくる言葉で、国際政治の中での日本の立ち位置を表わす言葉として使われていました。当時世界の勢力は、旧ソ連、ドイツ・イタリア、アメリカ・イギリスなどが握っていたので、日本もその時流に乗り遅れることのないよう”バスに乗り遅れるな”という標語が広く流布されるようになったようです。この流れが、やがて軍事同盟である『日独伊三国同盟』につながって、日本が戦争の泥沼へ突き進んで行くきっかけになりました。

「誰もがやっているんだよ」とか「流行に遅れてるね」などと不安を煽られると、ついついその方向に進みがちです。この心理を利用して、不安を煽るような商売もあります。しかしちょっと待って下さい。大勢がそうしたからと言って、自分もそうしなければいけないと理由は全くありません。したいならすれば良いし、したくないならしなければ良いのです。

日本人は同調圧力に弱いので、”バスに乗り遅れるな”=”足並みを合わせよう”とする意識が特に強いように感じます。”空気を読む”という言葉も、”バスに乗り遅れるな”と基本的には同義です。周囲の人達と仲良くするのは良いことだとは思いますが、みんながやっていることが必ずしも正しい事とは限りません。

たまにはバスに乗り遅れて、ノンビリするのも気分転換になるかもしれませんよ。


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