【推し】織り成す 声が
【ノンフィクション】をおすすめします。
戦争は女の顔をしていない
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチ/著
三浦みどり/訳 (岩波書店)
大岡昇平の「野火」。
第二次大戦の従軍記や体験記。
戦史に関するウィキペディアの記述。
数々の戦争映画、ドキュメンタリー番組。
エトセトラ……etc.
それらのどれとも、まったく違う。
女性兵士の体験を通して語られる戦争は。
「鏡の世界」に迷い込んだようにあべこべ。
価値観が入れ替わっている。
勝利、栄光……、
生の言葉、むき出しの心、感情の記憶。
洗濯・農作業・あるいは戦場で。
小さな声が集まり、
「戦争全体」を浮かびあがらせる。
世界は、戦争は、血肉と情念でできている。
『言霊』。
命を裁きの天秤に載せ、勝利し帰還した。
後遺症、小さなメダルとわずかな恩給。
「男たちの中で、何をしていたんだか!」
……戦争に行かなかった女が言う。
「君は戦友だ。戦友とは、恋愛しない。
結婚するなら、戦場を知らない女性がいい」
……共に戦った男が言う。どの口が言う?
消えていく小さな声を集めて
後世へ託してくれた
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチに
感謝します。
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