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地元の商品を作ったワケ

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伝所鳩には、オリジナル商品がいくつかあります。コウノトリがパッケージに描かれた「チコニア」という名前の商品は、お店のある豊岡市を含めた兵庫県の北部エリア、但馬(たじま)地域で作られるお醤油やお塩などの製品を集めてブランド化し、故郷の味を届けるためのプロジェクトとして始まりました。

スタートから7年が経つチコニアは、のんびりとした足取りでまだまだ小さな取り組みでしかありませんが、改めてこのブランドができた経緯や、何を目指しているのかをご紹介できればと思います。

忘れられない味

ぼくは、高校を卒業してからの18年間を地元ではない場所で過ごしました。

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都会の暮らしにも慣れ、新しい知り合いができたり、働き始めたりすると、少しずつ地元のことを忘れてゆき、興味も関心もほとんどなくなっていきましたが、ふとしたきっかけで地元に目を向けるようになりました。

子どもの頃に食べた地元の味や母親の味は、誰しも記憶に強くあると思いますが、そういった懐かしい味は頭ではなく舌が覚えているものです。ぼくは、母が作ってくれた甘い卵焼きが大好きで、レシピを教えてもらい何度も真似して作ってみたものの、どうしてもうまく作ることはできず、その答えが調味料だということにようやく気が付いたのは、地元を離れてずいぶん経ってからでした。

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地元の味や母の味というのは、実はその地域の「食材」や「調味料」が大きく関係していて、それはぼくの生まれ育った豊岡市に限ったことではありません。地域ごとに根付いた味が違うように、調味料の味も微妙に違います。お醤油が甘い地域もあれば、だしの濃さも地域によって違いますよね。

そして、作られている食材も違います。魚がたくさん採れる地域もあれば、海がないところもあります。こんな野菜見たことがないというものも地域によってはあるはずです。気候や環境、そして好みによって地域のものはそれぞれ違うので、同じレシピで作っても、母の味、地元の味には決してなりません。

もちろんどこにでも流通している大手メーカーの調味料だけを使い、どこでも売っている食材だけを使って作っていれば話は別ですし、それが懐かしい味だと感じる方もいることでしょう。でも、地方の生産者さんが作る調味料や食材は、都会のスーパーではほとんど手に入りません。こんなに美味しいのに不思議だなと思う反面、味の好みは地域によって違うので、どこでも受け入れられるかはまた別の話ですし、流通面のハードルや市場争いなどもあるので、どこでも手に入るのは結局大手メーカーのものになってしまいます。

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地元の味が地元の生産者さんによって左右されていることを知ったぼくは、この味で育った方に忘れないでもらいたいのと、この味を他の人にも知ってもらいたい、そう思いましたが、地元で当たり前に買えるものも都会にはなかなか流通していないのも事実。

そこで、商品の見せ方や販路を変えることで地元以外の方にも知っていただけるんじゃないかと思い、生産者さんに協力をしてもらいブランドを立ち上げることにしました。

2014年、まだ東京に住んでいた頃に「チコニア」という名前でブランドを作り、生まれ育った味やまだ見ぬ地元の味を求め、東京と地元を何度も行き来し、生産者さんに直接交渉をし、ひとつずつ商品を作っていきました。

味を変えない

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ぼくらのやっていることは、見せ方(デザイン)の変更、商品名や説明文の変更(キャッチコピー)、そして販路の開拓だけです。新しく一から味を作ったり、商品開発をするのではなく、多くの方が慣れ親しんだ味を変えることなく、そのまま流通させるにはどうしたらいいかを考えた結果でした。(コーヒーだけは生産者さんとも話し合いオリジナルブレンドを作っていただくことになりましたが、長くなるのでそのことについてはまた後日)

パッケージデザインは、消費者の方にほしいと手に取ってもらう以前に、お店側に選んでもらえるかも左右します。地元で馴染みのある商品は、地元のスーパーや道の駅に置いてあることはよくあっても、それ以外のお店や別の地域ではなかなか扱ってはもらえず、地域内だけの消費で終わってしまっています。そこで伝所鳩のような雑貨店やライフスタイルを提案するようなお店でも取り扱ってもらえるパッケージに変えることで、流通先を増やそうと考えています。

一つだけ誤解のないように言っておきたいのは、もともとのパッケージが決して悪いわけではないということ。地元の人にとっては馴染みのあるもので、長年愛されてきた製品ばかり。ぼくらも昔のままが好きなんですが、でも、知らない方に知ってもらうきっかけになればと、目に留まりやすいパッケージを提案させていただいています。

現在のラインナップ

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チコニアで商品化させていただいた商品は、現在のところ、お米、お塩、お醤油、卵かけごはん専用醤油、コーヒー(2種類)、ゆず山椒の7種類。今後もさらに増えて行く予定ですし、一緒に商品を作ってみたいという生産者さんも随時募集しております。全ての方のご依頼をお受けできるわけではないですが、お気軽にお問い合わせいただければと思います。

卸先も募集しています

全7種類の商品を作らせてもらったチコニアですが、現在は伝所鳩とオンラインショップのみの販売となっています。これでは、まだまだ地域の味を届けるパワーが足りていない状況です。ぼくらと一緒に地域の味を届けてくださる店舗様も随時募集していますので、お気軽にお問い合わせください。

<日用品と雑貨の店 伝所鳩>
WEB:https://denshobato.tokyo/
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