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ホン雑記952「後ろ見て前見て」

もう何年も嫁に言い続けてきた「昔のアルバム持ってこい」の願いを、ようやく嫁が成就させてくれた。


ウチの嫁部屋以上に実家の嫁部屋は汚いらしくて、何がどこにあるかわからんでまた探して持ってくるわー、ってのがいままでだった。
が、今回は鬼気迫る感じで脅した。オレを普通の人間だと思うなよと。伊達や酔狂でノスタルジャーを名乗ってるわけじゃねーぞと。

どこの世界に、近所の普遍的な街並みや、嫁の寝顔を(ほぼ)毎日撮り続けるヤツがおるねんと。
世界広しと言えどオレほど過去を振り返ってる人間はいない、いや、もう後ろ向きで生きてるんで、振り返ってすらいない。逆に完全に前向きに生きてる。常に後ろ向きで。
凡夫どもが思う過去への執着…ではないな、輝きの眩しすぎさ(日本語)と、オレのそれではまったく感覚が違うのだと狂気を装って力説した。後ろ向きのとこは、いま盛った。


昨日はいくつかあるアルバムのうちの一冊を持ち帰ってきた。木曜が嫁が実家に帰る日なのだ。家近いでな。
見るのが他のあらゆる娯楽よりも楽しみすぎて、資産性が高すぎて、いまのところ嫁0歳の時の写真数枚しか見てない。が、あまりに面影がなさすぎてあまり感慨が湧かない。ま、そのうちいまの激カワ(なぜかオレにしかそう見えてない。オレは街で振り返られてないのか(犬的な意味で)気になってるんだが)な嫁に近づいてくるんだろう。

それよりもアルバムの最初にあったお義母さんのメモが刺さった。こんなん書いてええんかな。ま、ええやろ。

「○○子はふたり目の子なので、次はなんとなく男の子かと思って『アレ?』と思いましたが、とりあえず私の役目は果たせました」

と書いてあった。オレにしては珍しくその時泣かなかったけど、代わりにいま泣いてる。見た時は刺さりすぎたのかもしれん。

ウチはねー、故あってねー、両家のつながりが断絶されてる状態なんよねー。うひは。
ま、仲悪いってわけじゃないんだとは思うけど、なんとなくしがらみからズルズルそうなってしまった。
そういうのはオレには考えられんことだし(相手のせいにするぜ)、だから嫁の親がどんな人物かまったくわからんのだよ。こないだ嫁ががんになって多少進展あったとは思ってるんだけど。
ま、どっちにしろ仲家から見たらコミュニケーションが薄すぎるお家でして、「お前の両親ってテレビ見て笑ったりするの?」っていつの日か聞いたことがあるほどに、嫁も親のことをほとんど語らないし聞かされてもいない。ウチはまぁしゃべりすぎで異常なんで正反対なわけ。だからオレは毎日毎日こんなとこでだいたい1500文字以上もあきもせずにしゃべるわけだね。ほっとけ。

お義母さんが金曜の朝に嫁に持たせる弁当箱を見て、それまで見えなかった情愛のごく一部を知れるようにはなったけど、「私の役目は果たせました」のひとことは、言語化が陳腐すぎるけど、あまりにも「デカい」なと思わされた。感動したとかじゃなくて(泣いてますが)、ただただデカいことだなと。

するとですね、いまも結構だいじにしてるほうだとは思うんですけどね、まだまだまだまだだなーって、思うわけ。少なくとも、その役目を果たした人の人生も嫁に乗っかってるんだよね。
これ、当たり前すぎるほど当たり前のこと言ってるだけなんだけど、この当たり前の感覚の中に入ってって、それをすでに受け取ってると認識するのは異常に難しいのね。すでにあるものは当たり前だと思っちゃうんでね。

だけど逆に言えば、そういう過去のアイテムひとつ見るだけで、これほどまでに…お見せできないのが残念だけどまさしくこれほどまでに、想いを馳せられるんだねぇ。

子供がグレ出した時には昔の写真をさりげなく見せるといいって聞くけど、ホント過去に起こったことの情報量ってのは超膨大で超雄弁に語ってくるよねー、ってこの感じは言語化無理だな、やめた。それに当たり前のこと言ってるだけだしな。
いや、でもスゲーんだよ、オレにとっての過去は。すごすぎるんだ。


という、事の超重大さがわかってるんで、なんでもない街並みや嫁の写真を撮り溜めて…

あれ、いっつも未来のこと考えてるわ、オレ。
いつの日か、より豊かに過去を振り返れるようにって、未来のこと考えてるわ。




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【今日のオリジナルソング】

クリスマスまでこれで行くぜぇ~?
しつこいぜぇ~?




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